正門良規、舞台「十二夜」での女性役に「演じるのが楽しい」【インタビュー】
-では、本作に限らず、正門さんが舞台で役を演じる上で心掛けていることはありますか。
諦めないことです。いろいろな日がありますが、それでも最後まで楽しもうと思っています。ライブよりもライブな気がするんですよ。お客さんのリアクション一つで変わりますから。毎日、物語が生きていると感じます。僕は舞台が大好きです。
-舞台で演じることの魅力は?
リアクションがすぐに返ってくるところです。お客さんを感じながら演じられるのは、ドラマや映画ではできないことです。それに2時間、集中したら物語が終わるというのも非常に潔くていいですよね。その日に来てくださった方のために2時間、僕たちも一生懸命やる。ただ、その日、何点を出せるのかは分からない。それはお客さんや共演者の皆さんとの共同作業だからです。そうしたところがものづくりをしている感覚があって、僕はすごく好きです。
-そうした舞台での経験は、グループ活動などに戻ったときにどんな影響を与えると考えていますか。
ライブもそうですが、終わってみないと分からないなと思っています。ライブよりも舞台の方がより終わるまでどうなるか分からないという感覚があるんですよ。ライブは「このタイミングでカメラが来る」とか「このタイミングで動く」といったことが決められているのですが、舞台の場合、そのタイミングで自分がどこにいるのか分からないというアバウトさがあります。それでいいと僕は思っているのですが、より1回1回の公演を大事にするようになったと思います。
-この作品では「自分とは何か」もテーマの一つだと思いますが、正門さんが自分らしく生きる上で大切にされていることは?
うそはつかないでいようと思っています。それから、自分の好きなもの、直感は大事にしています。その直感が合っていると思うこともあるし、気が乗らなくてもやってみたら楽しいということもありますが、年齢を重ねるにつれ好き嫌いが少なくなってきたように思います。予想外の面白さに出会えることも分かったので、前のめりな人間になってきたのかなという気はしています。
-シェークスピア作品というと身構えてしまう人も多いと思いますが、初めて観劇する人に向けて、観劇のアドバイスをお願いします。
シェークスピアに限りませんが、演劇の始まりは“遊び”だったので、あまり身構えず、娯楽だと思って気軽に来ていただけたらと思います。僕たちがきちんと伝わるものをお見せしますので。もし、気になる方はパンフレットを手に取っていただいて、それを読んでいただければ最低限の情報はそこにありますから、予習はそれだけでいいです。僕はシェークスピアは入門編にもってこいだと思うんですよ。この作品は特に喜劇ですし、ときめいたり、共感できるシーンも多いと思うので、ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/嶋田真己)
舞台「十二夜」は、10月17日~11月7日に都内・東京グローブ座、11月15日~21日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。