ケナ・ハリス共同監督&リンジー・コリンズプロデューサー「おもちゃたちがデバイスのことをどう思うのかという視点がとても面白い」『トイ・ストーリー5』【インタビュー】
-今回は、子どもたちにとって、友達という存在は何なのか、相手はデバイスでもいいのか、それともやっぱり人間がいいのかなど、いろいろと考えさせられるところがありました。
コリンズ 今回は、友情の形みたいなものが物語を開発していく上での鍵になりました。特にポニーについて言えば、シリーズの中で子どもの中でどんなことが起きているのかが分かるのは今回が初めてなんです。今までは、おもちゃたちの気持ちを描いていたので、子どもたちがどんなことを考えているのかは分かりませんでしたが、今回は分かります。彼らは、人とつながりたいとか、友達を作りたいと考えて葛藤しているのです。そこから、遊べる相手はオンラインでいいのか、実際に触れられる対面がいいのかということを考えて、何度も脚本を書き直していく中で、極まっていったテーマでした。
ハリス 最初から、デバイスの画面ばかり見ている今の子どもたちを裁くつもりは一切ありませんでした。それこそ、つながり方はたくさんあるわけで、今までのシリーズでも、こういうつながり方もあるんだよということを見せてきたと思っています。だから、相手は動物やデバイスの画面でもいいのかもしれないし、人間の友人でもいいかもしれないけれど、今の子どもたちが置かれている状況をリアルに描くことを心掛けました。そして、ボニーがちょっと変わった子どもで、ジェシーは誰よりもそのことを知っているからこそ、ボニーとうまく付き合える友達をどうしても見付けたいと考えている。遊びを通して友情を深めてもらいたいと思って頑張るというストーリーになっていきました。
-ウッディがメタボになって、ちょっとハゲもできたりして、おもちゃも年を取るところが面白いと思いましたが、このシリーズは、おもちゃの持ち主が男の子から女の子になったり、今回のデバイスの登場など、おもちゃを取り巻く環境の変化が一貫して描かれていますが、そうした変化を描くことについては、どう意識しているのでしょうか。
ハリス それは本当に話したいことであり、いつも大事にしてきたことでもあります。日本の状況は分かりませんが、アメリカではシリーズが5本も続くのは珍しいんです。ということは、このシリーズとともにたくさんの方が一緒に育ってくれたと思います。変化ということについては、当初から一貫して描いてきたテーマです。人生においてわれわれがどのように変化していくのか、大人の階段を上る時にはどんなふうに変化するのか。そして、遊びだけでよかった子どもから、自分が親になって面倒を見なければならない子どもができた時にはどう変わるのかと。だから、子どもだった人が、自分の子どもを連れて見に来てくれると、人生のポジションも感じ方も前とは違うわけですから、彼らの成長もこのシリーズを通して見えるようになってくれたらいいといつも考えています。それを常に頭の隅に置いて作っているからこそ、『トイ・ストーリー』は色あせない作品になっているのだと思います。面白いのは、おもちゃも自分が子どもたちの面倒を見ているんだと思っていて、ある意味小さな親みたいなところがあります。その中でおもちゃたちも当然変化していきます。それは見た目だけではなくて、心の成長という変化でもあるわけです。
(取材・文/田中雄二)

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