冬の夜中に脚がつる原因は腎臓機能の低下!? 鍼灸治療と生活改善で解消する方法
■冬は体温低下防止が大切!就寝中に不快な症状が出たら要注意!?
2025年(令和7年)の日本は、12月を迎え大寒波に見舞われています。日本列島は広範囲な地域で雪景色になりました。一気に寒くなると、からだの機能が追い付かず、様々な症状を呈します。からだが寒さに対応していないと、体温維持が難しくなります。体内温度が低下してくると、就寝中に以下のような症状が出てきます。
1.夜中に何度もトイレで目が覚める
2.夜中に脚がつって目が覚める
3.夜中に動悸がして目が覚める
4.夜中に呼吸が苦しくなって明け方目が覚める
5.夜中に汗をかき寒くなって明け方目が覚める
いずれも、からだが寒さを感じている症状と言えます。
特に、気温がどんどん低下する冬の時期は、腎臓の機能低下が生じやすいので、積極的な寒さ対策が大切です。
2025年11月19日に「知らないうちに寿命を縮める 危ない生活習慣24」(清野充典著・小学館) が発売されました。寒い時期の過ごし方やふだんの生活で注意すべき習慣を紹介していますので、ご参照いただきたく思います。
東洋医学では、春は肝臓、夏は心臓、秋は肺蔵、冬は腎臓が旺盛に働きます。季節の変わり目である土用(どよう)の時期は脾臓が働くと考えられています。見方を変えると、これらの臓器に負担がかかり、不摂生をするとその臓器機能が低下しやすい時期とも言えます。
■気が付いたら内出血の跡(あざ)があるのは腎臓の機能低下が原因!?
腎臓の機能が低下してくると、日中いろいろな症状が出てきます。
1. 内出血を起こしやすくなる(あざができやすい)
2. 髪の毛が抜けやすくなる(朝枕元に髪の毛がいっぱい)
3. 肌がカサカサしやすくなる(手に油っ気がない)
4. 歯がぐらつきやすくなる(歯茎がぴっちりしない)
5. 歯磨きをすると出血しやすくなる(歯ブラシが血だらけになる)
寒い環境に長期間身をさらしていると、徐々に腎臓の機能が低下してきます。上記症状が出始めたら、生活習慣の見直しが必要です。
腎臓の機能低下に関するその他の情報は、JIJICO内にあるコラム「気温が急変する11月は体調をくずしやすい季節 寒さによる腎臓の機能低下を防ぐには?」をご参照願います。
■夜中に脚がつる人はどうしたらよいのか?
脚がつっている時は、ふくらはぎの筋肉が痙攣している状態です。医学的には筋痙攣(有痛性筋痙攣)と言います。突然起きる、痛みを伴う筋肉痙攣のことです。筋痙攣は、健康な中高年によくみられ、運動中、運動後、夜間に多く生じます❶。俗称で、「こむら返り」と言いますので、ご存じの人も多いのではないでしょうか。頻繁にこむら返りが起こる人は、重篤な疾患が潜んでいることも考えられますので、専門医の受診が必要です。
こむら返りは、ふくらはぎにある腓腹筋という筋肉内の血液量が不足しているため、筋肉が痙攣して、血液を呼び込んでいる現象です。脚がつる(痙攣する)と、強い痛みが出るため、目が覚めます。そのまま我慢していても、なかなか痙攣は収まりません。
そんな時は、足首を直角に曲げて、つま先を手で引き寄せ、膝を伸ばしながら、しばらくふくらはぎを引き伸ばすと、痙攣が治まります。痙攣が治まったあとなにも対処せずに眠ると、翌朝まで痙攣した部分の痛みは残ります。ほとんどの場合は、夕方まで違和感が残ります。人によっては、2~3日違和感が残ります。
それを回避するには、痙攣が治まったあと、やや熱さを感じるくらいの蒸しタオルを当てることが有効です。数分(蒸しタオルが熱さを感じなくなる間)で痛みが治まります。痛みが治まったら、乾いたタオルで水分を拭き取ってください。夜中なので眠たいと思いますが、処置した時としない時では雲泥の差がありますので、是非お試しいただきたく思います。
夜中に脚がつる人は、腎臓の機能低下が考えられます。体内の水分が不足していることも考えられますので、水分摂取が必要です。❷ また、運動不足だと思う人は、毎日5分程度の運動をしましょう。
腎臓は寒さに弱い臓器ですので、
1.薄着をしていないか
2.室温は低くないか
3.室内をはだしで歩いていないか
4.冷たいものを飲食しすぎていないか
5.ホットカーペットや床暖房の上に直接臥床していないか
6.敷布団の上に電気敷毛布を敷いて寝ていないか
7.北側の部屋で寝ていないか
8.日の当たらないところで生活していないか
9.ホッカイロを常時からだに当てていないか
などの生活習慣を見直す必要があります。
すぐに生活を改善できない人は、「寝床内気候(ねどこないきこう)」を整える必要があります。「寝床内気候」や「北側の部屋で生活するときの対策」については「知らないうちに寿命を縮める 危ない生活習慣24」(清野充典著・小学館) に詳しく書いています。
■寝床内気候を整える方法とは?
