寒暖差が引き起こすぎっくり腰と体調不良―冬土用に知っておきたい東洋医学の知恵
■土用(季節の変わり目)は気温の寒暖差が激しい時期 病気対策に冬土用の過ごし方は大切
2025年は観測史上最も暑い夏でした。夏が暑いと冬は寒いと言われています。その言葉通り、2026年1月21日(水)から大寒波が日本列島を襲っています。
東洋思想では、季節の変わり目を土用(どよう)と言います。土用は、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のことです。年4回ある土用は、それぞれ、春土用、夏土用、秋土用、冬土用と呼ばれます。
2026(令和8)年の暦で言うと
冬土用は 立春(2月4日)の前18日間(1月16日~2月3日)
春土用は 立夏(5月5日)の前18日間(4月17日~5月4日)
夏土用は 立秋(8月7日)の前18日間(7月20日~8月6日)
秋土用は 立冬(11月7日)の前18日間(10月20日~11月6日)
になります。東洋医学では、春は肝臓、夏は心臓、秋は肺臓、冬は腎臓が旺盛に働きます。土用の時期は脾臓が働くと考えられています。見方を変えると、これらの臓器に負担がかかり、不摂生をするとその臓器機能が低下しやすい時期とも言えます。
大寒波が来はじめた1月21日(水)は、冬土用の時期です。その前の週あたりから寒さが厳しくなってきましたので、体調を崩し始めた人がたくさん来院されています。一番大切な対策は、寒さ対策です。
2025年11月19日(水)発売の『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』(清野充典著・小学館) には、土用の時期の過ごし方や寒さに対する予防策をたくさん紹介していますので、ご覧戴きたく思います。
■冬土用に現れる症状はぎっくり腰?
冬土用の時期は、気温がどんどん低くなります。東北・北海道や北陸は、雪に覆われます。2026年1月24日(土)から25日(日)にはアメリカにも大寒波が訪れ、トランプ大統領が大寒波の影響で24州(2026年1月26日(月)午後12時半時点)に緊急事態宣言を出しました。ニューヨーク州の一部ではマイナス45℃を記録しています。急激な気温の低下にからだが順応しない場合、様々な症状が出てきます。
1.ぎっくり腰になる
2.手足が冷たくなる
3.首の後ろが重くなる
4.夜間に脚がつる
5.夜間尿が増える
6.朝血圧が高くなる
7.筋肉や関節が痛くなる
8.集中力を欠く
9.からだが思うように動かなくなる
この時期、東洋医学では脾蔵の働きが弱い人は、どことなく調子が悪く、胃腸の調子も悪く、下痢をよくする人が多くなると考えます。また、あちこちの筋肉に痛みを感じることが多くなります。検査をしても異常が見られず、飲む薬もないという人が多くなります。いずれも、寒さに負けているような人です。
土用の時期は、外での作業や運動を長時間すると、身体に堪(こた)えるという人も多いと思います。雪が多い地域は、毎日何度も雪かきが必要です。私は青森市出身です。一日雪かきをしないと玄関から出られなくなるような雪の多い場所に住んでいました。2026年は各地で大雪です。雪かきの大変さが良くわかるだけに、多くの人が身体に疲労を感じているだろうと推測します。
雪の降らない地域では、外に出て散歩や運動を楽しんでいることと思いますが、外気温が氷点下になる時は、あえて外に出て運動することは控えた方が良いと思います。特に、上記2~9の状態にある人は、症状を助長しますので、気温が上がる時間帯に変更した方が良いと思います。
冬土用の時期は、東洋医学で考える脾蔵の働きが正常で、肝臓・腎臓・心臓が丈夫な人は胃の働きが活発になります。寒いと体温を維持するために食欲が旺盛になります。痩せ気味の人は、脂肪を蓄えると寒さ対策になります。一方、太り気味の人は、食べ過ぎる傾向にあります。
冬土用は12月の忘年会、年越しやお正月、1月の新年会を挟んだ後の1月16日から2月3日です。お正月にゆっくり休みやや体重が増加した人が、元に戻らないまま食べ過ぎると体重増加につながり、1~9の症状を誘発する要因にもなります。
食べる量に気を配り、からだを冷やす果物の取り過ぎにも意識を向けることが大切です。食べ過ぎると腎臓の機能が低下します。
より詳しい情報は、JIJICO内にある以下のコラムをご参照ください。
「気温が急変する11月は体調をくずしやすい季節 寒さによる腎臓の機能低下を防ぐには?」
「寒いところにいると夜間の尿が増える!? 2月に多い夜間頻尿の予防策はあるのか!」
■体温維持に負担のかからない室温は24℃~28℃
寒さに対応できる身体を作るためには、寒い環境に身を置かないことが大切です。1月は、小寒(しょうかん・1月5日)、大寒(だいかん・1月20日)という季語があるように、寒い時期です。
北海道や青森など寒い地域では、暖かい部屋で冬を過ごします。しかしながら、全国的に見ると、18℃以下で生活している地域が多数を占めています。室温が18℃を下回る寒い環境で暮らしていても、「寒さを認識できていない」「寒くない」「むしろ心地よい」と感じている人が多いという結果が出ています。
部屋別でみると、平均室温は、
居間17.7℃
寝室13.1℃
脱衣所14.5℃
となっており、このうち、居間で3割、寝室で6割、脱衣所で1割の人が寒さを感じていないようです。
いつも寒い部屋にいると、寒いと思わなくなります。
