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日本とアフリカの若者が未来を共創するための対話と交流

第9回アフリカ開発会議(TICAD9)テーマ別イベント レポート⑤

2025年8月22日
独立行政法人国際協力機構

第9回アフリカ開発会議(TICAD9)テーマ別イベント レポート⑤

 

日本とアフリカの若者が未来を共創するための対話と交流―

 

国際協力機構(JICA)は、2025年8月20日、横浜・インターコンチネンタルホテルにて、オンラインとのハイブリッド形式で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)テーマ別イベント「若者のつながりが拓く未来‐アフリカとの往来から(TOMONI Africa)」を開催しました。

本イベントでは、日本とアフリカをつなぐ大学生・留学生の交流事例を紹介し、相互理解を深めるパネルディスカッションを行いました。ルワンダ共和国 駐日ルワンダ ムカシネ・マリー・クレール特命全権大使、山際大志郎衆議院議員を迎えJICA関係者や、アフリカ訪問経験を持つ日本の大学生、ABEイニシアティブ留学生、日本の大学関係者らが集結。現地とオンライン合わせて、多くの参加者が若者同士の学びと交流の意義に耳を傾けました。

 

本イベントは、JICAが推進する「TOMONI Africa構想」を共有・発表し、日アフリカ間の人材環流、若者の交流を促進することを目的に企画。これまでアフリカとの接点が限られてきた日本の若者が、渡航を通じて発見した現地の魅力や将来への抱負を語り、その国出身のABEイニシアティブ留学生からのコメントを受けることで、異なる視点から議論を展開しました。

 

開会にあたり、JICA 小林広幸理事が挨拶し、アフリカが持続的に発展していく可能性、テクノロジーを効果的に活用している状況を伝え、共に持続的な未来をつくる日本のパートナーとしての重要性を説明。若い世代への期待を述べました。

 

来賓挨拶として、ルワンダ共和国 駐日ルワンダ ムカシネ・マリー・クレール特命全権大使が登壇。アフリカを訪れた日本の勇気ある若者に感謝を述べ、「敬虔な語り手として、アフリカのダイナミックな力を伝えていく力を持つこと」に期待を込めた上で、日本とアフリカの若者が「相互理解と共通の成長、共に作り出す革新への挑戦」を進めることへの思いを伝えました。

 

また、来賓の山際大志郎衆議院議員は、自身のアフリカへの渡航経験を振り返り、当時の過酷な現地状況を説明。その後40年でアフリカが発展したことと未来に向け大きく成長する可能性を伝え、日本の若い世代のグローバルなアクションへの期待を述べました。

 

その後、JICA アフリカ部 上野修平次長が、「TOMONI Africa構想」について説明を行いました。本構想は、日本とアフリカ双方の若者が互いの地域で学び合い、共創する未来を描くための人材交流の促進を目的としています。

 

上野次長は「今、もっとも成長の可能性を秘めているのがアフリカです。今後は新たなビジネスや文化が発信されていくでしょう。日本の若者がアフリカと交流し、さまざまなことを学ぶことは、いっそう有意義になっています。TOMONI Africaはそうした可能性を拡げるべく、日本国内の自治体や大学を起点とした各種プログラムを開催しています。日本とアフリカの架け橋となる人材を育成することが、TOMONI Africaが目指すゴールです」と述べました。

 

イベントの中心となったのは、日本の大学生によるアフリカ渡航体験の発表です。渡航先(ガーナ、コートジボワール、ルワンダ)でのフィールドワークや地域住民との交流、文化や価値観の違いから得られた学びが生き生きと語られました。

 

発表後には、各国出身のABEイニシアティブ留学生(以下、ABE生)がコメントを加え、自国の視点からの補足やアドバイスを行いました。会場では多様な視点が交わり、日本とアフリカの若者が直面する課題と可能性が鮮明になりました。

 

