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【週末映画コラム】トム・クルーズにアカデミー賞を贈ってもいい『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(5月23日公開)

(C)2025 PARAMOUNT PICTURES.

 1996年の第1作から続く、スパイ組織「IMF」に所属するイーサン・ハントをトム・クルーズが演じるスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作。

 前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』と併せて2部作として製作され、前作から続く物語が展開。前作のラストで世界の命運を握る鍵を手にしたイーサンと、その鍵によって導かれていく彼の運命が描かれる。また、これまでほとんど語られてこなかったイーサンの過去も明かされる。

 監督は、トムの主演作で監督や脚本、製作を数多く担当してきたクリストファー・マッカリーが前作に続いて続投。キャストは『M:i:III』(06)での初登場以来、イーサンの盟友となったベンジー役のサイモン・ペッグ、シリーズ全作に登場しているルーサー役のビング・レイムスらおなじみのメンバーに加えて、前作から登場したグレース役のヘイリー・アトウェル、パリス役のポム・クレメンティエフ、ドガ役のグレッグ・ターザン・デイビス、そして仇敵ガブリエル役のイーサイ・モラレスも連投した。

 シリーズの集大成作らしく、冒頭でイーサンのこれまでの活躍がダイジェスト風に映るシーンがある。そこでのトムの容姿やアクションの変化に加えて、背景や敵の変化も見ると嫌でも30年という時の流れを感じるが、逆に年を重ねたトムのアクションがどんどん過激になるのは尋常ではないし、ある意味常軌を逸しているとも思える。

 毎回見せる全力疾走だけでもすごいのに、今回も小型プロペラ機にしがみつく空中スタントや潜水艦での水中シーンをはじめ、陸海空を舞台にすさまじいアクションを繰り広げる。手に汗握るとはまさにこのこと。

 世界に終末が迫る危機に対して、イーサン一人にその命運を託すというあり得ない設定なのに見入ってしまうのは、見終わった後で思わず疲れを感じさせられるようなトムの力業によるものだ。

 還暦を過ぎても体を張って見る者を楽しませることにこだわり続けるトムに敬意を表したい。アクションも立派な演技の一つだとすれば、この映画のトムにアカデミー賞を贈ってもいいと思う。

(田中雄二)

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