モールドジスコンの長期使用に伴う波及事故への注意喚起
モールドジスコン(MDS)による波及事故の発生状況
断路器の一種であるMDSは、地絡や短絡に対する保護機能がなく、需要設備の責任分界点で使用した場合は波及事故を防ぐことができません。このため、現在はSOG動作(短絡・過電流・地絡等が発生した場合に遮断・開放することで、波及事故を防ぐ)機能を備えた地中線用の高圧負荷開閉器(UGS/UAS)などへの置き換えが進んでいます。
2020年度から2024年度までの5年間で、MDSによる波及事故は11件報告されています(表1)。事故件数は多くないものの、絶縁性能が低下すると波及事故が発生するリスクが高く、これらの事故はいずれも推奨更新時期(20年)を超えて使用されたMDSにより発生していることから(表2)、UGSやUASなどへの計画的な更新・交換が推奨されます。
また、MDSによる波及事故のうち約3割については、月次・年次点検で絶縁性能の低下といった事故の予兆を把握できていた事例であることから、特に推奨更新時期を超えて使用されたMDSにおいては、点検等による適切な管理が求められます。「2.モールドジスコン(MDS)における点検のポイント」に、点検のポイントをまとめているので、点検にご活用ください。点検によりMDSの異常や劣化を発見した場合は、速やかにUGSやUASなどに交換するといった対策をご検討ください。
(表1)MDSによる波及事故件数の過年度推移
| 事故発生年度 | 事故発生件数 |
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2020年度 |
1件 |
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2021年度 |
4件 |
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2022年度 |
1件 |
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2023年度 |
4件 |
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2024年度 |
1件 |
(表2)MDSによる波及事故発生時におけるMDSの経過年数と事故件数
| MDSの経過年数 | 事故発生件数 |
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20年以下 |
0件 |
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21年~30年 |
3件 |
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31年~40年 |
6件 |
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41年~50年 |
2件 |
モールドジスコン(MDS)における点検のポイント
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外観点検 ・MDSが見えにくい場所に設置されている場合は、ライトを使用して多方向から観察する ・可動モールド先端部に水分付着等による変色がないか確認する ・キャビネット内部の金属や操作ハンドル等に錆がある場合、キャビネット内部に水滴が付着している場合は、湿気の影響を考慮する ・MDSから異音(シャー、チリチリ、ビチッ等の音)が発生していないかを確認する |
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MDS開放時の点検 ・固定モールド基礎部の樹脂バンド(ゴム)に損傷・変形等がないか確認する ・可動モールド内部のパッキンや内壁に異常がないか確認する ・固定モールド外壁や可動モールド内壁に水滴や埃等の付着がないか確認する ・固定モールド外壁に微かな焼損跡やヒビ模様がある場合は、沿面地絡の初期段階である可能性が高いため、更新を推奨する |
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測定の注意点 ・MDSの絶縁性能が低下していない場合は、測定で異常を検知できない場合がある ・絶縁性能が低下していても乾燥状態では放電が発生しにくいため、検知が難しい場合がある ・湿気がある場合は超音波式放電探知機により確認する ・10 kV絶縁抵抗計等による測定で、キックや指針が安定しない現象が発生した場合は絶縁性能の低下を疑い、詳細に確認する |
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その他 ・キャビネットの床に埃がないか確認する ・MDSの開閉操作においては、可動モールドは清潔な面に置き、内壁等に埃が付着しないように注意する |
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| (図3)固定モールドの汚損例 | (図4)MDSの構造イメージ |
参考情報
参考資料
(※a)高低圧電気機器保守点検のおすすめ(一般社団法人 日本電機工業会)
https://www.jema-net.or.jp/randb-archives/DS5223_202411.pdf
(※b) 電気主任技術者だから発見できた電気事故防止事例集(電気保安協会全国連絡会、平成25年11月28日発行)
NITE 電力安全センターについて
NITE電力安全センターは、経済産業省(原子力発電設備等以外を所掌)からの要請を受け、電気保安行政(電気工作物の工事、維持及び運用における安全を確保するため行政活動)を技術面から支援するために、2020年5月、電気保安業務の専従組織として発足しました。現在、NITEがこれまで培ってきた知識や経験を活用し、経済産業省や関係団体と連携しながら、電気保安の維持・向上に資する様々な業務に取り組んでいます。
< NITE電力安全センターの業務紹介 >
https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html
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