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茨城県北部、棚倉断層帯沿いの新たな地質図を刊行

5万分の1地質図幅「大子」

ポイント

・ 30年ぶりに茨城県が主な範囲となる5万分の1地質図幅を刊行

・ 日本有数の大断層の一つ、棚倉断層帯の活動に深く関連した地域の詳細な地質情報を公開

・ 棚倉断層帯沿いの地域における地質災害軽減や地域振興の基礎資料としての利活用に期待

 

 

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、大子地域の地質調査の結果をまとめた5万分の1地質図幅「大子」(以下「本図幅」という)を刊行しました。茨城県が主な範囲となる5万分の1地質図幅の刊行は、実に30年ぶりとなります。本図幅地域には、日本有数の大断層の一つと言える棚倉断層帯が存在します。そのためこの地域は、日本列島の成り立ちを解明する上で学術的に重要であり、かつ防災・減災の観点からも重要な地域と言えます。今回、当該地域における約300日以上の地表地質調査を実施し、岩石の化学分析や微化石の抽出と同定、年代測定などの結果も踏まえて、詳細な地質図を作成しました。具体的には、本図幅地域の主要な地質である、足尾帯ジュラ系、阿武隈帯の白亜系(阿武隈変成岩類及び深成岩類)、その境界をなす棚倉断層帯とその周辺に分布する新第三系それぞれの分布を明らかにし、詳細に記載しています。

 

本図幅の作成を通じて、棚倉断層帯の運動履歴を明らかにし、それによって生じた大地の隆起沈降運動や回転運動なども解明しました(2023年6月26日産総研・茨城大学プレス発表2025年10月3日茨城大学プレス発表)。本図幅ではこれらの詳細な基礎データも解説しているほか、棚倉断層帯の情報や地すべりなどの地質災害に関する地質情報も集約しています。また、本図幅に掲載される地域には「袋田の滝」や「竜神峡・竜神大吊橋」などの有名な観光地もあります。本図幅は、当該地域における学術研究の基礎資料としてだけでなく、防災・減災、また茨城県の観光資源の理解促進を通じた地域振興などへの活用も期待されます。

 

下線部は【用語解説】参照

 

メンバー

細井 淳(産総研 地質情報研究部門・茨城大学 基礎自然科学野)

中江 訓(産総研 地質情報研究部門)

髙橋 浩(産総研 地質情報研究部門(研究当時))

 

入手先

本図幅は、1月26日より産総研地質調査総合センターのウェブサイトからダウンロードできます(https://www.gsj.jp/Map/JP/geology4.html)。また、産総研が提携する委託販売先からも購入できます(https://www.gsj.jp/Map/JP/purchase-guid.html)。

 

関連する論文

掲載誌:Tectonics

タイトル:Rotated transtensional basins formed during back-arc spreading in Japan: Simultaneous rapid tectonic rotation and basin subsidence

著者:Jun Hosoi, Yurie Tanii, Makoto Okada, and Yuki Haneda

DOI:10.1029/2022TC007642

 

掲載誌:Progress in Earth and Planetary Science

タイトル:Miocene dextral movement of the Tanakura fault zone, Japan: strike-slip fault inversion due to arc-arc collision

著者:Jun Hosoi, Tohru Danhara, Hideki Iwano, and Takafumi Hirata

DOI:10.1186/s40645-025-00762-y

 

用語解説

地質図・地質図幅

地質図とは、表土の下にある岩石や地層の種類・分布、褶曲や断層などの地質構造を、色や模様、記号を用いて地形図上に示したものを指す。全国をマス目に区切った規格に従って作成された地質図を地質図幅という。産総研地質調査総合センターが整備・刊行する地質図幅としては、5万分の1地質図幅、20万分の1地質図幅などがある。5万分の1地質図幅は日本全国で1274区画あり、地質図幅の中で最も高精度の地質図で詳細な地質情報が記載されている。20万分の1地質図幅は日本全国で124区画あり、全国整備は完了し現在は古くに刊行された図幅について改訂が進められている。

 

棚倉断層帯

日本列島の大断層の一つ。茨城県常陸太田市から福島県東白河郡棚倉町へと北北西から南南東方向にのびる断層帯。その北方延長については諸説あるが、この断層帯を境に西南日本の帯状の地質構造が途切れることから、東北日本と西南日本の地質を分ける断層とも考えられている。

 

足尾帯・阿武隈帯

岩石種・形成過程・時代など同じ特徴を持つ地質体が広範囲にまとまって分布する場合に「〇〇帯」という地帯名が付与される。足尾帯は、主にジュラ紀(約2億〜1億5千万年前)の付加体からなる地帯である。阿武隈帯は主にジュラ紀以前の付加体や陸源性堆積物が起源の変成岩と白亜紀の花崗岩類からなる地帯である。付加体とは、海洋プレートが海溝で大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレートの上の堆積物や海山の断片などがはぎ取られ、海溝に溜まった大陸プレートから流れて来た砂や泥と一緒になって、大陸側に押し付けられてできた岩石・地層群のことを指す。

 

 

プレスリリースURL

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20260126/pr20260126.html

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