まずガーナに渡航し、教育分野での学びを深めた東京大学の参加者からは、「日本の教育手法がJICAを通じてガーナにも伝わっていることに、誇りを持つことができた」「実際にプロジェクトに参画し、困難に直面する中で、柔軟性や問題解決能力を成長させることができた」との発表がありました。これに対し、ガーナ出身で広島大学に留学中のABE生は「言語の障壁は、アフリカの地域内の課題の一つです。英語を公用語としている国では、早い年齢で言語を習得することが有効です。日本でも同じ課題があるのではないでしょうか。アフリカへの関心も同様です。若い年齢でアフリカの情報に触れ、渡航し、友人をつくることを期待します」と述べました。

 

コートジボワールに渡航し、アフリカの今を学ぶ視点を養うためにさまざまな機関を訪問した上智大学の参加者からは、「印象に残っているのは現地の人々の優しさです。また、「提携先の大学生と開発、経済、児童労働などについて議論を交わし、日本側の視点だけでは理解できない現地事情を知ることができました。」「現地でしか得られない学び、情報、出会い、経験があるので、まずは皆さんアフリカに行ってみませんか?」との発表がありました。コートジボワール出身で、名古屋工業大学で学ぶABE生からは「私はビデオゲームを通じて日本に興味を抱き、数学を学んで日本に留学しました。交流がさらに活発になることを期待しています」と述べました。

 

続いてルワンダに渡航し、平和や医療など各領域について現地調査を行なった中央大学の学生の参加者からは、「1994年にルワンダで発生した大虐殺とその後の和解を経験した現地の人々の話を聞き、『話を伝えるアンバサダーになってほしい』という言葉を受け、悲惨な経験を伝えていく責任を感じました」「現地の起業家の話を聞き、個人としての成功よりも社会課題の解決を優先する姿勢に圧倒されました」「ルワンダの医療課題に触れ、子どもの健康には栄養が大きく関わっていることを改めて感じました。栄養バランスに優れた和食に可能性を感じるなど、新たな視点を得られました」などの感想が述べられました。北海道大学で学ぶルワンダABE生は、「私は日本のリーダー、起業家と出会い、さまざまなことを学びました。ぜひ皆さんも日本を担うリーダー、起業家になってください。そして、今回の渡航で築いた関係を今後も繋げていってください。」とのコメントがありました。

 

その後、JICA 中村俊之理事長特別補佐の進行のもと、日本の大学生、アフリカ各国のABE生がパネルディスカッションを行いました。「アフリカに渡る日本の若者を増やすためにできること」というテーマに対して、ABE生から「アフリカはもはや未開な地域ではないため、アフリカの魅力を知って日本の若者に来てもらいたい。」といった意見が述べられました。

 

また、「日本とアフリカの架け橋となることへの抱負」「日本の若者へのメッセージ」として、双方の学生から「今こそ日本の若者がアフリカに来る、最大のチャンスです。テクノロジーをはじめ日本には優れた点も多く、私たちは皆さんを待っています。」(ABE生)、「フレッシュな視点を持つ若者同士、日本とアフリカの学生が交流する機会は重要です。社会課題に挑戦する熱い気持ちやそれを志すスタートアップや起業家の存在など、アフリカから学ぶことも多いでしょう。私も将来は日本とアフリカをつなぐような人材になりたいです」(日本人大学生)など、さまざまな思いが共有されました。

 

閉会挨拶では、東京大学 林香里理事・副学長が「登壇していただいた皆さまの話を聞き、多くの若者がアフリカに強い関心を抱いていることに感銘を受けました。今でも日本の多くの若者にとって、アフリカは馴染みのない地域です。しかし、物理的な距離は大きな問題ではなく、共通の課題を有するパートナーであり、それぞれから多くの学びを得ることができるでしょう。将来を担う世代の皆さんが、日本とアフリカをつないでいくことに期待します」と述べ、参加者にエールを送りました。

 

今回のイベントは、日本とアフリカの若者が互いに学び合い、未来の協力関係を築く第一歩となりました。今後もJICAは、相互理解と人材交流を促進するプログラムを継続的に実施していきます。

 

写真

 

