井上祐貴 蔦重、田沼意次の運命を左右する松平定信役への思い「『めんどくさいやつ』と思わせたい」【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】
NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。8月10日放送の第30回「人まね歌麿」から幕府の政に参加し、やがて「質素倹約」を旨とする寛政の改革を推進するのが松平定信だ。寺田心が演じた少年期を引き継ぎ、成長した松平定信を演じるのは、「どうする家康」(23)で本多正純を好演した井上祐貴。田沼意次と対立し、蔦重の運命を左右するなど、物語のキーパーソンとなる松平定信役に込めた思いを語ってくれた。

(C)NHK
-第30回から幕府の政に参加する松平定信は、寛政の改革を推進するなど、物語のキーパーソンとなるようですが、井上さんは本作の松平定信をどんな人物と捉えていますか。
一言で言って「めんどくさい人」です(笑)。やりたいことや伝えたいことはよく分かるのですが、「なぜそんな言い方をするのかな?」と思うことが多くて。「定信は世の中をこうしたいから、こう言っているんだろうな」と行動は理にかなっているのに、そのやり方や言い方が独特なんです。しかも、そういうせりふを言った後の映像を確認すると、共演者の皆さんが渋い表情でリアクションされているので、「そうなりますよね…」と妙に納得してしまって(苦笑)。
-「質素倹約」を旨とする寛政の改革を進める定信は、出版統制の強化にも乗り出すようですが、実は黄表紙(社会風刺を込めた娯楽小説)が大好きな一面もあるとか。
定信は基本的にオタク気質で、周囲には「質素倹約」とうるさく言いながら、実は幼い頃から黄表紙が大好きなんです。それを自ら禁止しなければいけない葛藤は、森下(佳子/脚本家)さんが脚本にしっかりと描いてくださっています。定信もただの堅物ではなく、そういう人間味あふれる一面があることを知ってうれしくなり、魅力的なキャラクターにしたいという思いが、より強くなりました。
-第30回で定信は、一橋治済(生田斗真)からの誘いで幕府の政に参加するようですが、定信は治済に対してどんな思いで向き合っているのでしょうか。
「利用してやろう」と考えていることは間違いありません。ただ、それが100%というわけではなく、御三卿の一橋家とかかわっていく上での立ち回り方を、言い方やちょっとした間で試しながら、探っているところがあるんです。その辺のニュアンスをどう表現するかは、クランクインしたとき、演出や皆さんと入念にディスカッションさせていただきました。
-視聴者からは「怖い」と評判の一橋治済ですが、井上さんがご覧になった印象はいかがですか。
やっぱり、怖いですよね(笑)。これまでドラマを見ていても、1人で遊んでいるシーンが、ポンと入って終わったりすると「この人は、何をたくらんでいるのかな?」と思わせる不気味さがあって。実際に現場で向き合ってみると、斗真さんは僕が予想もしなかったようなお芝居をされるので、いつも驚かされています。でも、それも確かに治済なんですよね。それに対して僕も、定信として100%のリアクションができるよう、斗真さんのお芝居を一瞬も見逃すまいという気持ちで演じています。
-松平定信は、幼い頃から自分の運命を翻弄(ほんろう)してきた田沼意次(渡辺謙)と対立するそうですが、第30回で早速、意次と対峙(たいじ)する場面があるとか。
大先輩の俳優の皆さんが演じる幕府の重臣たちを引き連れ、田沼意次に物申す、というシーンだったので、収録の時はとても緊張しました。今思い出しただけでも、その緊張感がよみがえってくるくらいです(笑)。ただ、田沼のために苦汁をなめてきた定信の「ようやく憎き田沼に反撃できる」という気持ちが手に取るように伝わる場面だったので、感情的にはとてもやりやすかったです。

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