長尾謙杜「僕らの距離の縮め方が、役とリンクした」當真あみ「長尾さんは現場を明るく盛り上げてくれました」切ないラブストーリーで初共演『おいしくて泣くとき』【インタビュー】
幼い頃に母親を亡くした心也と、家に居場所のない夕花。同級生の2人はひょんなことから“ひま部”を結成。孤独な2人は、次第に距離を縮めていくが、ある事件をきっかけに夕花が姿を消してしまう…。
全国公開中の『おいしくて泣くとき』は、森沢明夫の小説を原作にした切ないラブストーリー。主人公の心也を演じるのは、『室町無頼』(25)での活躍も記憶に新しい“なにわ男子”の長尾謙杜。これが劇場映画初主演となる。夕花役に起用されたのは、NHKの大河ドラマ「どうする家康」(23)など多数の作品で活躍し、進境著しい若手俳優の當真あみ。初共演となる2人が、撮影の舞台裏を語ってくれた。

(C)2025 映画「おいしくて泣くとき」製作委員会
-お2人は今回が初共演だそうですが、どのように心也と夕花の関係を作っていきましたか。
長尾 年齢が四つ離れていたので、最初は話が合うか、心配していたんです。でも、会ってみたら、當真さんはきちんと自分の意見を持っているしっかりした方で。僕の方が子どもなんじゃないかと思ったくらいです(笑)。おかげで違和感なく、同級生役を演じることができました。
當真 長尾さんとは初対面だったので、最初は緊張していたんです。でも、優しく気さくに話しかけてくださったおかげで、リラックスして撮影に臨むことができました。
長尾 最初はぎこちなかったけど、撮影が進むうちに、徐々にたわいもない会話もするようになり、距離が近づいていった感じだよね。実は今回、撮影はほぼ順撮り(物語の展開通りの順番で撮影すること)だったんです。だから、そういう僕らの距離の縮め方が、役とリンクする部分もあって。
當真 現場でも、監督と長尾さんと3人で、コミュニケーションをとりながら撮影できたおかげで、自分の思いをきちんと伝えることができ、のびのびやれた気がします。
長尾 當真さんのお芝居も、まっすぐ心に訴えるようなところがあったので、僕もすごくお芝居がしやすかった。
當真 私こそ、クライマックスのシーンでは、長尾さんが心也くんとして思いのこもった力強い言葉を投げかけてくれたので、夕花としても、私自身としても、グッと来るものがありました。
-そういうお二人のお芝居が、心也と夕花の物語を魅力的にしています。同時に、素敵な言葉もちりばめられた作品で、特に心也の父・耕平(安田顕)が心也に語る「人の幸せってのは、学歴や収入で決まるんじゃなくて、自分の意思で判断しながら生きてるかどうか、それに左右されるんだ」というせりふは印象的です。お二人はこの言葉にどんな印象を持ちましたか。
長尾 そういう気持ちでいられたら、誰もが幸せになれるんじゃないかな、と思いました。自分の人生を自分で選択して生きていけるのは、幸せなことですし。僕自身も、その気持ちを忘れずにいたいです。
當真 私はそのせりふを聞いて、はっとさせられました。学生の頃から、周りに合わせることが多かったのですが、それは楽をして逃げているだけなのかも、と思って。
長尾 でも、芸能界に入る時はどうやって決断したの?
當真 それは、スカウトされたとき、両親に相談したら、「あなたがやりたい方をやりなさい」と後押ししてくれたので、最後は自分でこの道に進むと決めました。
長尾 じゃあ、大事なことはやっぱり、自分で判断しているんだよね。
當真 考えてみれば、そうですね(笑)。

(手前左から)當真あみ、横尾初喜監督、長尾謙杜(C)2025 映画「おいしくて泣くとき」製作委員会