KK KYODO NEWS SITE

ニュースサイト
コーポレートサイト
search icon
search icon

EY調査、2025年第1四半期の世界のIPOに関するインサイト

― 不確実性を乗り越える

– 世界のIPO市場は活気を取り戻し、291件のIPOが293億米ドルを調達。調達額は前年同期比20%の成長
– 日本企業(鉱業・金属セクター)のIPOが、調達額ベースで今期世界No.1に
– 米国では59件の新規株式公開が行われ、歴代3番目に強力な1Q実績を記録
– テクノロジー、金融、医療・ライフサイエンス各セクターのIPOを目指す企業にとって、AIが成長戦略を語る上での重要な要素に

EYは、2025年のIPOに関する調査結果「EY Global IPO Trends 1Q 2025」を発表したことをお知らせします。2025年第1四半期(1Q)、世界のIPO市場は、重大な地政学的転換やディスラプティブなAIモデルの台頭など大きな不確実性を経験しました。世界で合計291件のIPOが293億米ドルを調達し、2024年1Qと比べてIPO件数は安定を維持すると同時に、合計調達額は20%の増加となりました。米国はIPO活動で優れた成果を上げ、Asia-Pacific(アジア太平洋)の国々は回復の兆しを見せ、EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)は堅調な状態を維持しました。

米国の第2次トランプ政権が行っている広範な政策変更は、機会とリスクの両方を生み出しています。インフレ予想が高まる中で新たな関税が導入されることは、米国内および世界各国でインフレ圧力をさらに強めるだけであり、金融政策には不確実性が生じています。各国の防衛支出が増加していることで、航空宇宙・防衛セクターへの投資が世界各国で増加しており、このセクターでIPO活動が高まる可能性があります。しかし、企業が国によって異なる規制環境に奮闘している中で、米国の新たな政策はまた、環境、社会、ガバナンス(ESG)の取り組みを萎縮させる作用も生んでいます。IPOを目指している企業は、市場戦略やオペレーション効率を強化するため、ますますAIを活用しており、企業が株式公開を準備し、実行する方法に変革をもたらすような影響が及んでいることが示されています。

EY Global IPOリーダーのGeorge Chanのコメント:
「2025年に入ってからの激しい変化の波によって、IPOを取り巻く環境全般にボラティリティと不確実性が高まっています。地政学的な動揺が国際社会のルールブックを書き換え、米国大統領選後の政策が国境をまたいだ交易の様相を書き換え、テクノロジーディスラプションが予想を超えた結果をもたらす中、成功を手にするのは、揺るぎないファンダメンタルズに支えられ、決定的な機会を掴むため、変化する環境を準備、俊敏さ、適応力を持って乗り越えていく企業です」

各リージョンの2025年1Qの実績
2025年1Q、Americas(北・中・南米)では期初の建設的な市場条件によって新規株式公開の流れに弾みがついたため、IPO件数が前年同期比で51%上昇しました。米国で行われた新規株式公開の58%が、クロスボーダーIPOでした。

Asia-Pacific はIPO活動が復活する兆しを見せ、日本の鉱業・金属セクターの企業が1Qにおいて世界最大の調達額のIPOを実現したことにより、IPOの件数と調達額で主導的な地位を取り戻しました。

EMEIAを見ると、米国がトランプ政権下で大きな政策転換をしたことで、欧州は地政学的乱気流に巻き込まれ、IPO市場の不確実性が増加しました。しかし、中東は引き続き好調を維持し、インドはIPO件数が減少したものの、かなりの額の調達額を記録したことで際立っていました。

AIが変革していくIPO環境
IPOを取り巻く環境の中で、変革を引き起こすような力を持つ武器としてAIが台頭していて、企業の成長軌道に大きな影響を与えています。 

さまざまなセクターの企業が、オペレーションを効率化し、株式公開の成功確率を最大限にするため、AIを活用しています。特に、テクノロジー、金融、医療・ライフサイエンスの各セクターは、会社設立申請書の中でAIに言及する頻度が最も高くなっており、最近IPOを行った一連の企業にとって、AIは企業の成長戦略を語る上での重要な要素となっています。 

