MSCIが「プライベート・クレジット・ファクター・モデル」をローンチ
MSCIのマルチアセット・リスク・モデリング群を拡充-プライベート・クレジットのリスクを資産全体で分析
東京-2025年9月4日-MSCI Inc.(NYSE: MSCI、以下「MSCI」)は、プライベート・クレジット市場における透明性の欠如を解消し、ポートフォリオ全体の長期的なリスクをより的確に評価できるよう投資家を支援するため、「プライベート・クレジット・ファクター・モデル」の提供を開始しました。
プライベート・クレジット市場への資産配分が拡大し続ける中、投資家は、自身の投資に関するデータや知見の不足から、ポートフォリオ全体におけるプライベート投資のリスクが把握しづらくなる可能性があるという重要な課題に直面しています。
過去10年間、利回りを追求する投資家の需要や資本市場の構造的変化を背景にプライベート・クレジットは爆発的に成長してきましたが、それを管理するためのツールの整備が追いついていないのが現状です。そして、年金基金等の機関投資家は、加入者や理事会などのステークホルダーから、こうした不透明になりがちな資産の透明性を高めるよう求められています。
こうした課題を解決するために設計された「プライベート・クレジット・ファクター・モデル」は、プライベート・クレジットを現代的なポートフォリオ管理の基盤となる体系的でファクター・ベースの枠組みに統合するソリューションです。MSCIの受賞歴のある分析力と資産横断型モデリング機能を活用したこのモデルは、機関投資家に対して、パブリック市場とプライベート市場のリスクを包括的に捉えた一貫性のある視点を提供します。これらのインサイトは、プライベート市場業界で最高水準の網羅性と品質を誇るキャッシュフローとバリュエーションのデータセットである、MSCIの「プライベート・アセット・ユニバース」のデータから導出されます。
MSCIプライベート資産部門責任者 ルーク・フレマーは次のように述べています。「分散型投資ポートフォリオにおける役割が一段と高まっているプライベート・クレジットには、より高度な分析ツールや知見が求められます。MSCIのモデルは、プライベート・クレジットのリスクに透明性と一貫性をもたらすことで、よりスマートな意思決定を後押しするとともに、プライベート資産がポートフォリオ全体のリスクとレジリエンスにどのように寄与しているかを、投資家がより深く理解できるよう支援します。」
リスク管理者は、プライベート・クレジット・ファクター・モデルを導入することで、MSCIのアナリティクス・プラットフォーム経由で以下の分析を実行することができます:
・プライベート・クレジット戦略におけるリスクを分解 コーポレート・レンディングや資産担保証券などの戦略に内在するリスクを分解し、地域別・戦略別のファクターを用いて、市場要因、構造的要因、個別要因によるリスクの影響を捉えます。
・プライベート・クレジットのエクスポージャーがマクロ経済ショックや信用状況の変化にどのように反応するかを評価 さらに、シナリオ分析やストレステストを通じてポートフォリオ全体のリスクへの影響を把握します。
・限られたデータでプライベート・クレジットのエクスポージャーをモデル化 MSCI独自の推定・マッピング技術を活用し、非流動性、評価の遅れ、価格情報の不足といった課題に対処します。
・プライベート・クレジットをポートフォリオ全体のリスク報告に統合 投資判断、取締役会レベルでの監督、リスク予算の策定、戦略的資産配分を支援します。
1,500本以上のプライベート・キャピタル・ファンドから得たデータをもとに構築されたプライベート・クレジット・ファクターモデルは、MSCIプライベート・キャピタル・ソリューションのタクソノミーを活用し、地域、戦略、資本構造に応じて細分化された分析を実現します。この独自のデータ基盤により、投資家は、プライベート・クレジットの構造的特性や行動的特性を、これまでにない視点から把握できるようになります。また、システマティックリスクと固有リスクの両方を明確化することで、ポートフォリオの構築を高度化し、ストレステストの精度を高め、それによりプライベート・クレジットをパブリック市場に準拠する水準に引き上げます。
MSCIは、投資家による当該資産クラスのリスクの測定・管理・ベンチマークを支援するためのプライベート・クレジット分析ツールの拡充を進めており、プライベート・クレジット・ファクターモデルもその構成要素です。また、デフォルト確率や損失確率に焦点を当て、プライベート・クレジットの長期的なボラティリティや他の資産クラスとの相関関係に関するインサイトを投資家に提供するリスク評価ツールである「MSCI | Moody’sのプライベート・クレジット・リスク・アセスメント」を補完する機能も果たします。
MSCI分析部門責任者 ホルヘ・ミナは次のように述べています。「MSCIは、資産クラスの枠を超えてリスク・モデリングの可能性を広げる取り組みを継続的に行っています。当社のプラットフォームは、リスク管理者がポートフォリオの複雑化に対応するだけでなく、投資運用者に対しても戦略的な知見を提供できるよう構築されています。プライベート・クレジット・ファクターモデルの立ち上げは、クライアントのニーズに合わせて進化し、今日のマルチアセット環境においてリスクを包括的に把握できるよう支援するという当社のコミットメントを示すものです。」
プライベート・クレジット・ファクター・モデルのローンチは、MSCI Barra Oneで利用可能なMSCIのマルチアセット・クラス分析スイートにおける最新の機能拡充でもあります。
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