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高橋一生、平山秀幸監督「アクションはもちろん、人間ドラマとしてもちゃんと娯楽性を持っている作品に仕上がっていると思います」「連続ドラマW 1972 渚の螢火」【インタビュー】

-高橋さん、沖縄の言葉は大変でしたか。

高橋 真栄田に関しては「ないちゃー(本土の人間)」と言われているような男なので、そこまで大変ではなかったのですが、(小林)薫さんや青木(崇高)さんは結構大変だったと思います。真栄田は彼なりによかれと思い、距離感を取ろうと思って話しているのに、反対に現地の人たちにとっては彼の言葉が神経を逆なでする要素になっているんです。

-話の骨子は強奪されたドル札を巡るミステリーでしたが、その中に沖縄が抱える矛盾や屈折みたいものが入っていて、それが主人公の真栄田とも重なる部分もあったと思いますが、その点について監督は意識しましたか。

平山 台本や俳優さんとの打ち合わせ、いろんなことがあった時に必ずそれが入ってくるんです。だから、逆にこちら側がかみしもを着て、大上段に構えてこれが問題ですよとなると、ちょっと自分の性には合わない気がしました。ただそこから逃げるわけにもいかないので、そういうことも自然に入ってくるという形でやりました。

高橋 もちろん、そのことはずっと考えていました。真栄田は周りの人たちから煙たがられて、疎まれてという人間ですけれど、ある意味、彼は沖縄そのものです。だから真栄田の立場になってみると、彼のそういう部分を理解してくれる人は限りなく少なかったのだろうと思います。それだけ分かりづらい混乱がその場所にあったのだろうということは、自分の役柄を通して感じました。

-青木崇高さん、小林薫さん、沢村一樹さんと共演してみてどんな印象でしたか。

高橋 青木さんは、テクニカルなことではなく、今自分がその場所にいて、その役を演じながら、どういうふうに感じるのかという感覚を一番大事にされている方だと思いました。どう立ち回ったらいいのか、どうやったら効果的に見えるのかということはわざと抑え込んでいるような気がしました。与那覇と重なるような、実直さと熱量を感じました。

 薫さんはどの現場でも、普段は淡々としていらっしゃるけれど、実際に役に入った時は、内側にこもっているものがあふれてくる方なんだと改めて勉強になりました。(川平を演じた)沢村一樹さんは作品に対して熱量をぶつけてくる方だと思います。出自や出身は違うけれど、真栄田は川平になっていたかもしれないし、川平は真栄田になっていたかもしれない。ある意味、2人は裏表のような存在だったので、取り調べのシーンで向き合った時などは、非常に勉強になりました。皆さんととても楽しくお芝居ができたと思っています。

-完成版を見た印象を。

高橋 もちろん、史実や実際に起きたことが下敷きとしてあるんですけれど、クライムサスペンスとしてもしっかり成立している。アクションはもちろん、人間ドラマとしてもちゃんと娯楽性を持っている作品に仕上がっていると思います。

-最後に、ドラマ見どころも含めて、視聴者や読者に向けて一言ずつお願いします。

平山 僕は、映像というのは俳優さんを見るものだと思っています。例えば、子どもの頃は黒澤明さんではなくて三船敏郎さんを見に行ったんです。だから今回も演出とかよりも俳優さんのお芝居を見ていただきたいと思います。

高橋 娯楽として人間ドラマとして見ていただいて、何か心に残ってくれたらありがたいと思います。台本を読ませていただいて、沖縄に入って、現地の方のお話を伺わせていただいた時の、あの感覚のようなものを、ドラマとして受け取っていただけることができたら、それだけで十分だと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)WOWOW

  • (左から)高橋一生、平山秀幸監督 (C)エンタメOVO

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