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上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

-ジュゼッペ役の佐野晶哉さんの印象はいかがでしたか。

 ご一緒するのは今回が初めてでした。先に佐野さんの声が吹き込まれている状態でアフレコをさせていただきましたが、1日だけ一緒にお芝居ができた日がありました。その時に、第一声から本当に迷いなくジュゼッペだなと感じたので、役をつかむ速さや、役を自分のものにしてしまうスピードがとてつもなく早いと思いました。劇中でジュゼッペがいろんな言語を一気に話すシーンがあるんですけど、そこもよどみなくやってらっしゃって。きっと裏ではすごい努力をしてらっしゃるんでしょうけど、そのご苦労をあまり見せずにさらっとこなしてしまうスマートさも感じました。とにかくこの作品に懸ける思いや愛情というものを、アフレコの時から感じていたので、とても頼もしいパートナーだと思いながらお芝居をしました。

-佐野さんの声が先に入っていたことは助けになりましたか。

 そうですね。すごくぜいたくでしたし、2人の掛け合いのところは、1日だけご一緒できたアフレコの日に同じ空間で2人で録ったんですけど、その掛け合いの時は私たちも初めましてでしたし、ペチカとジュゼッペも初めて出会うシーンだったので、そのリアルな初めまして感が、声としてもちゃんと乗ったかなと思います。

-ジュゼッペとペチカ、さらにペチカとタタンとの関係性、ジュゼッペの『シラノ・ド・ベルジュラック』のような行動も切ないですね。

 確かにあそこはちょっとほろ苦い大人の恋愛の要素もあったりします。ペチカがタタンにしか見せない顔というのもすごく感じました。でも、タタンにはないものをジュゼッペは持っているし、過去と今を見つめ直すシーンでもあるので、2人の対比が面白いなと思いました。ジュゼッペのように誰かになりすましてお芝居をするのはやってみたいですね。ちょっと切ない感じもしますけど、ジュゼッペの懸命な感じが出ていてグッとくるシーンだと思います。

-完成作を見てどんな印象でしたか。

 見終わって試写室を出た時に、その日の空や街の中にあるものがすごく美しく見えて、ちょっと心の洗濯をしたような気持ちになりました。アフレコは基本1人でやっていたので、他の方が当てられた声を聞くと、よりキャラクターが魅力的に思えたりもしました。とにかくこの作品の中に流れているものがとてもすがすがしくて美しいものばかりなので、早くいろんな方に見ていただいて、心を掃除するような気持ちになってほしいなと思いました。

-映画の魅力や見どころも含めて、これから見る観客や読者に向けて一言お願いします。

 タイトルに『トリツカレ男』とあるように、人だけではなくて物とか趣味とかでもいいので、何かにとりつかれて、いろんなことに心血を注いできた方たちに送りたいお話ですし、改めて人が人のことを思って起こすアクションってすごくいいよねと思わされるような作品になっています。年齢制限もないので、小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います。

-最後に上白石さんのお気に入りのシーンを。

 ジュゼッペとペチカが出会って、「ファンファーレ ~恋に浮かれて~」という曲を歌って、2人が空に舞い上がるシーンがあるんですけど、そこは、自分が心を許せる相手に出会えた喜びや、胸が高揚する感じがすごく出ているシーンです。歌もすごくいいですし、その歌と一緒に流れる2人の動きや街の背景もとてもきれいなので、そこはぜひ注目してほしいです。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会

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