【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#「オディソパンマリヤ」、なぜKドラマのケンカは「タメ口」から始まるのか
▽タメ口は関係性のサイン
こうしてドラマを見比べると、一つのことが見えてくる。パンマルを使えるかどうかは、年齢だけで決まるわけではないということだ。年齢や立場、組織での序列、そして親しさ。そのすべてを踏まえて、「この相手には敬語を使わなくていい」と判断したときに初めて、パンマルは自然になる。言い換えれば、パンマルは人間関係そのものを映し出すサインなのである。
もちろん、これはドラマの中だけの話ではない。韓国では実際にも、パンマルをきっかけに口論や暴力事件へ発展した例が報じられている。親子や恋人、親友の間では年齢に関係なく自然に使われる一方、初対面の相手へのパンマルは、「あなたを対等な相手とは見ていない」というメッセージとして受け取られることもある。
だからこそ、パンマルをきっかけにした言い争いには「パンマルシビ」という言葉まである。「シビ」は言いがかりやいさかいを意味し、パンマルをめぐる口論やトラブルを指す。話し方一つを表す言葉にとどまらず、それが原因となる争いを表す固有の言葉があること自体、パンマルが韓国社会で身近で、重要な意味を持つことを物語っている。
▽推しをもっと理解するために
K-POPや韓国ドラマを楽しむ人にとって、パンマルはまず「使う」より、「聞き分ける」ことに意味がある。
誰が誰にパンマルで話し、どこで敬語へ切り替えるのか。そこが分かるようになるだけで、字幕だけでは見えなかった人物同士の距離感や、心の動きまで見えてくる。
幼い頃から身につけた敬語感覚を、外国人がそのまま再現するのは簡単ではない。だから無理に使おうとしなくてもいい。まずは聞き分けられるようになること。それだけでも、推しの何気ない一言やドラマの会話は、これまでとは違った立体感をもって聞こえてくるはずだ。
筆者プロフィール
たんふる先生(韓活韓国語ラボ)。韓国語・韓国文化研究者。NHKラジオ語学講座で講師を務めた経験を持つ。K-POPや韓国ドラマ、SNSの言葉をデータとして読み解き、教科書には載りにくい韓国語や韓国文化の面白さを発信している。
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