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プロラグビー選手が故郷・伊丹の幼稚園に凱旋 後輩のちびっ子ラガー250人と交流

左から、岡田選手、喜連選手、前田選手、梶村選手。園児からの贈り物を首にかけてポーズ=伊丹市

 大阪や神戸へのアクセスも良好で、子育て世代に人気の兵庫県伊丹市には、全国的にも珍しいラグビー部のある幼稚園がある。学校法人白ゆり学園が運営する「白ゆり幼稚園」と「いずみ幼稚園」の姉妹園だ。毎冬には、両園の年長児が繰り広げる対抗戦もあり、大学ラグビーの「早慶戦」さながらだという人も。7月には、現在日本最高峰の「リーグワン」で活躍する卒園生が指導に訪れ、ちびっ子ラガーと汗を流した。

たくさんの園児があこがれのプロラグビー選手に飛びつくが、選手はびくともしない

 両園のラグビー部からは、多くの子どもたちが地元の伊丹ラグビースクールへと進む。そののちに、日本代表などに選ばれたトップ選手も数多い。7月23日に両園のグラウンドで行われたラグビー教室に参加したのは、白ゆり幼稚園出身の喜連航平選手と梶村祐介選手、いずみ幼稚園出身の前田剛選手と岡田優輝選手。いずれも現在、日本最高峰の「リーグワン」で活躍する、ちびっ子ラガーのあこがれの的だ。

 4人は幼稚園の対抗戦で初めて出会った同級生で、その後はそれぞれ違う学校に通いながらラグビースクールのチームメートとして多くの時間を共に過ごした。喜連選手は、「夏休みは毎日、スクールの友達とラグビーをしていた。学校以上につながりの深い場所だった」と当時を振り返る。

 幼稚園でラグビーと出会ってから25年以上が経過し、今年で30歳を迎える4人。「お世話になった地元に何か恩返しがしたい」という思いから、喜連選手の呼びかけで初めてラグビー教室を企画した。目的は、子どもたちにラグビーを続けてもらうことだけではない。岡田選手は「自分の好きなことや得意なことを見つけ、居心地のいい場所を作ってほしい」と語り、子どもたち同士の出会いが、卒園後も続くつながりになることを願っている。前田選手も「ラグビーに限らず、スポーツを通じて全国に広がるつながりが、次の世代にも広がってほしい」と話した。

ラグビー教室を企画した喜連選手。園児たちが楽しむ姿を前に自然と笑顔がこぼれる

 2つの幼稚園のラグビー部にはあわせて107人の園児が所属し、普段はクラスの枠を越えて週1回練習をしている。プロ4選手による教室には、ラグビー部以外の園児や女児を含め、両園合わせて約250人もの園児が参加した。

 最初は緊張していた子どもたちも、選手たちが考えた動物体操が始まると一気に笑顔に。動物体操はペンギン、ライオン、カエルの動きをまねしながら体を動かす準備体操だ。なかでも大盛り上がりだったのはライオンの体操。子どもたちは、指導役の選手よりも大きな声で「ガオーッ」と叫んでいた。

 選手たちが鬼役となったおにごっこでは、園児たちが笑顔で元気に走りまわり、最後まで逃げ切った園児は両手をあげて飛び跳ねながら喜んだ。ラグビー部に入っていない子どもも、みんなが一緒になって楽しみ、教室の最後の「これからもラグビーをがんばる人は?」との先生の質問に、参加した全員が元気いっぱいに「はーい!」と返事した。

ラグビーボールを手に、暑さをものともせず盛り上がる園児たち

 4人は現役のプロ選手であるため頻繁な教室開催は難しい。ただ、喜連選手は「この幼稚園のラグビー部がスタートだったという多くのOBが、年に一度でも集まれる場所になれば」と今後の展望を語る。梶村選手は「今度は僕たちが次の世代に何かを返す番。この活動をすることで、子どもたちに『ずっとつながる仲間』をつくる機会が生まれるならば、とても意味があると思う」と、後輩たちの未来に思いを寄せた。

 今回のラグビー教室は、参加した園児や保護者、先生、そして4人の選手たちにとって、忘れられない夏の思い出となった。

  • 左から、岡田選手、喜連選手、前田選手、梶村選手。園児からの贈り物を首にかけてポーズ=伊丹市
  • たくさんの園児があこがれのプロラグビー選手に飛びつくが、選手はびくともしない
  • ラグビー教室を企画した喜連選手。園児たちが楽しむ姿を前に、自然と笑顔がこぼれる
  • ラグビーボールを手に、暑さをものともせず盛り上がる園児たち

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