2025年の見通し
当初株式上場を2025年、特に2025年1Qに計画していた一部の企業は、不確実性の激流に直面して、IPOを2Q以降、あるいは早くても2026年初頭に延期しています。既に1Qに新規上場した企業においては、IPO後の株価パフォーマンスはさまざまでした。一方、主要経済国の株式市場は、3月下旬から4月初旬にかけて関税に起因する激流の中で株価が急落しました。これにより、ピーク時の株式評価額が維持されるという当初の期待が、主要国全体にわたって打ち砕かれました。2025年1QのIPOは堅調を維持していますが、ボラティリティ指標の高まりと不安定な今後の見通しによって、近い将来に新規上場する企業に対する投資家センチメントが落ち込んでいることが示されています。しかし、米国は引き続き、海外企業による新規上場を惹きつけていくでしょう。航空宇宙・防衛セクターを含む製造業セクターもまた、堅実なパイプラインと規制当局の支援により、2025年に持続的な成長が期待されています。

地政学的緊張、増え続ける関税、冷え込む経済見通し、インフレリスクの上昇、短期的な市場ボラティリティといった課題にもかわらず、堅調な世界のIPOパイプライン、政府による主要セクターの支援といった前向きな兆候が見られます。 

EY Japan IPOリーダー/EY Startup Innovation共同リーダー/EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター長の齊藤 直人(さいとう まさと)のコメント:
「2025年第1四半期の日本のIPO件数は、昨年の20社よりも3社減の17社となりましたが、調達額ベースでは、約4,800億円を記録し、昨年の約860億円から大幅に増加しました。これは、プライム上場の大型案件(調達金額:約4,386億円)が生じたことによります。なお、当該案件は、グローバルベースで見ても、当第1四半期における調達額ベースで最大のIPOとなりました。グロース市場への上場は13社となり、件数ベースで76%を占めました。4月に入り米国追加関税発動により、世界の証券市場のボラティリティが高まっています。また、日本では、東京証券取引所がグロース市場の上場維持基準の見直しを検討しています。今後株式上場を目指す企業は、短期的な株式相場に惑わされることなく、上場後の成長戦略をしっかりと磨きながら、上場準備を行う必要があります」

 

※ 2016 年から2024年は通年、2025年はQ1のデータです。
出典:EY、Dealogic

[全世界のセクター別IPO件数]

 

出典:EY、Dealogic

 
[全世界のセクター別IPO調達額(10億米ドル)]


出典:EY、Dealogic

 
[データについて]
本レポートに示されたデータは、ey.com/ipo/trendsでご覧いただけます。 

本レポートにおける2025年1Qとは、2025年第1四半期のことを指し、2025年1月1日から3月31日に完了しているIPOを含んでいます。本レポートにおける2024年1Qとは、2024年第1四半期のことを指し、2024年1月1日から3月31日に完了しているIPOを含んでいます。本レポートにおける2024年とは、2024年暦年全体のことを指し、2024年1月1日から12月31日に完了しているIPOをカバーしています。 

本レポートに含まれるすべてのデータは、特に断りのない限り、Dealogic、Mergermarket、PitchBook、S&P Capital IQ、AlphaSenseおよびEYを出典としています。Dealogicのデータは、IONがライセンスを保有し、当該データに関するすべての権利をIONが保持しています。SPAC(特別買収目的会社)に関するデータは、特に記載のない限り、本レポートのすべてのデータから除外されています。

※本ニュースリリースは、2025年4月10日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:Navigating uncertainty: Q1 2025 global IPO insights

[EYについて]
EYは、クライアント、EYのメンバー、社会、そして地球のために新たな価値を創出するとともに、資本市場における信頼を確立していくことで、より良い社会の構築を目指しています。  データ、AI、および先進テクノロジーの活用により、EYのチームはクライアントが確信を持って未来を形づくるための支援を行い、現在、そして未来における喫緊の課題への解決策を導き出します。  EYのチームの活動領域は、アシュアランス、コンサルティング、税務、ストラテジー、トランザクションの全領域にわたります。蓄積した業界の知見やグローバルに連携したさまざまな分野にわたるネットワーク、多様なエコシステムパートナーに支えられ、150以上の国と地域でサービスを提供しています。 

All in to shape the future with confidence.  

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。 

本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したもので、顧客サービスは提供していません。

[EY新日本有限責任監査法人について]
EY新日本有限責任監査法人は、EYの日本におけるメンバーファームであり、監査および保証業務を中心に、アドバイザリーサービスなどを提供しています。詳しくは、ey.com/ja_jp/about-us/ey-shinnihon-llcをご覧ください。

編集部からのお知らせ

新着情報

あわせて読みたい

「誰もが輝いて働く社会へ」の特集記事を読む