作品にただよう当時の空気を感じて オルセー美術館の印象派展覧会
東京の国立西洋美術館では、10月25日(土)から展覧会「オルセー美術館所蔵 印象派-室内をめぐる物語」が始まった。会期は2026年2月15日(日)まで。「印象派の殿堂」ともいわれるパリ・オルセー美術館所蔵の傑作約70点を中心に、国内外の重要作品も加えたおよそ100点により、マネ、モネ、ドガ、ルノワール、セザンヌら印象派の画家たちの、室内というテーマに対する関心のありかや表現上の挑戦をたどる。
会場には、今回日本初公開となる初期のドガの傑作「家族の肖像(ベレッリ家)」のほか、ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」などの名作が展示されている。また、戸外の風景や外光を室内に取り入れた作品、室内を装飾するために制作された作品などが並び、「室内」をテーマに印象派の「もうひとつの魅力」を堪能できる構成になっている。扉や壁紙など、「室内」を意識できる展示空間にも注目だ。
展覧会アンバサダーで俳優の上白石萌音さんは開幕前に来場し、「作品に描かれている生活の営みに今でも共感できる部分が多くあり、親しみやすさを感じました」とし、クロード・モネの「アパルトマンの一隅」などを楽しんだ。「人物の自宅でリラックスした、よそ行きではない素の表情も魅力的でした。壁や照明など展示空間にも繊細なこだわりを感じながら、印象派ならではの自由な表現技法で描かれた作品を楽しく鑑賞しました」と話している。

クロード・モネ《アパルトマンの一隅》を鑑賞する上白石さん
フランスの美術館は目下厳戒態勢だ。先月はパリの国立自然史博物館で2億6千万円相当の金塊が盗まれ、ルーブル美術館では19日、白昼堂々全部で約150億円相当ともいわれる王冠や宝石が盗まれた。前者は容疑者が捕まっているが、後者は4人組の窃盗団のうち、2人はまだ。現地に足を運んでも、見ることができなくなってしまった展示品がいくつもある。そう考えながら、フランスからやってくる美術展を見ると、一層重みが増すような気がする。
開館時間は9時30分~17時30分(金・土曜日は20時まで)。休館日は月曜日、11月4日(火)、11月25日(火)、12月28日(日)~2026年1月1日(木・祝)、1月13日(火)。ただし、11月3日(月・祝)、11月24日(月・休)、1月12日(月・祝)、2月9日(月)は開館。観覧料は税込みで一般2300円、大学生1400円、高校生1000円。中学生以下、心身に障害のある人と付添者1人は無料(学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳を提示)。12月12日(金)~12月26日(金)は、入館の際に券売窓口で学生証を提示すると高校生は無料になる。

エドガー・ドガ《家族の肖像(ベレッリ家)》1858-1869年 油彩/カンヴァス オルセー美術館、パリ














