【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』
『盤上の向日葵』(10月31日公開)

(C)2025映画「盤上の向日葵」製作委員会
信州の山中で身元不明の白骨死体が発見される。現場には、この世に7組しか現存しない希少な将棋駒が残されていた。駒の持ち主は、将棋界にすい星のごとく現れた天才棋士・上条桂介(坂口健太郎)であることが判明。
さらに捜査を進めていくと、桂介の過去を知る重要人物として、賭け将棋で圧倒的な実力を誇った裏社会の男・東明重慶(渡辺謙)の存在が浮上する。やがて、謎に包まれていた桂介の生い立ちが明らかになる。
2019年にドラマ化された柚月裕子の同名小説を映画化したヒューマンミステリー。昭和から平成へと続く激動の時代を背景に、過酷な人生を生きる天才棋士の光と闇をドラマチックに描く。監督・脚本は熊澤尚人。事件の真相を追う刑事役で佐々木蔵之介と高杉真宙が共演している。
推理劇としては上条の不幸かつ数奇な運命、それを解き明かしていく捜査陣というストーリー展開、印象的なラストシーンなどは、松本清張原作の名作『砂の器』(74)をほうふつとさせるものがあるが、大きく異なるのは渡辺演じる東明の存在。従って、将棋を介した上条と東明の不思議な関係がこの映画の見どころとなる。坂口と渡辺の演技合戦が見ものだ。













