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「冬ソナ」大ヒットの立役者、ユン・ソクホ監督が最新作に込めた思い「人と人が癒やし合うような温かな作品に」『夏の終わりのクラシック』【インタビュー】

ユン・ソクホ監督

-他人に対する思いやりや親切心をテーマにした映画ということですが、かつてユン監督が手がけた「冬のソナタ」は、日韓交流にも大きく貢献しました。単なるエンターテインメントにとどまらない映画やテレビドラマの力については、どのようにお考えでしょうか。

 当時、私は一つの仕事としてテレビドラマを作ったに過ぎなかったのですが、「冬のソナタ」がもたらした結果や教訓は、それ以上の大きなものがありました。一つの作品が、単なるコンテンツにとどまらず、国家間の文化的な交流にも寄与するほど、大きな役割を果たすことができるという一つの証明にもなったわけですから。おかげで、コンテンツの役割について、私自身も改めて考えるきっかけになりました。

-そうでしたか。

 当時のことで強く印象に残っているのが、日本の森(喜朗)首相が、国会で語った言葉です。「これまで、政治家が日韓関係を良くしようと苦労してきたにも関わらず、『冬のソナタ』というたった一つのコンテンツが、その問題を解決し、文化交流を促進したことに、非常に驚いた」。「日韓の文化交流は、『冬のソナタ』以前と以後に分かれる」という言葉も聞いたことがあります。これからも、そういう状況が続くことを願っています。

-ユン監督の作品は前作『心に吹く風』(17)も日本を舞台にするなど、日本と縁が深いようですが、日本に対してどんな思いを持っていますか。

 私が「冬のソナタ」以前に撮った「インビテーション」(99)というテレビドラマが、台湾で放送された時、現地で「これは日本の監督が作った作品なのか?」と話題になったそうなんです。それを聞いて非常に驚くと同時に、私にも日本的なところがあるのかな、と考えるようになりました。その後、「冬のソナタ」が、韓国以上に日本で大ヒットした現象を見て、台湾での話にうなずけるものがありました。その出来事をきっかけに、私も日本映画を見るなど、日本の文化に接するようになり、今では日本をとても身近に思っています。この原作小説を読んだときも、心に響くものがありましたし、この映画が日本でご覧いただけることに、運命やご縁のようなものを感じています。

-ユン監督が影響を受けた日本の作品やお好きな作品を教えてください。

 黒澤明監督の作品にはあらゆる面で驚かされました。その一方で『かもめ食堂』(05)のような小規模の作品も、韓国にはないのでとても気に入っています。テレビドラマでは、「北の国から」(81)も大好きです。影響という点では、知らないうちにさまざまな作品から影響を受けていると思うので、名前を挙げることは難しいのですが、私の好きな傾向の作品には関心を持ち、欠かさずチェックするようにしています。

-それでは最後に、この作品の日本公開に対する思いをお聞かせください。

 今回は私の好きな日本の小説を読んで感じたことを映画にしましたが、そこには音楽や映像、せりふなど、さまざまな要素が絡み合って一つの作品になっています。それが皆さんに伝わり、感動と癒やしを感じていただけたらうれしいです。そして、皆さんが少しでも周囲の方に思いやりを持って接していただけるようになることを願っています。

(取材・文/井上健一)

『夏の終わりのクラシック』10月3日(金)からシネ・リーブル池袋他全国順次公開

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