20~30代転職経験者の7割以上が「本当の退職理由をすべては伝えていない」
日頃の上司との関係性で退職時の本音に差
2026年9月9日
株式会社働きがいのある会社研究所
(Great Place To Work® Japan)
世界約170ヶ国で「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行う働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、本社:東京都港区、代表取締役社長:荒川陽子)は、 直近3年以内に自らの意思で退職を決め転職した20代~30代の会社員を対象に「退職時の本音に関する調査」 を実施しました。
調査結果のポイント
・7割以上が、前職を退職する際、直属の上司や人事担当者など会社側の人に本当の退職理由を「すべては伝えていない」
・前職に対して本当の退職理由を伝えなかった人のうち、4割以上が「本音を伝えても改善されないと思ったから」を選択し、最多
・6割以上が、前職で日頃、直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えることが「できていなかった」
・退職者が「本当の退職理由をすべて伝えた」割合は、日頃から上司に意見や悩みを率直に話せていた人とそうでない人で、約2.9倍の差
背景
人材獲得競争が続く中、社員の離職を防ぎ、定着を図ることは、多くの企業にとって重要な人事課題となっています。そのためには、社員がなぜ退職に至ったのかを正しく把握し、職場改善に生かすことが欠かせません。
しかし、企業が把握できる退職理由は、退職者本人が上司や人事担当者などに伝えた内容に限られます。本当の退職理由が十分に伝えられていなければ、企業は離職の背景にある課題を捉えられず、有効な改善策につなげられない可能性があります。
そこで本調査では、従来の離職調査で焦点が当たりやすい「何が退職の要因になったのか」だけでなく、本当の退職理由を会社にどこまで伝えたのか、なぜ伝えなかったのか、日頃の上司とのコミュニケーションとどのような関連があるのかを明らかにするため、直近3年以内に自らの意思で退職を決め転職した20~30代の会社員を対象に調査を実施しました。
調査概要
| 調査期間 | 2026年8月5日~8月7日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 直近3年以内に自らの意思で退職を決め転職した20代~30代の会社員 |
| 調査人数 | 330名 |
| モニター提供元 | RCリサーチデータ |
※回答比率は小数点第二位を四捨五入しているため、回答比率の合計は100.0%にならない場合があります。
調査結果①7割以上が、前職を退職する際、直属の上司や人事担当者など会社側の人に本当の退職理由を「すべては伝えていない」
「前職を退職する際、直属の上司、人事担当者など会社側の人に本当の退職理由を伝えたか」を尋ねたところ「本当の退職理由の一部だけ伝えた」が42.1%で最も多い回答となりました。これに「本当の退職理由は伝えなかった(28.8%)」という回答の比率を合計すると70.9%となり、この結果から、回答者全体の7割以上が、前職を退職する際、直属の上司や人事担当者など会社側の人に本当の退職理由を「すべては伝えていない」ことが判明しました。一方で、本当の退職理由を「すべて伝えた」という回答は29.1%にとどまる結果となりました。
調査結果②前職に対して本当の退職理由を伝えなかった人のうち、4割以上が「本音を伝えても改善されないと思ったから」を選択し、最多
回答者全体のうち、前職の退職時に本当の退職理由をすべては伝えなかった人を対象に「前職に対して、本当の退職理由を伝えなかった理由」を尋ねたところ、「本音を伝えても改善されないと思ったから」が41.5%で最も多い回答となりました。次いで「引き留めや説得を避けたかったから(25.6%)」や「本音を伝えることで、上司との関係が悪化すると思ったから(20.5%)」、「職場全体に、率直な意見を言いにくい雰囲気があったから(20.5%)」が続く結果となりました。
調査結果③6割以上が、前職で日頃、直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えることが「できていなかった」
こうした「退職理由を隠す」という状況が、在職中の日常的なコミュニケーションとも深く関わっているかを確かめるために、前職における上司・部下間の普段のやり取りについて確認しました。
回答者全体を対象に「前職で働いていたとき、日頃、直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えることができていたか」を尋ねたところ、「できていなかった」が39.1%で最も多い回答となりました。これに「どちらかといえばできていなかった(22.4%)」という回答の比率を合計すると61.5%に上り、この結果から、回答者全体の6割以上が、日頃から直属の上司に意見や悩みを率直に「伝えられていなかった」ことが判明しました。一方で、直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えることが「できていた」という回答は9.7%にとどまる結果となりました。
調査結果④ 退職者が「本当の退職理由をすべて伝えた」割合は、日頃から上司に意見や悩みを率直に話せていた人とそうでない人で、約2.9倍の差
