中大規模木造建築ブランド「with TREE」×サンケイビル初の木造オフィスビルが竣工・開業
~新たなハイブリッド木造技術と省エネルギー設計を融合した脱炭素環境建築~
2026年7月31日
住友林業
株式会社熊谷組(社長:上田 真 本社:東京都新宿区、 以下熊谷組)と住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区、以下住友林業)が千代田区東神田に建設を進めていた株式会社サンケイビル(社長:飯島 一暢 本社:東京都千代田区、以下サンケイビル)初の木造と鉄骨構造の9階建てのハイブリッド建築「KiGi AKIHABARA」(旧称:(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」、以下本物件)が5月29日に竣工し、7月22日に開業しました。
本物件は、熊谷組と住友林業が手がける中大規模木造建築ブランド「with TREE」に基づき設計・施工しました。木は光合成で大気中のCO2を吸収し、炭素として留め置き、伐採し木材製品として加工された後も炭素を固定し続けます。本物件は両社が開発した新たな木造建築技術に加え、省エネルギー設計を加味した汎用性のある脱炭素型の環境配慮建築です。
■「with TREE」について
顧客と共に(with)、コミュニティと共に(with)、木と共に(with)、高い価値と良い効果をもたらす木の建築物を協力して創りあげていくのがブランドの由来です。コンセプトは「環境と健康をともにかなえる建築」です。都市の建築に「木」が生む新しい価値を提供し、中大規模建築の木造化・木質化を推進します。
熊谷組と住友林業は2017年の業務・資本提携以来、8つの分野で分科会を立ち上げ協業に取り組んできました。中大規模木造建築分科会は2021年に本ブランドを発足させ、資材の調達から建築コンサルティングまで展開しています。鉄骨・RC造の大規模建築に関わる熊谷組の知見と木質部材の調達や製造、非住宅の木造化・木質化に関わる住友林業の知見を融合し新たな価値を提供していきます。
■本物件の計画コンセプト
本計画では、これからの時代に求められる合理的で最適な「木造ハイブリッドオフィス」を目指した仕様を導入しました。神田川を借景とした建物のファサードにはガラス越しに木造フレームを見せることで開放感と木造建築ならではの温かみを表現しています。また、西側外壁には押出成形セメント版を採用し、パッシブに自然光を取り入れる計画としています。
執務空間では木造×ウェルネスの観点から木質感あふれる室内空間を実現し、バイオフィリックデザインを取り入れることで、木のぬくもりを感じられる快適なオフィス環境を創出しています。生産性の向上と健康的で心地よい働き方をサポートします。
建物運用における省エネルギー対策として「ZEB Ready」を取得し、時代が求める高い省エネルギー性能に対応しています。
■構造計画および採用技術
本物件は、中大規模木造建築における設計・施工技術の導入や耐久性への配慮が認められ、国土交通省「令和6年度優良木造建築物等整備推進事業」の先導枠に採択されました。
【構造・耐震計画】
〇地盤を傷めない基礎計画と建物の軽量化
既存建物の解体・新築にあたって極力地盤を傷めない工法を採用しました。既存杭を引き抜かず残置し、避けた位置に新築杭を配置しています。既存杭があるために杭を打てない建物の南北両端は中心部からせり出すような構造(片持ち梁)で上部構造を支えています。せり出した両側を木造スパンとすることで、構造上の問題解決とファサード面に木のぬくもりを活かしたデザインの実現を両立させています。
〇共同開発部材の採用で耐震性能を確保
⾧期荷重は木部の柱梁が支えています。地震力は鉄骨部分と、熊谷組と住友林業が共同開発した「KS木質座屈拘束ブレース」が支えています。
「KS木質座屈拘束ブレース」はLVLと合板を組み合わせた木質の座屈拘束材を用いて鋼製の芯材を補強します。圧縮時にも耐力を損なうことなく安定的な変形性能を発揮し、従来の座屈拘束ブレースと同等以上の耐震性能を実現しました。
【耐火・意匠】
〇新技術の初採用による木質耐火と「現し」空間
新たな木質耐火技術として「環境配慮型λ-WOODⅡ®1.5時間」の梁と「環境配慮型λ-WOODⅡ®1時間、2時間」の床を初採用しました。床には厚さ210mmのCLTを用いています。最上階である9階の梁には住友林業が開発した鉄骨梁を木材のみで耐火被覆した「木ぐるみHB(有孔梁)」を採用。柱には熊谷組が開発した「ドレスウッド®」を採用することで耐火被覆である木材を感じられる現し仕上げとしています。
採用された両社の木造建築技術
■CO2削減と炭素の固定
木は成長する過程で空気中のCO2を取り込み炭素として固定します。木を建築に用いることで、炭素を長期間固定でき、施工時のCO2排出量も削減することで地球温暖化防止に貢献します。
本物件では、構造・内装に各種エンジニアリングウッド(集成材、LVL、CLT)を採用し、使用木材量は61.7m³に及びます。さらに、電炉鋼材の採用でエンボディドカーボンを削減しています。これらの取り組みにより、CO2の排出量を設計時の躯体検討で約380t削減しています。
オペレーショナルカーボンについては、設計段階において「ZEB Ready」認証を取得しており、建物運用時のエネルギーを50%削減します。これにより、60年の運用と仮定した場合は4,371tのCO2削減を見込んでいます。
今後も事業主のCO2削減目標と合わせ脱炭素社会に向けた取り組みを進めていきます。
【物件概要】
物 件 名 :KiGi AKIHABARA
所 在 地 :東京都千代田区東神田2丁目8番16号
構造規模:鉄骨造・一部木造/地上9階建
敷地面積:169.27㎡
延床面積:1,072.04㎡
事業主 :株式会社サンケイビル
設 計 :株式会社熊谷組一級建築士事務所
施 工 :株式会社熊谷組・住友林業株式会社
着 工:2025年3月24日
竣 工:2026年5月29日
用 途:1階 飲食店 2~9階 事務所
【関連リンク】
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