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青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

(C)TBSスパークル/TBS(撮影:加藤春日)

 青山監督は、作品全体を通して「悪い人は登場しない」というコンセプトを掲げている。「医師1人1人に信念があって、それがぶつかることで摩擦が起きているだけ。それぞれの立場や哲学を持ったキャラクターとして描いています」。

 例えば、池田成志が演じる外科部長・東郷陸郎は、経営の視点から魚虎総合病院の方針を考える立場だが、「総合診療科は利益を生まないからと、目の敵にしているように見えるかもしれませんが、実際は病院を守るという信念を持っている」と青山監督。

 また、東郷の息子である外科医・康二郎(新田真剣佑)も、父の哲学を受け継いでいるキャラクターであり、それぞれの正義がぶつかり合いながらも共存している。「それぞれに正義と信念があるという前提で、登場人物たちの行動を描いていきたい」と語った。

 病を描くことは、時に人の記憶や痛みに触れる行為でもある。青山監督は「病気がテーマのドラマは、過去のことを思い出して嫌な気持ちになる人もいるかもしれない」と前置きしつつも、「このドラマは、そういう人が見ても苦しい気持ちにはならないと思っているし、そういうふうに作ることを心掛けています」と語る。

 「不調があって心がつらくなっていたり、あるいは身近な人が悩みを抱えていたり…。そうした気持ちを持っている人たちに一番届いてほしい」という思いのもと、誰にでも共感できる感情を描いていくことを大切にしている。そうした思いは、ドラマ全体のトーンにも表れている。過度に劇的な演出を避け、患者の言葉にじっくり耳を傾ける構成は、まさに“受診体験”そのものだ。

「日曜劇場という枠で、こうした静かなドラマを放送するのは挑戦でもありますが、だからこそ意義があると感じています」と青山監督は言葉を重ねた。

 後半に向けては終末期医療(ターミナルケア)のエピソードも登場する。ある患者の人生に1話をかけて寄り添うことで、滝野が徳重のように患者の世界を“見る”ことができるようになる。そんな成長の姿が描かれるという。

 「バラバラだった魚虎総合病院の各科が、少しずつチームとしての一体感を見せていく。そこに赤池先生も絡んできて、見た後に少し優しい気持ちになれるようなラストを目指しています」。

(C)TBSスパークル/TBS(撮影:加藤春日)

  • (C)TBSスパークル/TBS(撮影:加藤春日)

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