KK KYODO NEWS SITE

ニュースサイト
コーポレートサイト
search icon
search icon

栗田貫一「今回はルパンたちが謎の世界に迷い込んで謎の敵と戦って、しかも前に倒した連中もよみがえってくるみたいな感じです」『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』【インタビュー】

-30年間やってきて、栗田さんなりのルパンに対する思いや魅力について。また栗田さんにとってルパンとはどういう存在でしょうか。

 やっぱりルパン三世の声は、パート2や『ルパン三世 カリオストロの城』(79)の頃の、山田さんが一番元気だった頃のテイストが、皆さんが耳慣れているいわゆるルパンの声なんです。そこはやっぱり物まねをする者としてはまねしなきゃいけないところです。もう元がいないからまねのしようがないんですけど、あの声は忘れてはいけないのかなと思います。ただ、そこをベースにして変化をするのはいいと思うんです。作品も変わるし、例えば、峰不二子も増山江威子さんの時代の甘い香水の香りがするようなグラマーな不二子から、今の沢城みゆきさんがやっているシャープでクールで色気があって、悪いことも平気でできる、いろんな意味での現代の不二子に変わったと思うし。山ちゃん(山寺宏一)もすっかり銭形になったし、明夫ちゃん(大塚明夫)も、もう小林清志さんじゃんって。だから僕もそういう意味では楽になれたんです。みんな少しずつ変化してもいいんだと。

-今回の映画の脚本について感じたことや実際に演じた印象は?

 録音した時に絵もあまり入ってなかったし、僕は1人で声を入れたのでどういう敵と戦っているのかもあまり分からず、こういう感じでというのを監督と一緒に探りながらやりました。声から感じる温度みたいなものがないので、相手がどんな声なのかも分からない。それを全部飛ばしてしゃべっているので、本当にこれで正しいのかなと。だから、そういう意味では、苦労じゃないけど、ほんとにこれで成り立つのかなというのはありました。今回はルパンたちが謎の世界に迷い込んで謎の敵と戦って、しかも前に倒した連中もよみがえってくるみたいな感じです。小池さんはそういうのは全部つなげる人なので、そういうおしゃれが効いている人なので。

-最近、テレビドラマの「御上先生」で人工知能のルパンの声をやっていましたが、こうしたルパンの広がりみたいなことについてどう思いますか。

 モンキーさんは、昔からルパン三世は自分が作り上げたものだけど、どうぞ皆さん、勝手にルパンを使ってやってください。どんなルパンでも描いてみてくださいと、やりたいとおっしゃる人たちにお譲りになっているんです。だからすごくジャンルが広がったんだと思います。ルパンという物語をいろんな人が描いていろんなルパンが出てきた。それは、もしモンキーさんがずっと俺が作ったんだって守り続けていたらできなかったと思うんです。だから僕も「御上先生」にも行ったし。あれだってルパンのファンはびっくりしたと思いますよ。でもそれを始めたのはモンキーさんなんです。それが広がっていったんです。

-映画を楽しみにしてる皆さんにメッセージを。

 僕が一番楽しみにしているのでどうやってメッセージを出したらいいのか分かりません(笑)。自分も早く劇場で見たい。絵や音はどうなっているのだろうって。小池さんの絵はすごく深いんです。靴の裏まで描く人なんてそんなにいないから。CGでいいというところも全部自分で描いてしまうらしいのでスタッフも大変だと思います。「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」(14)からスタートして、ようやくルパンが主役の作品を作ってくれました。いつものテレビ的なルパンは、滑稽な部分やおちゃめな部分があったり、ちょっといやらしかったりもするけど、今回の映画はそういうのは全くありません。「不二子ちゃん」も言わないし、「銭形のとっつあん」も言わない。その関係性も含めて、初めて見る人はこういうのがルパンなんだと思うかもしれないし、前から見ている人は違うと言うかもしれない。それは分からないけれど、いろんな方に楽しみに劇場に来ていただいて、「おお、なるほど」と感じてもらえればいいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』原作:モンキー・パンチ (C)TMS

編集部からのお知らせ

新着情報

あわせて読みたい

「誰もが輝いて働く社会へ」の特集記事を読む