タイミーが自治体連携、就労支援を拡大 宜野湾市のひとり親支援から介護人材育成まで

沖縄県宜野湾市では2026年、1日単位で働く「スポットワーク」を仲介するタイミー(東京都港区)の取り組みを活用し、ひとり親家庭などの就労支援を始めた。市の相談窓口を通じて柔軟な働き方を案内し、沖縄セルラーみらいクリエイト(那覇市)による長期就業支援と組み合わせて、経済的自立を後押しする。
タイミーの自治体との連携はさらに広がり、7月には三重県伊勢市と包括連携協定を結び、働きづらさを抱える人の就労を支援。8月には長野県の介護未経験者向け人材育成支援事業を受託し、未経験でも担える仕事の切り分けや就業体験、研修を支える取り組みを始めた。スポットワークを一時的な人手不足への対応だけでなく、働くことに制約のある人の就労や人材育成に生かす官民連携が各地で進んでいる。
▽就労の壁を越える
沖縄県は母子世帯の割合が全国の約2倍と高く、就業者の約半数が非正規労働者という厳しい実情がある。宜野湾市内でも2023年時点で母子世帯が1854世帯、父子世帯が188世帯存在し、踏み込んだ対応が急務となっていた。
しかし家事や育児による時間的な制約が大きく、いきなり本格的に働くことはハードルが高い。面接の失敗への恐怖心から就労の第一歩を踏み出せないケースも少なくない。行政の支援だけではこうした壁を打破し、自立へ導くには限界があった。
そこで市は、働くハードルを下げ、就労へのスモールステップを提供するため、民間の力に活路を見いだした。2026年1月30日、民間企業2社とそれぞれ連携協定を締結し、短期の就業体験から長期雇用までを見据えた支援体制の構築へ踏み出したのだ。

▽民間の基盤を生かす
連携相手のタイミーは、1日単位で働け、履歴書や面接も不要なサービスを提供する。市の相談支援を受けるひとり親に対し、同社の仕組みを通じて多様な就業体験の機会を用意し、働くことへの自信を取り戻してもらう役割を担う。
タイミー地方創生グループの山口眞司氏は、宜野湾市との連携について「スポットワークは働くハードルが低く、自立へのスモールステップになります。民間単独では直接アプローチが難しいひとり親家庭に対し、自治体の相談窓口を通じてこの選択肢を確実に届けることこそが本連携の意義です。行政の支援力と当社のサービスを掛け合わせ、確実な自立を後押しします」と語る。
沖縄セルラーみらいクリエイトは、自社の求人サイトを活用する。短期就労で自信をつけたひとり親が、次のステップとして長期雇用や安定した職に就けるようサポートし、本格的な就労への途切れのない支援を実現する。
市は庁内窓口やウェブサイトでこれらのサービスを周知する。さらに、2社による相談員向けの勉強会や、市内での求人を増やすための企業向けセミナーも共同で開催し、民間企業の知見を公共サービスの実践に直接落とし込む工夫を凝らしている。
自治体との連携は他地域にも広がる。タイミーは2026年7月、三重県伊勢市と包括連携協定を締結。伊勢市が2025年度に行った短時間就労の実証では、支援対象者2人が協力企業4社で延べ10回働いた。8月には長野県の介護未経験者向け支援事業を受託。資格や経験のない人も担える仕事を切り分け、就業体験や研修につなぐ。
▽地域全体で支え合う
事業を進めるうえで市が直面しているのは、行政だけでは支援に限界があるという現実だ。市の人員や専門人材を充実させたとしても、ひとり親への就労支援には地域社会との協力が欠かせない。ひとり親の就労について企業に理解してもらう取り組みも必要だ。
持続可能な仕組みにするため、市は新たに「宜野湾市ひとり親家庭等応援企業制度」を創設した。未経験者歓迎や子育てへの配慮など、働きやすい求人を出す市内・近隣の企業を認定・公表し、社会的評価を高めることで企業を巻き込む狙いがある。
また、児童扶養手当の現況届を郵送する際には、スポットワークのニーズや実態を把握するアンケートを2社と共同で実施する。行政が抱える課題に民間のサービスを掛け合わせることで、ひとり親が自立への一歩を踏み出せる地域づくりを進めている。
宜野湾市こども家庭課は「宜野湾市は、株式会社タイミー、沖縄セルラーみらいクリエイト株式会社との官民連携の仕組みを活用し、ひとり親の就労を支援しています。この仕組みが沖縄県内の自治体ひいては全国的に広がり、官民連携しすべてのひとり親を地域全体で応援する意識の向上への一助となるよう、この取り組みを継続していきます」と話している。
(株式会社共同通信社)
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