八丈島の名物女将が「猫に化かされた話」を調査して本に 八丈の歴史、文化、日常が浮かび上がる一冊が完成
島に猫はよく似合う。八丈島でも、猫は昔から住人たちと深い関係を持ってきた。島に住む“名物おばあ”福田栄子さんが、「猫に化かされた話」を聞き取り調査、離島の民俗や伝承、暮らしをめぐるフィールドノート『八丈島の猫学 ~なぜ猫は人を化かさなくなったのか~』(ガーデン荘・東京都八丈島、つばくら文藝企画・埼玉県所沢市、税別1000円)を出版した。文化人類学者や日本語学者の解説や対訳、地図も付いている。観光案内では知ることができない、島の深い魅力が分かる一冊だ。
東京から南方へ約290km、伊豆諸島の一つ、八丈島。著者は民宿「ガーデン荘」を60年経営する“えいこば”と呼ばれる名物女将だ。猫と島民の不思議な関係性を、島に暮らす人々に聞き取り調査をしながら、著者の考察を交えて書き上げたのがこの本。うわさ話や民間で語られてきた「猫に化かされた」「猫にだまされた」話を中心に、24の事例を収録している。
もう一つの特徴は、言語。“えいこば”の手書き原稿にあった「八丈語」のあたたかみを再現するため、表記統一などの厳密な作業を過度に行わず、最低限必要なところのみ補足・編集注釈を付け加えたという。八丈語は、ユネスコに「言語」と指定されるほど現代の音声日本語とは異なる言語で、日本語学者で八丈語研究をけん引し続けている金田章宏氏が解説と対訳を担当した。

筆者の元原稿(一部)。ルーズリーフやノート紙、チラシの裏紙などに書かれた原稿たち
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