ジオテクノロジーズとJTB、人流分析ツール 『トレポト』 を共同開発
持続可能な観光地域づくりを目指し、10月1日より人流分析サービスを開始
2025年6月24日
ジオテクノロジーズ株式会社
株式会社JTB
ジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:八剱 洋一郎)と株式会社JTB(本社:東京都品川区、代表取締役 社長執行役員:山北 栄二郎)は、持続可能な観光地域づくりに向けた共創を目指し、業務提携契約を締結しました。
両社は、渋滞情報や人流を可視化するツール『トレポト』を共同開発し10月1日からサービスを開始します。今後、得られたデータの分析をもとに、自治体や観光地域づくり法人(DMO)などに対して効果的なプロモーション戦略の立案支援を行うなど、観光業界を支える施策を実行していきます。
●人流分析ツール『トレポト』動画: https://www.youtube.com/watch?v=arPeyAuyPW4
■共創の背景
近年、インバウンド需要は力強い回復とともに拡大を続けており、2024年の訪日外客数は年間で 3,600 万人を超える過去最多を記録し、2025年4月には単月過去最高となる初の 390 万人を突破しました。※1,2
観光立国としての発展は、日本の歴史や文化への国際的理解を深めるとともに、地域経済の活性化や雇用の創出といったメリットをもたらす一方で、オーバーツーリズムや人手不足、宿泊施設の価格高騰など、観光地が抱える課題も顕在化しています。ジオテクノロジーズとJTBは、観光地の渋滞に着目し、渋滞の緩和・改善に貢献できると考えました。
※1日本政府観光局HP「訪日外客数(2024 年 12 月および年間推計値)」より
※2日本政府観光局HP「訪日外客数(2025 年 4 月推計値)」より
ジオテクノロジーズの人流データは、約10秒間隔という高頻度で取得されており、徒歩・自転車・自動車といった移動手段の判定や、人や車の混雑状況の把握を高精度で行える点が特長です。地図データと組み合わせた高度な解析は、商圏分析やマーケティング支援といった分野ですでに活用されており、今後は観光領域への応用も期待されています。
JTBは持続可能な観光地の発展に向け、継続的な「交流」を生み出す仕組みづくりに取り組んでおり、地域・旅行者・社会、それぞれにとっての利益となる‟三方良し“の実現を目指しています。
両社は、それぞれが有するアセットとノウハウを掛け合わせることで‟三方良し“の理念を実現できると考え、業務提携契約を締結し、人流分析ツール『トレポト』を共同開発しました。今後は観光に携わるすべての地域や人々の利益につながる提案を行います。
■人流分析ツール『トレポト』に関して
今回両社で共同開発するのは、過去の渋滞状況が視覚的に把握でき、さらに統計に基づく渋滞予測を可能とするツールです。両社は、人流分析ツール『トレポト』を活用し、最短距離だけでなく通過時間を考慮した最適な所要時間の計算に基づく詳細な分析レポートを提供します。まずは観光地における交通課題が顕在化している自治体や観光地域づくり法人(DMO)を対象に、サービス提供を開始する予定です。
■観光地における交通渋滞の主な影響
●来訪者の満足度低下、地域住民の生活への影響、安全面における深刻な問題が発生
●移動時間の増大により観光時間が短縮され、地域での消費機会が減少
●生活道路への観光車両の流入により、住民の日常生活(通勤・通学・買い物など)に支障が発生
●緊急車両(消防車・救急車など)や公用車の通行阻害により、救助活動や支援活動に遅延が発生
近年の観光需要の変化や環境への配慮から、これらの課題に対する戦略的なアプローチがますます重要となっています。本サービスは、客観的なデータと高度な分析に基づいた意思決定をサポートし、持続可能な観光地域づくりの実現に貢献します。トレポトは今後もさらなる機能の充実とサービス拡充を目指し開発を続けます。
■人流分析ツール『トレポト』の活用例
・イベント時の交通影響の可視化
観光地や花火大会などのイベント時における交通への影響を評価することが可能です。渋滞状況や通行量を視覚的に把握することで、移動ニーズを分析し、観光政策の立案や交通インフラの整備、受入体制の強化に向けた重要な検討材料として人流データを活用できます。
・運輸事業の必要性と実効性の評価
沖縄県では、観光客が那覇エリアでレンタカーを集中的に利用することにより、深刻な渋滞が発生しています。このような課題に対応するため、JTBでは観光客の約半数が訪れる県北部エリアへの観光客輸送を目的として、特急バス事業を展開しています。今後、7月25日開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」の開業が控えており、さらに需要が高まる北部エリアに交通結節点を設置することが有効かどうかを、実際のデータに基づいて客観的に評価しました。
このように、本ツールは、計画中の事業が現状の課題解決に役立つかどうかを客観的に評価することが可能です。
■今後の展望
ジオテクノロジーズとJTBは、共同開発する人流分析ツール『トレポト』を活用し、観光地の持続的な発展と課題解決に貢献することを目指します。今後は、自治体や観光地域づくり法人(DMO)などに対し、交通渋滞や人流の分析データをもとに、より精度の高いプロモーション戦略や観光政策の立案、また、地域ごとの移動分散や公共交通機関の活用促進を提案・支援していきます。




