交通遺児育英会奨学生の12.4%がヤングケアラー 「精神的にきつい」「経済的支援を」、対策検討プロジェクト設置
公益財団法人 交通遺児育英会(東京)は、日常的に家事や家族の世話をする子ども・若者を指す「ヤングケアラー」についての2回目の調査を実施。「奨学生全体の12.4%がヤングケアラーとして家族の世話をしている(していた)」などとする概要を、このほど公表した。
調査は6月27日から7月25日の期間にインターネットを通じて実施。同会の奨学生743人のうち、467人(高校生、大学・短大生以上)が回答した。回答率は62.9%。
ヤングケアラーとして家族の世話をしている(していた)奨学生は、全体で12.4%だった。うち、高校生は高校生全体の12.0%、大学・短大生以上では同じく12.8%。同育英会は、「いずれも全国調査と比較して育英会奨学生のヤングケアラーの比率が高いことがわかった」としている。
主な世話の対象者は父親か母親が多く、具体的な世話の内容は「家事」(44.8%)、「外出の付き添い」(34.5%)、「見守り」(31.0%)。世話をしている高校生の50.0%、大学・短大生以上の42.1%が「ほぼ毎日世話」をしており、1日当たり3時間以上を世話に費やしている高校生が25.0%、大学・短大生以上では15.8%いることも分かった。
ヤングケアラーの健康状態については、「精神的にきつい」との回答が高校生で10.0%、大学・短大生以上で23.7%、「時間的に余裕がない」との回答が高校生で10.0%、大学・短大生以上で18.4%あった。
相談の経験があるかを聞いたところ、高校生の50.0%、大学・短大生以上は63.2%が「相談したことがない」と回答。理由としては「誰かに相談するほどの悩みではない」「家族外の人に相談するような悩みではない」「家族のことのため話しにくい」などを挙げた。
支援を求めていることについては、高校生からは「修学への特別支援金」「家庭へのさらなる経済的支援」、大学・短大生以上からは「家庭へのさらなる経済的支援」「進路や就職など将来の相談にのってほしい」といった要望があった。
こうしたことから同育英会は、ヤングケアラー対策検討プロジェクトを設置。「ヤングケアラーと思われる奨学生への面談を進めており、早期に適切な支援を検討している」としている。














