進まない断捨離 【馬場典子 コラムNEWS箸休め】
11月末。年内に片付けたいこと、やり遂げたいことが気になる時期です。
写真をデータ化して処分したい(サークルの写真なんて、「写ルンです」の集合写真ばかりで判別不能)。
セキュリティー上、ネットに繋(つな)げることができなくなった古すぎるPCも、データ移行して処分したい・・・と年末に考えるものの頓挫すること数年。
コロナ禍で在宅時間が増えた時、家族の絆が深まった場合もあれば、離婚に至った場合もあるように、部屋がピカピカになった人もいれば、散らかったままの人もいたようです。私はもちろん後者ですが(笑)。
コロナ禍前は、朝出かけたら夜飲んで帰るまで出ずっぱりだったのに、生来の怠惰な性格か、謎の適応能力か、いざ緊急事態宣言になると、3食作る以外は昼寝とゲームざんまい。家でダラダラする心地よさを覚えてしまいました。
3日ほどたった時、どうせなら家にいながら自然を感じられるところに住みたい、窓を開けるだけで深呼吸したくなる環境がいい、と思い立ち、物件チェックを始めました。
軽井沢は新幹線も高速バスも使えるし、熱海なら温泉がある。青梅もいいけど、葉山はやっぱり憧れる。電車移動中に新聞が読める。でも車もいいな、などと妄想ざんまい。大阪芸術大学への通勤のための羽田へのアクセス、茶道のお稽古へのアクセスもシミュレーションしました。
しかし2週間後、そんな脳内の盛り上がりをよそに、引越しを断念。原因は、食事でした。
一人暮らしゆえ、食材は最小限を使い回し、揚げ物など手のかかることはしない。タイ料理が食べたくなってもパクチーやナンプラーをわざわざ買い足さない。
結果、似たような調理法と味付けばかりになり、たった2週間で自分の味に飽きてしまいました。誰か食べてくれる人がいない限りは、頑張れない。徒歩圏内に美味(おい)しいお店がないと生きていけないかも、と己の生態に気づきました。
そういえば、葉山のとあるリゾートマンションは、リビングの真ん中に丸いジャグジーがあって、屋根まである一面の窓ガラスから相模湾が一望できました。はて、どこで服を脱ぐのかな? 別荘には素敵だけど自宅向きではない。高い買い物、そんなトリッキーな物件に手が出せず。ただ、今の住宅価格と比べると破格だったので、一度くらい住んでみても良かったかも。
そうして住宅価格が高騰する間も断捨離は進まず、年々部屋が手狭になる。断捨離を頑張る以外の選択肢はない。はずなのに、テニスの試合のためにお揃(そろ)いのウエアを買ってしまった・・・。しかも今からセールに出かけるんだった。
断捨離、今年こそ! のはずが・・・。
あれ?

テニスを楽しむ著者(左)
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.47からの転載】
馬場典子(ばば・のりこ) 東京都出身。早稲田大学商学部卒業。1997年日本テレビに入社し、情報・バラエティー・スポーツ・料理まで局を代表する数々の番組を担当。2014年7月からフリーアナウンサーとして、テレビ・インターネット番組・執筆・イベント司会・ナレーションなど幅広く活動中。大阪芸術大学放送学科教授も務める。
編集部からのお知らせ
新着情報
あわせて読みたい
自動車リサイクル促進センター