ルワンダ共和国 駐日ルワンダ

ムカシネ・マリー・クレール特命全権大使

 

 

山際大志郎衆議院議員

 

 

東京大学 学生の発表の様子

 

 

上智大学 学生の発表の様子

 

 

中央大学 学生の発表の様子

 

 

意見交換を行うABE生

 

 

パネルディスカッションの様子

 

 

東京大学 林香里理事・副学長

 

 

セッションに参加したメンバーの集合写真

 

 

事後レポート配信予定のテーマ別イベント一覧

 

8月20日(水)

【テーマ別イベント レポート①】

□タイトル:アフリカにおける⼈間の安全保障と経済開発:多元的な課題への対応と2030年以降の未来

□日時:8月20日(水)10:30~12:10

□場所:横浜ベイホテル東急 B2F「アンバサダーズホールルームB」

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【テーマ別イベント レポート②】

□タイトル:ABEイニシアティブ・TOMONI Africa関連イベント:ABEイニシアティブのこれまでとこれから~更なる架け橋人材の育成を目指して~

□日時:8月20日(水)11:00-13:00

□場所:JICA横浜センター 4F 「かもめ」

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【テーマ別イベント レポート③】

□タイトル:日本・アフリカ間の海を越えた大学間交流・連携の経験および展望

□日時:8月20日(水)12:10-14:00

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「パール」

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【テーマ別イベント レポート④】

□タイトル:高専オープンイノベーションチャレンジ・未来を創る共創力 ~アフリカ×日本・10代からの開発課題解決〜

□日時:8月20日(水)14:00-16:00

□場所:JICA横浜センター 4F「かもめ」

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【テーマ別イベント レポート⑤】

□タイトル:若者のつながりが拓く未来‐アフリカとの往来から-(TOMONI Africa)

□日時:8月20日(水)15:00-16:40

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「パール」

 

8月21日(木)

【テーマ別イベント レポート⑥】

□タイトル:JICAアフリカ・ホームタウンサミット ~アフリカの発展と地方創生を共につなごう~

□日時:8月21日(木)09:00-11:00

□場所:横浜ベイホテル東急 B2F「アンバサダーズホールルームB」

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【テーマ別イベント レポート⑦】

□タイトル:国際協力機構(JICA)・アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)第5次協力覚書(MOC)署名式およびシンポジウム「アジェンダ2063に向けた日本・アフリカ共創」

□日時:8月21日(木)12:30-14:20

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「パール」

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【テーマ別イベント レポート⑧】

□タイトル:債務管理で開発加速!アフリカの持続可能かつ強靭な成長に向けて

□日時:8月21日(木)15:20-16:50

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「パール」

 

8月22日(金)

【テーマ別イベント レポート⑨】

□タイトル:新興国によるアフリカ協力

□日時:8月22日(金)09:00-10:40

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「シルク」

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【テーマ別イベント レポート⑩】

□タイトル:Africa×Cultureシリーズ「遺すこと、生きること -アフリカと日本の文化遺産が語る未来-」

□日時:8月22日(金)10:00-11:30

□場所:パシフィコ横浜 展示ホールD

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【テーマ別イベント レポート⑪】

□タイトル:いのち会議 アフリカと共に創る未来社会:SDGs達成とその先へ

□日時:8月22日(金)12:30-14:30

□場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 1F「シルク」

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【テーマ別イベント レポート⑫】

□タイトル:Africa×Cultureシリーズ「アフリカと日本を編む -アートと手仕事がつなぐ新たな社会のかたち-」

□日時:8月22日(金)12:40-14:10

□場所:パシフィコ横浜 展示ホールD

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【テーマ別イベント レポート⑬】

□タイトル:Africa×Cultureシリーズ「音楽でアフリカと日本をつなぐ」

□日時:8月22日(金)16:00-17:30

□場所:横浜ベイホテル東急 B2F「アンバサダーズホールルームB」

※各テーマ別イベントの詳細情報は下記URLよりご確認いただけます。

URL:https://ticad9event.jica.go.jp/

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