また「前職で働いていたとき、直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えることができていたか」の回答を、「できていた層(できていた+どちらかといえばできていた)」と「できていなかった層(できていなかった+どちらかといえばできていなかった)」に分けて比較すると、「できていた層」では、本当の退職理由を「すべて伝えた」と回答した割合が52.3%に達しました。一方で、「できていなかった層」では同割合が18.2%にとどまり、約2.9倍の差がある結果となりました。この結果から、日頃から直属の上司に意見や悩みを率直に伝えられる関係性を築けている層ほど、退職時にも会社側に対して本音(本当の退職理由)を明かす傾向にあることがわかりました。
退職に至る背景に関する補足データ
退職を考えた最大の要因は「給与の低さ」が最多となるも18.5%。回答は仕事内容や業務量、職場の人間関係などに分散
回答者全体を対象に「前職で働いていた際、退職を考えるうえで最も大きな要因となった不満は何だったか」を尋ねたところ、「給与の低さ」が最も多い回答となったものの18.5%にとどまりました。次いで「仕事内容が合わない、またはやりがいを感じられないこと(14.2%)」、「業務量の多さや長時間労働(11.8%)」などが続く結果となり、特定の要因に回答が集中しませんでした。このことから、退職を考えた最も大きな要因となる不満は待遇面だけでなく、仕事内容の不一致や働きがい、上司・同僚・部下との関係など、多岐にわたることが明らかになりました。
半数以上が、前職において退職を考え始めてから会社に退職の意思を初めて伝えるまでに「3カ月以上」の期間を要している
回答者全体を対象に「前職において、退職を考え始めてから、会社に退職の意思を初めて伝えるまでに、どのくらいの期間があったか」を尋ねたところ、「1カ月以上3カ月未満」が35.8%と最多の回答となったものの、「1カ月未満」という回答は10.3%にとどまりました。一方で「3カ月以上6カ月未満(30.3%)」と「6カ月以上(23.6%)」の各回答を合計すると53.9%となりました。この結果から、退職の意思は突然形成されるのではなく、多くの若手社員が数カ月にわたって退職を検討したうえで、会社に意思を伝えていることがわかりました。
代表取締役社長 荒川 陽子 コメント
本調査で最も注目すべき発見は、20~30代の転職経験者の70.9%が、本当の退職理由を会社に「すべては伝えていない」という点です。
企業では、退職時の面談をもとに離職理由を把握することが一般的ですが、実際には本音の一部しか把握できていません。これには、企業側の事情も影響しています。多くの人事部門では、マンパワー不足やスキルの課題から、退職者インタビューを十分には実施できておらず、形式的で短時間の聞き取りに終わっているのが実態ではないでしょうか。その結果、人事自体が「退職者の本音がわからない」という状況に直面しています。
本当の退職理由を伝えなかった理由として最も多かったのでは、「本音を伝えても改善されないと思ったから」が最も多く、次いで「引き留めや説得を避けたかったから」「本音を伝えることで、上司との関係が悪化すると思ったから」等が続きました。このことから、若手社員が退職を決断する背景には、「本音を伝えても状況は変わらない」という会社への諦めや、組織の心理的安全性の低さが存在している可能性がうかがえます。
本調査からは、退職の要因が多様であるということも分かっています。要因は給与の低さだけでなく、仕事内容、ワークライフバランス、働きがいなど、人によって異なります。だからこそ、退職者が出た後の対症療法的な改善では対応しきれません。重要なのは、常日頃から社員が違和感やちょっとした不満を感じた時点で、上司や同僚に気軽に相談できる職場づくりです。
日頃から直属の上司に仕事上の意見や悩みを率直に伝えられていた層では、退職時に本当の退職理由をすべて伝えた割合が52.3%だったのに対し、伝えられていなかった層では18.2%にとどまりました。この34.1ポイントの差は、そうした環境がいかに重要であるかを象徴しています。社員が気軽に相談できる関係性と、問題意識を受け止めて改善に繋げる仕組みがあれば、企業は早期段階で課題を捉え、本当の改善につなげることができるのです。
会社概要
会社名:株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)
所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦3-16-16 住友不動産田町ビル東館 4F
設立 :2009年4月1日
資本金:7,500万円
代表取締役社長:荒川 陽子(あらかわ・ようこ)
会社URL:https://hatarakigai.info/
Great Place To Work®について
Great Place To Work®は、約170ヶ国で年間21,000社以上の働きがい(エンゲージメント)を調査し、一定水準に達した企業を「働きがいのある会社」認定・ランキングとして各国の有力メディアで発表している世界的な調査機関です。30年間のデータに裏付けされた方法論を用いて評価を行う認定・ランキング制度は、企業における採用ブランディングやIR・人的資本開示の目的で広く活用されています。日本においては、株式会社働きがいのある会社研究所がGreat Place To Work®よりライセンスを受け、Great Place To Work® Japan(GPTW Japan)を運営しています。
GPTW Japanでは、「働きがい」は「働きやすさ」と「やりがい」の2つからなるものと考え、その両軸を起点に、持続可能な企業成長に向けた「働きがい向上」を支援しています。

