寝室が寒いと、なかなか寝付けません。布団が冷たくならないように、室温は18℃くらいになるようにすることが、基本的な対処法です。エアコンを付けていると乾燥してのどが痛くなるという人は、スチーム型の加湿器がお勧めです。適度な湿度を保てると同時に、室温が上昇します。また、オイルヒーターはのどが乾燥するという人に有効です。お部屋の環境に合わせて、オイルヒーターの温度を設定し、寝室の室温が10℃を下回らないようにすることが大切です。
布団は、定期的に天日干しすることが理想的です。しかしながら、日照時間が短い冬の時期、雪の多い地域の人、布団を干すことができない住環境の人は、布団乾燥機を定期的に使用して、この時期を乗り切りましょう。
布団に入っても、寝床が冷たいとなかなか眠れません。湯たんぽを2つ用意して、寝る30分前に布団内の腰と足元のあたりに入れます。お休みになるときは腰の部分にある湯たんぽを外し、足元にある湯たんぽを足に直接触れないよう、足先から50㎝ほど離しておくと、「寝床内気候」が整い、よく眠れます。からだが大きい人は、ダブル以上の大きい布団でお休みのことと思います。湯たんぽを足元に2つ置き、左右に離しておくと足元が暖まり、よく眠れることと思います。
布団内の湿度は、50%前後が良いとされています。睡眠中は汗が出ます。布団内の湿気が多すぎると寝苦しくなりますので、汗をかいた状態や風呂上がり直後に布団に入ると、夜間に目を覚ましやすくなります。就寝は、入浴後1時間以上経過してからにすることを勧めます。
北側の部屋で生活するときの対策についてはJIJICO内にある下記コラムをご参照いただきたく思います。
「日当たりの悪い寝室で寝ていると体調不良になる?理想的な寝室の環境とは!?」
「北向きの部屋にいると病気になりやすい?日当たりの確保が病気回復には大切!?」
■腎臓の機能低下回復に鍼灸治療や瘀血治療は最適です
適切な寒さ対策を講じることが出来ず、気温の寒暖差による体調不良が長期間に及ぶと急性腎炎を発症して、発熱する場合があります。様々な病気を併発していることが考えられますので、すぐ専門医の受診が必要です。
腎臓の機能低下が続くと、寒い日の朝や疲れ過ぎた翌朝、寝違えを起こすことがあります。また、急激に気温が低くなると、突発性難聴、めまいや耳鳴りなど日常生活を送ることが困難な症状が出てきます。そのような症状でお悩みの人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試しいただきたく思います。症状が現れた日に治療すると、1~2回の治療で回復します。
急性腎炎発症後、体調不良が続く人や体温が安定しない人には、お灸治療が最適です。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な鍼灸治療(内外科治療)や瘀血治療が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談いただきたく思います。
2025(令和7)年11月19日(水)に小学館から発売された「知らないうちに寿命を縮める 危ない生活習慣24」(清野充典著・小学館) の内容は、JIJICOに掲載された1~70本目のコラムを24に再編集した内容です。この本のために書いたコラムもあります。困ったときの対策が満載の内容です。一家に一冊常備薬代わりに置いていただき、東洋医学に基づく養生法を実践いただきたく思います。全国の書店やオンライン書店購入可能です。Kindle版もあります。
<筆者略歴>
清野 充典:鍼灸師 1982年、西洋医学を理解した東洋医学者の育成を目指し世界で初めて設立された鍼灸医学専門教育機関「明治鍼灸短期大学(現明治国際医療大学)」鍼灸学部を卒業。1987年2月2日、東京都調布市で清野鍼灸整骨院を開院。明治国際医療大学客員教授、早稲田大学特別招聘講師等歴任。
「鍼灸を国民医療」にすべく、東京大学、早稲田大学、順天堂大学等の日本国内を始め、海外の様々な大学や医療機関の人たちと研究を進めている。
1991年には、東京都府中市で分院の清野鍼灸整骨院府中センターを開設。1985年から清野メディカルヨーガ/清野ヨーガ道場を主宰し、保健活動を行っている。毎週木曜日に「ヨーガ教室」を開催して、多くの人に東洋医学に基づいた健康管理方法を伝えている。
清野 充典:鍼灸師
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