官民連携、6割超が地域外企業 専門性を重視、地元ニーズにも着目
企業・団体などと地域課題に取り組む「官民連携」について全国の自治体に尋ねたところ、具体的に進めていると回答した460自治体の6割超に当たる287が、地域外の企業と連携していることが株式会社共同通信社の全国調査で8日、分かった。「専門的な技術やノウハウが必要」が最も多い理由に挙げられ、知見を求めて地域外に連携先を拡大している自治体の実態が浮かんだ。
地元の企業と連携している自治体は201を数え、うち91が地域外とも連携していた。地元と連携する理由について「住民ニーズや地域課題に合致する」が最も多く、地域の事情を知る地元と専門性を持つ地域外のそれぞれの企業が持つ特性に自治体が着目していた。企業を挙げなかったのは63あり、46は大学・研究機関やNPO、住民団体などと連携している。
調査は全国1788自治体を対象に実施し、817(45.7%)が回答した。連携相手は、2023年度以降の事業・構想と26年度当初予算案の事業を基に集計した。

▽足りない技術を外から
「専門的な経験を持つ職員が限られていることや、日常業務と並行して対応している現状もあり、体制の充実やノウハウの積み上げが必要」――滋賀県のある自治体は、こう回答している。地域の中だけでは、専門性を積み上げきれない分野が確かにある。
島根県では、野生イノシシの豚熱拡大や検査を担う獣医師不足などを背景に、ジビエ利用頭数が2022年度の2136頭から24年度には490頭へ落ち込み、対応策を模索していた。
同県美郷町はこの課題に取り組み、県と麻布大学(神奈川県相模原市)、鳥獣対策機器メーカーのタイガー(大阪府吹田市)と2026年2月に協定を締結。大学が病理組織や微生物の検査、企業が防疫資材の開発や検査実務の支援、県が解剖検査、町が検体提供と知見活用の実証を担うことになった。年間2000頭規模の検査体制の構築を進め、地域外の大学や企業の力を生かしてジビエ産業を支える大がかりな仕掛けだ。
外部に求めるのは、高度な技術だけではない。住み慣れた人ほど、地元の見どころに気づきにくいことがあり、外のまなざしが思わぬ発見を生むこともある。
リニア新幹線の駅が置かれる予定の岐阜県中津川市は、JR東海(名古屋市)などと組み、外部の視点を取り入れながら、宿場町を歩いて地域の価値を読み直すプログラムを進めた。企画やデザインの専門家が調査を支え、市内外から延べ200人超が参加したという。その結果、地元参加者に中心市街地をどの程度人に勧めたいか尋ねたところ、評価は参加前の5.3点から9.0点に上がった。また、参加者4人は月例イベントなどを開く「中津川商店」を立ち上げる成果も生まれた。

▽相手探しの壁
調査結果によると、相手を探す段階でつまずく自治体は、決して少なくない。「専門的な経験を持つ職員が限られていることや、日常業務と並行して対応している現状もあり、体制の充実やノウハウの積み上げが必要」と滋賀県のある自治体は指摘する。千葉県の自治体も「推進可能な事業者が見つからない」と明かしている。
たとえ相手が見つかっても、選べる顔ぶれは地域外に偏りがち。佐賀県のある自治体は「専門的な技術やノウハウ、実績を持ち、官民連携を行うことのできる企業は域外の大企業や大学等の研究機関が多い。そのため、地元企業の参入が難しくなる現状がある」と打ち明ける。九州のある県も「取り組みたい事業が異なる場合も多く、マッチングがスムーズにいきにくい」と、相性の合う相手を見つける難しさを語った。
▽地元の力をまちに
地域外に専門性を求める動きが目立つ一方、地元にも見過ごせない力がある。一見結びつかないもの同士を組み合わせ、まちに新しい景色をつくる力だ。

アートを取り入れた耐震不凍給水栓「365すいどう」(盛岡市提供)
盛岡市は、市内に本社を置き、障害のある作家のアートを扱うヘラルボニーと組み、災害時の給水拠点となる耐震不凍給水栓「365すいどう」に、岩手県在住作家のアートを取り入れた。
防災設備とアートという一見結びつかない組み合わせによって、ふだん素通りされる設備が住民の立ち止まる景観に変わり、市民が親しむ水飲み場となる。第1号基は2025年6月に中心市街地で披露され、市は42年度までに小中学校など72カ所へ整備する計画だ。
盛岡市の例が示すのは、異質なもの同士を組み合わせる化学反応を起こすのに、地域外から呼び込む必要はなかったということだ。作家も企業も、地元にいた。地域外に頼るか、地元で足りるか。官民連携は、その見極めを自治体に求めている。(株式会社共同通信社 垂見和磨)














