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水上恒司「宮舘さんに勝負を挑むような気持ちで」宮舘涼太「水上くんに遠慮しないように」初共演で魅せた白熱の演技合戦『火喰鳥を、喰う』【インタビュー】

 10月3日から全国公開となる『火喰鳥を、喰う』は、原浩の第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・大賞受賞作を映画化した話題作だ。

 信州で暮らす久喜雄司と夕里子(山下美月)夫妻の元に、かつて戦死した先祖の日記が届く。その最後のページにつづられていたのは「ヒクイドリ、クイタイ」の文字だった。その日を境に、雄司たちの周りで不可解な事件が続発。夕里子の知人で超常現象専門家の北斗総一郎の協力を仰ぎ、真相を追究しようとするが、事態は思わぬ方向へ。やがて雄司や北斗を含む関係者の思わぬ一面が明らかになる…。

 主人公・久喜雄司を演じた水上恒司と北斗総一郎役の宮舘涼太はこれが初共演ながら、劇中では白熱の演技合戦を披露。公開に先駆け、その舞台裏を語ってくれた。

水上恒司(左)、宮舘涼太 (C)2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会

-先読み不可能な物語の面白さと共に、お二人の白熱する演技合戦に魅せられました。まずは、本作への出演を決めた理由を教えて下さい。

水上 理由はいくつかあります。まず大きいのは、今まで自分が経験したことのないタイプの作品で、ぜひ挑戦してみたいと思ったことです。そしてもう一つは、雄司が北斗に対する“受け”の役だったことです。普通、物語は主人公が周囲の人物のお芝居を受ける形で動いていくことが多く、この作品の場合、主人公の雄司にとってその主な相手が北斗です。でも、北斗が得体の知れない存在である分、それを受けるために、今までにない受けの芝居にチャレンジできるのではと。

宮舘 僕は台本を読ませていただき、物語の面白さと共に、北斗のキャラクターに大きな魅力を感じました。こんなふうに、周囲を自分のペースに巻き込んでいく役と出会う機会はなかなかありません。だから、ぜひやってみたいと。

-劇中、雄司と北斗は不可解な事件の真相を巡って衝突します。そういう熱量のあるお芝居をする上で、心掛けたことを教えてください。

水上 最も意識したのは、相手のお芝居を受け続け、いかに的確にリアクションできるかということです。それによって相手のキャラが立ちますし、そこから自分に跳ね返ってきたものを受け止めることで、雄司のキャラも立つわけですから。

宮舘 逆に僕は北斗として、テストの段階から水上くんに遠慮しないように心がけました。僕の100%をぶつけることで、必然的に水上くんのお芝居も変わってくる。そう考えたら、手加減なんてできないと思って。

水上 その点、雄司は主人公ですが、僕自身はそういう相乗効果を促すパーツの一つでも構わないと考えていました。そうやって北斗や夕里子など、さまざまな登場人物と対峙(たいじ)していくことに、やりがいを見いだしていました。

宮舘 そういう雄司との関係が前提にある中で、北斗のうさんくささや異物感を、どうしたら観客に伝えられるのか。あるいは久喜家の人々にどう伝わるのか。演じる上で僕は常に、そういうことを意識していました。

水上 北斗のうさんくささや異物感には、ダテさん(=宮舘)ならではの魅力がありましたよね。ダテさん以外は考えられないくらい、北斗を魅力的に演じてくださったと思います。

(C)2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会

-終始、冷静さを保っている雄司ですが、北斗と対峙するクライマックスではその様子が一変します。あの場面のお芝居について教えてください。

水上 この物語のカギになるのは、登場人物それぞれの「執着」です。でも、あのときの雄司には、自分の「執着」を自覚せず、「善意」や「大義」とはき違えた人間の怖さがある。そういう人間の醜悪な部分を雄司に感じながら演じていました。

宮舘 僕は、そういう雄司の隠された一面があらわになるクライマックスに向け、どこでどの程度、北斗の本音を出していけばいいのか、ずっと考え続けていました。それまで北斗は、自分の言葉で雄司たちを自分のテリトリーに引き込みながら物語を引っ張っていくので、それだけの説得力もなければいませんから。といっても、撮影は物語の順番通りに進むわけではないので、その案配は場面ごとに細かく計算していました。

-迫真の演技の秘密の一端が垣間見えるお話をありがとうございます。ところで、劇中ではシリアスな形で対峙したお二人ですが、逆に撮影中、お互いの意外な素顔が垣間見えた出来事はありましたか。

宮舘 北斗が雄司にスコップで殴られるシーンの撮影後、血まみれになった僕を横目に、血だらけのスコップを手にした水上くんが笑顔で写真に写っていたんです(笑)。日常生活でそんなことをしたら、ただのおかしな人ですが、緊迫した撮影の合間にそういう和やかな表情が見られたのは楽しかったです。

水上 現場でダテさんは、演じているときとそうでないときの境目がすごく曖昧だったんです。その分、凛とした顔で面白いこと言われたりすると、突っ込むべきかどうか、迷うときがあって(笑)。逆に、ダテさんが思ってもいないタイミングで、僕が突っ込んだときのダテさんの表情も面白かったです。しかも、そこでダテさんが、さらに面白く切り返してきて。

宮舘 「違う、違う、そうじゃ、そうじゃない~♪」って(笑)。

水上 そうでしたね(笑)。やっぱり百戦錬磨の方だなと。

-今回、初共演となったお互いの印象はいかがでしたか。

水上 僕も含めた若手俳優の中で、際立った個性を持つダテさんに、自分がいかに太刀打ちできるか勝負を挑むような気持ちでお芝居していましたが、そこから生まれる化学反応が、すごく面白かったです。

宮舘 僕は撮影中、ものづくりに一生懸命な水上くんの姿が、かっこいいと思っていました。作品をよりよくするために、肩ひじ張らず、誰とでもフレンドリーに話をしてコミュニケーションを取って。そうやって、座長としてみんなを引っ張っていってくれた印象があります。

水上 ありがとうございます。ダテさんとは初対面で、今回は雄司と北斗という関係性でしたが、機会があればまた違った形でぜひご一緒し、より深くダテさんを知りたいと思っています。

(取材・文/井上健一)

(C)2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会

  • 水上恒司(左)、宮舘涼太(C)2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会

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