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黒崎煌代 遠藤憲一「新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います」『見はらし世代』【インタビュー】

-団塚監督の印象は?

遠藤 出来上がった映像を見て、びっくりしました。予想だにしないアングルがあったり、編集にも想像がつかないような斬新さがあって面白かった。監督は、撮影中に何か言う時も、この若さでと思うぐらいとても適切でした。言うことが全て鋭いから、こちら側の変な思いつきを入れるよりも、監督から言われたままにやった方が新しくていいものができると思いました。若いからとかは関係ないです。何か独特の才能があるんでしょうね。

黒崎 3年ぐらい前、『さよなら ほやマン』の時に知り合って今は友達です。今、監督が27歳で僕が23歳ですけど、例えば、「ここをもうちょっとこうしたら、優しい、いい感じになる」みたいな会話ができるのは、やっぱり同世代だからなのかなと思いました。

遠藤 俳優によって掛ける言葉が違うのがすごいよね。(妻役の)井川(遥)さんとは結構役に関してのディスカッションをいっぱいしていたけれど、俺とはそういう感じじゃなかった。みんな言われていることが全然違うんですよ。

-今後、監督として相当伸びていくような印象を受けましたか。

遠藤 これからどんどんと伸びていくんじゃないですか。ただ、今は自分の作りたいもの作っていると思うけど、だんだん仕事も増えていくと、エンターテインメント性の高いものを要求されることもあると思います。それを受けるのかというのもあるけれど、それをやったらどんな作品になるのかが楽しみだとも思います。

-撮影中のエピソードで何か面白いものがあれば。

黒崎 遠藤さんのSNSを見たら、遠藤さんが踊っているんです。それを見た後に、遠藤さんに向って花を投げつけるシーンをやったら、僕が笑ってしまって何度もNGになりました。

遠藤 それを見て俺も笑いをこらえるのに必死だったよ。プロデューサーからも「これはもしかしたら海外に行くような作品になります。もっと集中しましょう」と言われました。こんなに年が違うのに2人そろって怒られてしまいました。役柄とは全然違う。よくこんな2人がこの役をできたなと思います。

-この映画では渋谷の街が印象的に映りますが、お二人の目にはどのように映りましたか。

遠藤 今、宮下パークで遊んでいる若い人たちは、あそこにホームレスの人たちがいたり、いろいろな葛藤があった過去のことは知らないですよね。それでも町は進んでいく。この家族も、過去にはいろいろなことがあって、今は別れて暮らしながらも生まれ変わろうとしている。そういう意味で、この映画は一つの街と家族の姿を上手にリンクさせていると思います。ただ、渋谷が再開発されたように、家族の方も一つにまとまっていくというのが普通の描き方ですが、とにかく距離を置いて見ているし、べたべたしない。そこがすごいと思いました。今後、監督が成功すればするほど、この「見はらし世代」というタイトルが、「Z世代」や「バブル世代」と同じように、新しい言葉になっていくんじゃないかなと思います。

-完成作を見た印象と、これから映画を見る観客や読者に向けて、見どころも含めて一言ずつお願いします。

黒崎 この映画には、50代のお父さんから20代の若者まで、いろんな世代の人間が出てきます。だから、すごく普遍的なものが詰まっていると思います。こちらが何を感じてほしいと言うよりも、見た方が、何か一つでも感じていただければいいんじゃないかなと思います。

遠藤 黒崎くん、木竜ちゃん、監督も含めて、新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います。その人たちがどんなものを作り上げたのかというのは、言葉ではなかなか説明しきれないので、ぜひこの新鮮な感覚を劇場で見て味わってほしいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

『見はらし世代』

  • (左から)黒崎煌代 遠藤憲一 (C)エンタメOVO

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