フレイルをVRで疑似体験、予防を支援 大塚製薬がプログラムの提供開始
大塚製薬(東京都千代田区)は12月2日、加齢により心身が衰えた「フレイル」を疑似体験できる仮想現実(VR)のプログラムの提供を始めたと発表した。フレイルの兆候に気付いてもらうことで、健康維持と介護予防を支援しようという狙い。
フレイルは、筋肉量の減少などによって生じる「身体的フレイル」、抑うつや認知機能が低下した「精神・心理的フレイル」、人とのつながりの欠如や経済的困窮が原因の「社会的フレイル」の3種類に分類され、これらの連鎖によって自立度の低下が急速に進むという。
「要介護の前段階」と言われる一方で、見逃されやすい兆候に早く気付いて「栄養」「身体活動」「社会参加」などの対策を行えば、予防や改善が可能とされている。

握力低下(左)や脚力低下(右)などのVR画面
提供を開始した「フレイル予防支援VR」は、大塚製薬とVR開発のジョリーグッド(東京都中央区)との共同事業であるVRトレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」のコンテンツ。
ゴーグルを着用し①握力低下でペットボトルのふたが開けにくい②嚥下(えんげ)機能の衰えにより食事中にむせる③脚力が低下し横断歩道を渡りきれない―といったフレイルのサインを疑似体験できる。フレイル対策も紹介し、生活習慣見直しや行動変容につなげてもらいたいとしている。
自治体や企業、医療・介護施設などのイベントなどでの活用を想定している。費用は1事業所当たり月額3万円から(ほかにゴーグル代なども必要)。
監修に当たった東京大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢機構長は同日の発表会で「フレイルの初期のプレフレイルは4割ぐらいいるとされる。兆しをこれで気付いてほしい。新しい気付きが学びにつながり、学びがあるから日常生活に反映できる。まずサポーターの人たちに体験してもらい『分かりやすかった。市民にどんどん使ってもらうよ』というふうにやりたい」と話した。

プログラムを監修した飯島勝矢氏

















