「流行語」は流行っていない? 「2025年新語・流行語」に関する調査結果が驚きだった
流行語大賞のノミネートを見てこう思ったことはないだろうか。「こんな言葉、流行したっけ?」。世の中では実際どう思われているのか、「2025年新語・流行語」に関する調査が行われた。
社会心理学で組織の課題解決を支援するシンクタンク、応用社会心理学研究所(以下「ASPECT」・大阪市)が、2025年11月に「流行語は流行していない?」アンケートを実施。『「現代用語の基礎知識」選 2025 T&D保険グループ 新語・流行語大賞』にノミネートされた30語について、ノミネート発表から年間大賞が発表されるまでの間に、日本人約1000人に対する調査を行った。アンケートはクラウドワークスで回答者を募り、オンライン上で実施された。
それによると、流行語大賞ノミネート30語のうち、「知っている」と答えた語の数は全体平均約17個。全体の半分以上は知らない人という人が約35%もいた。「流行ったと思う」と答えた語の数は全体平均で約13語。回答者にとって、ノミネートされた言葉の半数以上を「流行ったと思えない」言葉が占めているようだ。
ノミネート30語のうち、「知らない」「流行っていない」「使っていない」ランキングでいずれも1位になったのは、「おてつたび」。流行感を感じている人は全体の1割もいなかった。半数以上の人が「流行った」と感じている語は、「物価高」「クマ被害」など9語しかない。最終的に選出された流行語Top10のうち、半数以上が流行ったと思う語は7語、半数以上が使用する語は「ミャクミャク」「クマ被害」の2語だった。
流行語の中には、「知っているけど流行ったとは思えない」「流行ったけど使わない」言葉もある。認知度と流行感のギャップ度をランク付けした「知っているけれど流行ったと思わない言葉ランキング」で1位となったのは「薬膳」(51.7%)。以下、「企業風土」「戦後80年/昭和100年」が続いた。また、流行感と使用度のギャップ度をランク付けした「流行ったけれど使わない言葉ランキング」では、「エッホ エッホ」がギャップ度40%で1位だった。
調査を実施した「ASPECT」は、流行語を2つに分類する。1つは日本のほとんどの人が知っていて「流行った」と感じている、いわゆる「国民的流行語」。もう1つは性別や世代、利用メディアなどで「流行った」感が大きく違う、一部界隈で爆発的にヒットした「界隈的流行語」だ。
現代では、人々の所属するコミュニティーや接する情報が多様になり、どんな環境でどんな人やメディアと関わっているのか、人による違いがどんどん大きくなっている。各コミュニティー内だけで固有の考え方が共有され社会が分断していくことで、「誰にでも売れるヒット商品が生まれにくい」「政治的思想の違いによって対話が困難になる」といった社会的現象も生まれている——「ASPECT」はそう分析している。「こんな言葉、流行したっけ?」という素朴な感想は、現代社会の状況を正しく反映しているというわけだ。
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