カンター2026年のマーケティングトレンドを発表
成功のカギはテクノロジーを用い成長を促進しながら自社の差別性を見失わないこと
2025年11月28日
合同会社カンター・ジャパン
2025年11月18日、世界有数のマーケティングデータ&分析企業であるカンター(Kantar:本社ロンドン)は、2026年のマーケティングを形作る10のトレンドを示したレポートMarketing Trendsを発表しました。
カンターのチーフ・インサイトオフィサー、ジェーン・オスラーは次のようにコメントしています。「2025年は業界に新しいテクノロジーの基礎が呈示された年でした。生成AIなどのテクノロジーは、マーケターが人々をより深く理解し、ブランドの成長と価値を高めるためにより賢い意思決定をするのに役立つことが証明されました。今やAIエージェント、アルゴリズムによる推奨、生成AIによる検索が、人々が世界とどのように関わるかを根本的に変えています。AIが私たち全員の共通言語となる時代に、ブランドが信頼できる本物の人間らしいつながりを創出し続けることが極めて重要となります。」
さらに「成功は、高品質かつ責任あるデータ、そしてイノベーションと実験によって築かれなければなりません」と続けます。そして「2026年に成長を遂げるブランドはテクノロジーを活用し、クリエイティビティ、多様性の尊重で成長を実現し、自社の差別性を見失わないブランドです。」
<2026年注目すべき10のトレンド>
拡大するAIエージェント
AIユーザーの約24%がすでにAI搭載のショッピングアシスタントツールを活用しています。人々が商品についてAIに相談し、AIが購入に影響を与えるようになる中、ブランドはこれらAIに積極的に対応すると同時に、従来のチャネルを通じて人々を説得し、楽しませ続ける必要があります。
機械による選択を通じた人とのつながり
AIモデルがあなたを知らなければ、あなたは選ばれることはありません。2026年、チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO:Chief Marketing Officer)の役割は、自社ブランドをAIモデルの学習に使われるコンテンツに確実に存在させることになるでしょう。AIに料理のレシピやハウツーガイド、レビューなどのおすすめを尋ねたとき、適切なブランドが表示されるためには、ブランドがマーケティング戦略の一環として、生成エンジン最適化(GEO:Generative Engine Optimization) に対応する必要があります。最も強いブランドとは、AIが語るストーリーを形作るブランドです。
合成データ(Synthetic Data)と拡張オーディエンス
AIによるオーディエンスの拡張は、マーケターの理解を深め、より効果的な戦略立案を可能にしますが、その是非(良し悪し)はデータ品質に大きく左右されます。2026年にはデジタルツインの進化に加え、テキスト、音声、画像、そして仮想現実(VR)の急速な統合が進むでしょう。こうした変化に対応するため、企業は強固なシステムを構築し、強力な管理体制、及び信頼できるパートナーと協力する必要があります。
クリエイティブ最適化をクリエイティブ・インテリジェンスへ変革する
マーケターの74%が生成AIに期待を寄せていますが、本当に効果を発揮する場面で生成AIを活用することにも目を向けなければなりません。CMOは、クリエイティブなマーケティング活動が市場の注目を集め、人々の感情を動かし、彼らの購買意欲に影響を与えることを確認するために、試行錯誤を重ねる必要があります。この試行錯誤には質の高い洗練されたデータセットと現実味をもたらす人間らしさが不可欠です。
毎日をちょっとしたご褒美で楽しもう
『トリートノミクス』(小さなご褒美文化)は、小さな喜びを通じて楽観性と自分のコントロール(平常心、落ち着き)を取り戻すことを目指しています。大きなゴール(”マイル”ストーン)に向かう途中で苦しかったり、いやになってしまう状況で、人々は小さなステップ(“インチ”ストーン)を祝うことでモチベーションを保つことができます。実際、36%の人が、楽しみのためなら短期的な借金も問題ではないと答えています。CMOは、自社ブランドが消費者の現状に寄り添えているかを問い、日常の瞬間に一緒に喜びを生み出せるようなブランドとする必要があります。
