ダラキューロ®をベースとする4剤併用療法、移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫、日本人データ発表
ダラキューロ®配合皮下注をベースとする4剤併用療法、新たに多発性骨髄腫と診断された 患者さんにおいて、微小残存病変陰性率を改善し、病勢進行又は死亡リスク低下を示す
日本人集団では、微小残存病変(10-5)陰性率77.8%及び病勢進行又は死亡リスク66%低下を示す
ダラキューロ®配合皮下注、ボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンとの4剤併用療法(DVRd療法) 移植の適応とならない患者さんを対象とした第III相CEPHEUS試験の日本人サブグループ解析で 全体集団と一貫した結果を示す
Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・リーガー、以下「J&J」)は、移植の適応とならない患者さんを対象とした第III相CEPHEUS試験1の日本人部分集団解析の結果を発表しました。CEPHEUS試験(NCT03652064)は、移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者さんを対象に、ダラキューロ®配合皮下注〔ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、以下「ダラキューロ®」〕とボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの4剤併用療法(DVRd療法)の有効性と安全性をVRd療法と比較する試験です。試験の結果、日本人部分集団においても、CEPHEUS試験の全体集団と一貫した結果を示しました。これらの結果は、2025年第87回日本血液学会学術集会(The Japanese Society of Hematology:JSH)にて口頭発表されました。
J&J Innovative Medicine Oncology Therapeutic Area HeadのYusri Elsayed, M.D., M.H.Sc., Ph.D.は、次のように述べています。「多発性骨髄腫の初回治療にて、深く持続的な奏効を達成することは、予後の改善や生存期間に大きく影響します。ダラキューロをベースとする4剤併用療法(DVRd療法)は、この度移植が適応とならない日本人患者さんおいても、深く持続的な奏効を示しました。私たちは、DVRd療法をご提供することで多発性骨髄腫の初回治療を更に進歩させるべく、尽力して参ります」
CEPHEUS試験の最初のデータは2024年の国際骨髄腫学会(IMS)年次総会のLate Breakingで発表されました。DVRd療法群はVRd療法群と比較して、主要評価項目であるMRD陰性率(10-5:骨髄細胞10万個中にがん細胞が検出されず)の統計学的に有意な改善を認めました。観察期間中央値58.7カ月において、MRD陰性率(10-5)は、DVRd療法群60.9%、VRd療法群39.4%で(OR [オッズ比]、2.37; 95% 信頼区間 [CI]、1.58-3.55; P<0.0001 名目上のp値)、より深い奏効を示しました。また、MRD陰性が12カ月以上持続した患者さんの割合は、DVRd療法群において、VRd療法群の約2倍でした(48.7% vs 26.3%; P<0.0001 名目上のp値)。さらに、PFS中央値はVRd療法群が52.6カ月であるのに対し、DVRd療法群は未達であり1、DVRd療法群はVRd療法群と比較し、病勢進行又は死亡リスクを43%有意に低下させたことも示されました(HR [ハザード比], 0.57; 95% 信頼区間 [CI]、 0.41-0.79; P<0.0005 名目上のp値)1。
今回の日本人部分集団解析では、DVRd療法群9例とVRd療法群13例を対象としました。解析の結果、日本人部分集団においても全体集団と一貫した結果を示しました。主要評価項目であるMRD陰性率(10-5)は77.8% vs. 46.2% (DVRd療法群 vs VRd療法群)、持続的MRD陰性率(≥12カ月)は55.6% vs. 38.5%(DVRd療法群 vs VRd療法群)、またDVRd療法群では病勢進行又は死亡のリスクを66%減少させ、全体集団と一貫した結果でした。また安全性に関し、DVRd投与において観察された有害事象は各薬剤の既知の安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは特定されませんでした。以上のことから、DVRd療法はベネフィットとリスクのバランスが良好であり、日本人の患者さんにおいても、移植の適応とならない患者さんに対する新たな治療選択肢となると考えられます。
CEPHEUS試験について
CEPHEUS試験(NCT03652064)は、移植非適応又は初回治療として造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者さんを対象に、DVRd療法の有効性と安全性をVRd療法と比較する、現在進行中の多施設共同、無作為化、非盲検、第III相試験です1,2。本試験には、新たに多発性骨髄腫と診断され、移植非適応又は移植が適応とならない患者さん395例が組み入れられています1。主要評価項目は、感度閾値10-5でのMRD陰性率で、主な副次評価項目はCR以上の奏効率、PFS、12カ月以上の持続的MRD陰性率です1。DVRd群及びVRd群に組み入れられた患者さんの年齢の中央値は70歳(範囲31-80歳)でした。本試験は、日本を含む北米、南米及び欧州の計13カ国において実施されました1。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じる治癒困難な血液がんです3,4。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します3。日本国内における2021年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,800人5で、2023年の死亡者数は約4,300人5とされています。
多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、赤血球の減少、倦怠感、高カルシウム血症、腎障害などにより受診し診断されることがあります6。
ダラキューロ®配合皮下注について
ダラツムマブ皮下投与製剤であるダラキューロ®は、日本では2021年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認され、同年5月に発売されました。多発性骨髄腫、全身性ALアミロイドーシスの2つの疾患にわたり、5つの治療レジメンで使用されます。
ダラキューロ®は、2025年6月25日、ダラキューロ®の添付文書改訂により、造血幹細胞移植の適応・非適応に関わらず未治療の多発性骨髄腫に対するDVRd療法として使用可能になりました。
また米国では、2020年5月に米国食品医薬品局の承認を取得し、多発性骨髄腫における9つの適応症に対して承認されています。そのうちの4つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です7。本剤は、多発性骨髄腫治療薬として承認されている唯一の抗CD38抗体薬皮下注製剤です。ダラキューロ®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20と共に製剤化されています。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報は www.jnj.com/innovativemedicine/japan/ をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びダラキューロ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
参考文献
1 Usmani S Z, et al. Daratumumab + Bortezomib/Lenalidomide/Dexamethasone in Patients With Transplant-ineligible or Transplant-deferred Newly Diagnosed Multiple Myeloma: Results of the Phase 3 CEPHEUS Study. Oral presentation. 21st International Myeloma Society (IMS) Annual Meeting. September 25 – 28, 2024.
2 Clinicaltrials.gov. A Study Comparing Daratumumab, VELCADE (Bortezomib), Lenalidomide, and Dexamethasone (VRdDVRd) With VELCADE, Lenalidomide, and Dexamethasone (VRd) in Participants With Untreated Multiple Myeloma and for Whom Hematopoietic Stem Cell Transplant is Not Planned as Initial Therapy. NCT03652064. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03652064?term=NCT03652064&cond=Multiple%20Myeloma&rank=1&a=63.
Last accessed: October 2025.
3 Abdi J et al. Drug resistance in multiple myeloma: latest findings and new concepts on molecular mechanisms Oncotarget. 2013;4(12):2186–2207.
4 American Society of Clinical Oncology. Multiple myeloma: introduction. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/multiple-myeloma/introduction
Last accessed: October 2025.
5 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/26_mm.html#anchor1
Last accessed: October 2025
6 American Cancer Society. Multiple myeloma: early detection, diagnosis and staging. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/CRC/PDF/Public/8740.00.pdf.
Last accessed: October 2025.
7 DARZALEX FASPRO® U.S. Prescribing Information