更年期障害は生活習慣病?鍼灸治療で根本改善を目指す!
■更年期とは何か?
女性は生きている間、幾度かからだのリズムが変わります。それに大きく関与しているのが月経です。月経は、ホルモンの動態に影響を受け、性機能に関与します。ホルモンの動態変化を元にした女性の一生は、胎生期、小児期、思春期、性成熟期、更年期、老年期に分類されます(『病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科』p95)。
更年期とは、卵巣機能が低下し始め、消失し、閉経する時期を言います。更年期になると、正常な機能を持つ卵胞は徐々に減少し、月経周期が不規則になります。やがて無排卵周期を繰り返したのち閉経します。閉経すると卵胞は消失します。卵胞機能が低下して閉経に移行する期間は約5年です(『病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科』p99)。更年期は、女性に特有な期間と言えます。
■更年期障害とは何か?
更年期障害とは、「卵巣機能低下に伴うエストロゲン減少と社会的、環境、個人要素などが複雑に絡み合い、器質的疾患がないにもかかわらず、自律神経失調を中心とした多彩な不定愁訴を主とする症候群」です。
更年期障害と言われる症状は、
1. 血管運動神経症状 のぼせ ほてり 発汗 手足の冷え 動悸 など
2. 精神神経症状 易怒性 焦燥感 憂鬱性 不眠 頭痛 めまい など
3. 知覚神経症状 手足のしびれ 手足の感覚鈍化 耳鳴り など
4. 運動器官への症状 易疲労感 肩こり 手足の痛み 腰痛 など
に大別されます(『病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科』p98)。
更年期は女性に特有の時期ですので、婦人科を受診される人は多いと思いますが、症状だけを見ると、内科、神経科、耳鼻咽喉科や整形外科など、どの診療科を受診しようか迷われる方も多いのではないでしょうか。
■更年期障害って本当にあるの?
更年期障害と言われる症状を見ると、女性が迎える更年期でなくても男女関係なく全世代で起こりうる症状だということが分かります。
また、更年期は月経周期が不規則になる時期ですので、出産回数にもよりますが、おおむね45歳頃から55歳頃と考えられます。この時期は、生活習慣病を発症する時期と重なります。
更年期障害と生活習慣病の症状は近似していますが、長年の臨床経験から個人的には、更年期障害は生活習慣病と言って差し支えないのではないかと感じています。
更年期を迎える前の20歳代から40歳代前半は、人生で最も忙しく、活動的な時期と言えます。出産をした人であれば、授乳を含む育児を経験し、不規則な生活を送ったのち、ちょうど一息つく頃です。更年期は、長年の疲れが出てくる時期でもあります。
不定愁訴を感じたら、生活習慣を見直すことにより症状の改善が期待できます。全ての症状は、肉体の疲労や内臓の機能低下を教えてくれるサインですので、症状を感じたタイミングで、生活を見直すことにより、更年期障害を克服することができると考えます。
更年期に障害を感じる人は、
1.睡眠(一日8時間)
2.休養(1時間に5分休憩)
3.食事(朝・昼・夕規則正しい時間に飲食)
4.運動(週2~3回60分~90分汗を出す)
5.社会環境(生活空間の適温化・日光浴など)
を見直してみていただきたく思います。規則正しい生活をすることにより、体内リズムが正常になり、不定愁訴を感じなくなると思います。
■更年期障害に鍼灸治療は最適です
鍼灸院には、更年期障害に関係する症状で数多くの人が来院されます。どの症状も、鍼灸治療の得意分野と考えられる症状です。鍼灸治療を1か月ほど週1~2回治療して、良く睡眠を取り、休養していただければ、どの症状も消失する確率は高いと言えます。不定愁訴が長年続く人でも、根気良く治療すれば、症状の軽減または消失を期待できる症状ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にしていただきたく思います。
鍼灸治療や瘀血治療は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な「内外科治療」です。薬物治療(内科治療)で効果を得られない人や外科手術(外科治療)をしても症状が消失しない人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試しいただきたく思います。
運動が不足している人には、ヨガ(YOGA)がお勧めです。ヨガ(YOGA)の運動法と呼吸法を身に付けることによって、不定愁訴の解消や予防に繋がります。清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい方は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照ください。
<筆者略歴>

清野 充典:鍼灸師 1982年、西洋医学を理解した東洋医学者の育成を目指し世界で初めて設立された鍼灸医学専門教育機関「明治鍼灸短期大学(現明治国際医療大学)」鍼灸学部を卒業。1987年2月2日、東京都調布市で清野鍼灸整骨院を開院。明治国際医療大学客員教授、早稲田大学特別招聘講師等歴任。
「鍼灸を国民医療」にすべく、東京大学、早稲田大学、順天堂大学等の日本国内を始め、海外の様々な大学や医療機関の人たちと研究を進めている。
1991年には、東京都府中市で分院の清野鍼灸整骨院府中センターを開設。1985年から清野メディカルヨーガ/清野ヨーガ道場を主宰し、保健活動を行っている。毎週木曜日に「ヨーガ教室」を開催して、多くの人に東洋医学に基づいた健康管理方法を伝えている。
清野 充典:鍼灸師
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