実験で加速:成長のエンジンとしてのイノベーション
イノベーションはブランドの成長を何倍にもする力を持っており、過去20年間で常識を壊す革新的なブランドは6.6兆ドルの価値を創出してきました。そのような中、安全策を取り続ける企業は、将来のブランドの成長を犠牲にすることになります。ブランドが成功するのは、実験を“当たり前”にした時です。ブランドとして、チームが積極的に新しいことに挑戦でき、実験そのものが評価される、リスクに対して寛大な文化を組み込むことが重要です。そして何より、イノベーションはテクノロジー主導ではなくブランド主導であるべきであり、ブランドの理念、消費者のインサイトに根ざしたものでなければなりません。
岐路に立つブランド:多様性を受け入れる力が企業を成長へと導く
多様性と包括性を推進する企業を評価する人は65%に達し、2021年の59%から増加しています。2026年には、先進的なブランドは過去のパフォーマンス的なメッセージを捨て、インクルーシブなイノベーション、それぞれの文化に精通したプログラム、そして社内外での信頼性のある表現に注力するでしょう。逆風が吹く中、ブランドは自らの価値観を明確に示し、確信を持って行動することが求められます。
リテールメディアネットワーク(RMN:Retail Media Network)の成長
RMNは消費者へのリーチにおいて中心的な存在になりつつあります。2026年には、マーケターの38%がRMNへの投資を増やす計画をしています。RMNは高いパフォーマンスを発揮し、デジタル広告と比べて1.8倍、ほぼ3倍の購買意欲を高める効果を示しています。消費者を中心に据えた広告を作るためにはブランドと小売業者は緊密に連携する必要があり、さまざまな小売接点からのデータ統合が成功のカギとなります。
クリエイターが効果測定の場で存在感を示す時
2026年には、マーケターの61%がクリエイターコンテンツへの投資を増やす計画を立てており、コンテンツのROIやブランド構築への影響に関心が高まっています。システム化されたクロスチャネルのコンテンツは、10年前に比べ2.5倍重要性が高まっていますが、実際ブランドと強く結びついているクリエイターコンテンツは全体のわずか27%しかありません。2026年には、単発のクリエイター施策から、ブランドとクリエイターコンテンツを強く結びつける長期的なクリエイティブプラットフォームへの転換が必要となるでしょう。一方でCMOにとっては、クリエイターが自分らしさを発揮できるよう、明確な管理体制と成功指標を設定することが不可欠になります。
マイクロコミュニティがソーシャルメディアマーケティングの大きな力に
ソーシャルメディア内のアルゴリズムによる消費者への情報提供(フィード)は一般的でセールス色の強いコンテンツを優遇します。複雑で、非人間的な環境に直面すると、人々はより意味のあるつながりを求めてマイクロコミュニティに移行するようになります。リーチよりも、現実味と関連性がエンゲージメントを高める要素となるため、ブランドは消費者の興味にささる実質的な価値と一貫性、信頼性を示すことでその価値を高めることができます。
以上
【カンターについて】
カンターは、世界の有力企業にとって不可欠なブランドパートナーであり、世界をリードするAIネイティブのマーケティングデータ・アナリティクス企業です。私たちは、最も意味のある態度データと行動データを、深い専門知識と高度な分析技術と組み合わせ、人々の思考と行動のメカニズムを解明します。クライアントが「何が起こったのか」「その理由」を理解し、未来を形作るマーケティング戦略を構築するお手伝いをします。
カンターグローバルウェブサイト:https://www.kantar.com/
【カンター・ジャパン会社概要】
社名:合同会社カンター・ジャパン
本社:東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー6F
事業内容:市場調査・コンサルティング
マネージング・ディレクター :佐々木 亨
カンタージャパンウェブサイト:KANTAR JAPAN カンタージャパン










