ITを活用した知的障がい者の移動や就労の自立支援に向けて共同研究を開始
情報デザイン学部が金沢の保健医療福祉団体GENESISおよびハーブ農園「ペザン」を運営するポタジェと
【ITを活用した知的障がい者の移動や就労の自立支援に向けて共同研究を開始】
情報デザイン学部の経営情報学科、環境デザイン創成学科が
金沢の保健医療福祉団体GENESISおよびハーブ農園「ペザン」を運営するポタジェと
金沢工業大学情報デザイン学部の経営情報学科、環境デザイン創成学科では、ITを活用した知的障がい者の移動や就労の自立支援に向けて、保健医療福祉団体のGENESIS株式会社(石川県金沢市/代表取締役 別宗利哉氏)およびハーブ農園「ペザン」を運営する株式会社ポタジェ(石川県金沢市/代表取締役社長 澤邉友彦氏)と、5月12日、包括共同研究に関する契約を締結しました。
学生がプロジェクトデザイン活動(卒業研究)の一環として、知的障がい者が活動する現場で実際のニーズ等を把握し、活動具体的な研究テーマを立案、実践していく予定です。
工学分野と福祉分野のビジネスにおける「工―福」連携に向けた協議の模様
(2025年5月7日 金沢工業大学にて)
【経緯と概要】
金沢工業大学情報デザイン学部 経営情報学科 徳永雄一研究室(専門分野:コンピュータアーキテクチャ、データマイニング)では、ITを活用した知的障がい者の移動や就労の自立支援の研究を、金沢で在宅医療・保健福祉事業を展開するGENESIS株式会社と共同で進めています。
知的障がい者や発達障がいや鬱病、PTSDなどを持つ人々には、聴覚過敏者が多いとする⾒解もあり、それが原因で外出ができない課題に着目。音情報処理により聴覚過敏を抑制する研究と、通勤や就労を介護者が遠隔支援できるウェアラブルデバイスの開発に取り組んでいます。
工学分野と福祉分野のビジネスにおける「工-福」連携はこれまであまり例がありません。
さらに広い範囲で研究を促進するため、事業側は県内で障がい者就労を受け入れているハーブ園「ペザン」の運営会社である株式会社ポタジェに呼びかけ、金沢工業大学は経営情報学科の石原正彦教授(専門分野:地理情報科学、統計解析、技術経営)および環境デザイン創成学科の土橋喜人教授(専門分野:交通バリアフリー、国際協力、障害と開発、障害者福祉)に声かけし、2事業団体と3研究室での工―福連携に向けた包括共同研究の協議を2025年5月7日、金沢工業大学扇が丘キャンパスで行いました。
GENESIS株式会社では社会福祉事業、パラスポーツ振興事業など、「同社の就労事業所やパラスポーツ事業を利用する知的障がい者(以下、利用者)の就労や移動等の自立を生活全般にわたり支援する活動を行なっています。利用者の就労先のひとつが「ペザン」で、ハーブ園における農作業、加工作業を通じ、利用者が社会と繋がり、生きがいを持てる生活を支援しています。
包括共同研究に向けた協議で、株式会社ポタジェおよび、障がい者による作業委託を行っている就労継続支援B型事業所株式会社「トロワ」を運営する澤邉代表取締役社長からは「危ないからと道具さえ使わせてもらえない現状から脱却し、彼らが働いた対価としての収入を得て、趣味に支出できる経済権を獲得させたい」との思いを熱く語りました。
またGENESISの別宗代表取締役は「幣社では地域医療・地域福祉・地域パラスポーツの領域において、多くの北陸の大学生が現場で利用者と共に活動している。一方、AI含め、工学分野は未開拓。こうした知的障がい者の支援における工学と連携した取り組みは、北陸から日本、あるいは世界に向けた先端的な取り組みになり得る」と本連携への期待を述べました。
今後、金沢工業大学では包括共同研究契約を締結し、現場活動へ踏み込み課題認識を進め、プロジェクトデザイン活動(卒業研究)として具体的な研究テーマを立案、実践していく予定です。
徳永雄一研究室ではITを活用した知的障がい者の移動や就労の自立支援の研究を進めています。写真はメタバースを使った遠隔作業とともに立体音響を活用した自立支援の研究に取り組んだ「3D Sound Solution チーム」(写真左から、熊野甲斐さん、上田真緒さん、笹井千嘉さん、いずれも経営情報学科4年)
[熊野さんの取り組み] 作業中や歩行時のアシスト
[上田さんの取り組み] 雨天運転時の車両接近歩行者の早期発見
[笹井さんの取り組み] 聴覚過敏者の生活の手助け
「知的障がい者が働いた対価としての収入を得て、趣味に支出できる経済権を獲得させたい」と語る株式会社ポタジェ/株式会社トロワの澤邉代表取締役社長
GNESIS株式会社の別宗代表取締役社長は、「障がいを持つ人に限らず、その方と多様に関わられている人々にとっても工学と連携した取り組みは、北陸から日本、あるいは世界に向けた先端的な取り組みになり得る」と本連携への期待を述べた



