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~先入観・時間・場所に縛られない働き方導入で解決した人手不足問題~ 中小企業ならではの“身の丈DX”でインフラクライシスに挑む

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総務省

人手不足対策などを目的に国が普及を目指すテレワーク。ICT(情報通信技術)を活用して働く時間・場所の選択肢を広げる、この働き方の先進事例を総務省が選んで表彰する「テレワークトップランナー2025 総務大臣賞」に、ビルなど建物の給排水設備・浄化槽のメンテナンスを行う富士水質管理株式会社の取り組みが選ばれた。水インフラを長年支える創業50年余りの老舗企業だが、社会の変化を先取りして業務のデジタル化を推進するテレワークをいち早く導入。業務効率の改善や女性が働きやすい職場の形成に努めている。
「テレワーク導入後の業績は毎年5%成長を続けている」と話す富士水質管理総務・経理部長の山村誠さんに、テレワークがもたらした成果などを聞いた。

▼人手不足への強い危機感

――国内初のコロナ感染者が確認されたのは2020年1月ですが、テレワーク導入の取り組みを始めたのはコロナ前からですか。
そうです。コロナの感染が国内に広がる以前の6年以上前から業務の効率化を目的に取り組みを始めました。テレワーク導入関連でこれまでおよそ5,000万円を投入しています。弊社のような中小企業としては思い切った額ですが、深刻化する人手不足を考えると、いま手を打っておかないと将来事業が先細りになってしまう懸念がありました。業界内では割合早いテレワーク対応だと思います。当時はそれだけ将来への危機感が強かったです。

――テレワーク導入の一番の狙いは具体的には何でしたか。
給排水設備・浄化槽の現場に赴き、点検、清掃などの作業をする技術者が不足していましたから、業務を効率化して1人当たりの生産性を上げる必要がありました。それがテレワークを導入した一番大きな狙いでした。最初に、点検清掃作業後の報告書をはじめとした文書や現場訪問のホワイトボード予定表など点検清掃作業に関する情報を全てデジタル化して社内で共有することにしました。このことで「誰がどこでどんな作業をやっているか」が社内で一目瞭然となり、本社のベテラン技術者が経験の浅い技術者の質問に遠隔地からオンラインで的確に指導する土台ができました。現場作業の情報は共有化されているので、現場の新人が何に困っているかがよく理解できます。対面指導もしますが、テレワークの指導も併用すると、少ないベテラン技術者が多くの新人に対してきめ細かな指導ができます。“生みの苦しみ”はありましたが、生産性は向上し、技術者1人が担当できる現場の数は確実に増えました。

▼年100万円以上のコスト削減

――業務のデジタル化とテレワーク導入の業務上の具体的な成果は何ですか。
文書作成時間やスケジュールミスなどが減り、残業時間が以前より少なくなりました。計算すると年間およそ100万円以上のコスト削減につながっています。現在の社員の月平均残業時間は10~19時間ですが、テレワーク導入以前に比べれば大幅に減りました。業務のデジタル化で約3万件の作業現場、約6,000社の顧客データを一元管理できています。本社では各現場の進行状況を見ながら、顧客の依頼に柔軟に素早く対応することが可能です。全社員が遠隔地からでもこのデータにアクセスできるので、顧客の依頼・問い合わせに対する弊社のレスポンス能力は格段に向上しました。

――社員の働き方にはどのようなプラスの具体的効果が表れていますか。
作業の報告書などは現地でモバイル端末に入力すれば完結するので、いわゆる文書作成などのオフィスワークのために、遠方の現場から本社にあえて戻る必要はなくなりました。また業務内容のデータ化に伴う見える化で、これまで男性技術者にしかできない作業と思われていた作業に挑戦する女性技術者が増えましたね。今まで業界の慣例・イメージで女性はできないとされていた作業(重量物を移動させる作業など)も、今は作業工具・機械も進化した面があり、一部の現場で女性技術者がこなしている実態もデータから判明したので、一部作業に残っていた「男性にしかできない」というバイアス(偏見)はなくなりました。

――その女性技術者の人数が御社では近年増えていますが、女性技術者の採用がうまくいっている理由は何ですか。
5年ほど前までは女性の技術者は1人でした。しかもその女性は事務職を兼ねていました。今、女性技術者は7人に増えています。弊社の社員76人のうち技術者は約60人なので、技術者の女性比率は1割余りです。増加した理由は色々考えられます。入社希望者数が飛躍的に伸びていることをはじめ、20代前半で入社した女性社員が女性技術者像の良いお手本「ロールモデル」として活躍してくれていることやテレワーク導入による新人の研修指導体制の充実、残業時間を減らした働きやすい職場環境の形成などに努めていることが良い結果につながっていると思います。以前は入社希望者がゼロの年もありましたが、近年は毎年約100人の応募があります。テレワーク導入も一因ですが、ありがたいことに弊社が水インフラの維持に貢献している点を評価して入社を希望する若い人も増えています。

▼AI活用の遠隔監視網を構想

――業務のデジタル化やテレワーク導入で成果を出してきましたが、今後はどんなことに取り組みますか。
蓄積したデータの有効活用と人工知能(AI)などの先端技術を組み合わせた遠隔監視システムの構築です。また現在首都圏中心の事業エリアを関西や九州などの主要都市にも広げていきたいですね。給排水設備・浄化槽の更新状況などの設備情報はデータ化されているので、経営戦略の策定に生かしていきたい。AIの活用はまだ着手できていない難しい課題ですが、将来的には給排水設備にセンサーを取り付け、設備の不具合や排水の汚染度をAIで遠隔地から常時監視するオンラインシステムを構築したいです。AIが異常を自動検知し、素早く対応できる体制です。戦後の高度成長時代に数多く建設されたビルなどの給排水設備の老朽化は今後ますます顕在化しますので、メンテナンス人材の絶対数の不足が予想されます。水インフラを支える企業の一つとして、これらの社会課題の解決に役立つ取組を今後も進めていきます。

【プロフィール】
山村誠(やまむら・まこと)リクルートやコスモスライフ、大和ライフネクストでマンション、ビルなどの建物管理業務を担当。2020年2月から富士水質管理 総務・経理部 部長。建物管理業務に精通し給排水設備・浄化槽メンテナンスの発注業務にも携わった経験も生かして、業務改善の効率化に取り組んでいる。

 

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BPOテクノロジー株式会社

【企業情報】
オンラインアシスタントサービス「フジ子さん」を中心に、インターネットを活用したBPO事業を展開。所在地は東京。

【主な取組例】
勤務地を限定しないフルリモート前提の雇用体制を構築し、フレックス勤務や時短勤務にも対応。地域差のない評価基準のもと、居住地に左右されず平等に昇進・昇格できる環境を整えている。また、オンラインアシスタント事業を通じ、子育て・副業・海外在住者など、多様な働き方を望む人材に業務機会を提供。求人応募から業務開始までをオンラインで完結させる仕組みにより、地方・海外在住者の継続的な就労を支援している。加えて、社内ワークショップやイベント、社内ラジオ、表彰制度「ベスト・オブ・フジ子さん」など、エンゲージメントを高める文化醸成にも注力。自治体との連携による人材循環モデルにも参画し、地域人材の支援にも取り組んでいる。

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