【寒さに対応できていない人の5つのサイン】
(1)夜中にお手洗いで目覚める
(2)明け方足がつるようになる
(3)耳鳴りがする
(4)あまり食べられなくなる
(5)後頭部が重くなる
上記症状がある人は、寒さに対応できていない人です。
「感覚的な寒さはあてにならず、室温を図って把握することが大切」です。エアコンの温度設定はあてになりません。住居環境で室温は変わりますので、床上から1メートルくらいの室温が何度かを気にする必要があります。
健康を維持するためには、以下の室温が目安です。
安静時 26℃~28℃ (居間でリラックスしているとき)
食事時 22℃~25℃ (食堂で飲食しているとき)
活動時 19℃~21℃ (家事、育児や作業をしているとき)
就寝時 18℃ (寝室で就寝するとき)
寒さは、サイレントキラーになりますので、室温が18℃を下回ったら暖房することが大切です。
寒さ対策にご興味がある人は、JIJICO内にあるコラム「18℃未満の室温で生活すると危険!?寒い部屋は死亡率が増加!!」をご参照願います。
■冬土用は低体温防止対策をすることが大切
大寒波が続く日本では、2026年1月21日(水)から26日(月)までに新潟県内で6人死亡したと報じています。新潟県では今季の雪による影響で64人(1月26日(月)午後3時の時点)の死傷者が出たとのことです。2026年1月24日(土)から25日(日)にアメリカで発生した大寒波でも、アメリカ国内で少なくとも45人(1月28日(水)午前9時の時点)が死亡したと報告されています。これらの情報は、刻々と更新されています。
低体温になると
1)震えが止まらなくなる
2)動作が緩慢になる
3)思考能力が低下する
4)反応が鈍くなる
5)身体が冷たくなる
等の症状が出ます。低体温症状は、日常感じている状態ともいえますので、自分の体温が低下していることに気づかない人もいます。北向きの部屋で就寝していると低体温になりやすいので、対策が必要です。
寒い部屋で寝ていると、体が弱っている人は、以下のように感じるようです。
16℃~15℃ 呼吸が少し苦しい
14℃~13℃ 鼻から吸う空気を冷たく感じる
12℃~11℃ 鼻から吸う空気を痛く感じる
10℃~9℃ 鼻が詰まり始める
8℃~7℃ 鼻水が出始める
6℃~5℃ 呼吸がつらい
4℃以下 寒くて目が覚める
冬土用の時期に現れる1~9の症状や低体温症状1)~5)がある人は、18℃を下回らない寝室でお休みになることも、重要な対策の一つです。
寒さに対する詳しい情報をご希望の人は、JIJICO内にあるコラムをご覧戴きたく思います。
「1月は低体温に注意!心筋梗塞を誘発する低体温症を防ぐにはどうしたら良いのか!?」
「北向きの部屋にいると病気になりやすい?日当たりの確保が病気回復には大切!?」
■冬土用の時期に現れる体調不良に鍼灸治療や瘀血治療は最適です
血圧が低下または上昇すると、生命維持に必要な脳、心臓や腎臓などへの血流を優先的に確保するため、自動的に体内で調整が行われます。❶ 血圧の異常が長期に及ぶと内臓や脳に障害が及びますので、手足が冷たいときや思考能力が低下しているときは、寒さ対策が必須です。
冬土用の時期に適切な対策を講じることが出来ず、気温の寒暖差による体調不良でお悩みの人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試し戴きたく思います。からだが冷えている人には、お灸治療が最適です。冷え性でお悩みの人には、最善の治療法です。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談戴きたく思います。
2025(令和7)年11月19日(水)に小学館から発売された清野充典著『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』の内容は、JIJICOに掲載された1~70本目のコラムを24に再編集した内容です。この本のために書いたコラムもあります。清野が提唱する「養正治療」の内容が満載です。寒さに対するコラムも収載されていますので、ぜひご覧戴き、東洋医学に基づく養生法を実践戴きたく思います。
[参考文献]
❶血圧と臓器への灌流調整の仕組み|Yusuke
<筆者略歴>
清野 充典:鍼灸師 1982年、西洋医学を理解した東洋医学者の育成を目指し世界で初めて設立された鍼灸医学専門教育機関「明治鍼灸短期大学(現明治国際医療大学)」鍼灸学部を卒業。1987年2月2日、東京都調布市で清野鍼灸整骨院を開院。明治国際医療大学客員教授、早稲田大学特別招聘講師等歴任。
「鍼灸を国民医療」にすべく、東京大学、早稲田大学、順天堂大学等の日本国内を始め、海外の様々な大学や医療機関の人たちと研究を進めている。
1991年には、東京都府中市で分院の清野鍼灸整骨院府中センターを開設。1985年から清野メディカルヨーガ/清野ヨーガ道場を主宰し、保健活動を行っている。毎週木曜日に「ヨーガ教室」を開催して、多くの人に東洋医学に基づいた健康管理方法を伝えている。
清野 充典:鍼灸師
<関連記事>
老眼がつらい日は「目」より先に──《歩き》と姿勢で整える視界
30歳代の体調変化を見逃すな!男女で異なる体力ピークと鍼灸治療による予防戦略
乾布摩擦は”細胞のスイッチ”だった──更年期こそ見直したいミトコンドリア活性法














