原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】
-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。
奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけど、長過ぎたのかだいぶカットされてしまいました。
-ロケは小豆島でしたそうですね。
1カ月ぐらいいました。大人のキャストたちは島から出て、別の仕事に行って、また島に戻ってくる感じでした。小豆島って、いい意味であまり物がないので、すごく空気もきれいだし、心地いいので印象深いです。
-お母さん役の麻生久美子さんをはじめ、共演者の人たちで印象に残ったことはありましたか。
麻生さんが本当のお母さんみたいに優しくて包容力のあるお芝居をしてくださったので演じやすかったです。それから特に印象に残ったのは菅原小春さんです。僕もダンスをちょっとやっているので、菅原さんがすごいダンサーだということは知っていましたが、お芝居もするんだということにとても驚きました。
-原田さんにとってこの映画は、どんなものになりましたか。
何より俳優陣も製作陣もすごく個性がある方々だったので、撮影の日々が昨日のことのようによみがえってきます。とても楽しかったです。大変だったのは、当時僕は髪の毛が短くて、かつらを被っていたのですが、小豆島の夏はすごく暑いんです。おまけに奏介は重ね着が多くて荷物も多いのに、基本走り回っていて…。だから暑さが一番大変でした。
-原田さんにとって、ターニングポイントになったと思うことはありますか。
初めて出た『サバカン SABAKAN』(22)という映画です。お芝居が初めてだったので撮影の前日まで怖くて嫌だと思って何回も泣いたんです。でも、いざやってみたらすごく楽しくて。撮影する前は、特に趣味もなかったし、心の底から楽しいと思えることもなかったんですけど、お芝居をやってみたらものすごく楽しくて。「これだ!」と思いました。
-10年後、25歳の自分に向けて何かメッセージを送るとしたら。
ちゃんと真面目に俳優をやっているのかを聞きたいです。未来の自分にチャラチャラしてほしくないので、真面目にやっててよと思います。
-観客や読者に向けて、この映画の魅力をアピールしてください。
この映画は、何もない島での少年たちの青春劇のようなお話です。でも芸術もあるし、人の温かさもいっぱいある。だから何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います。個性が強いキャラクターがたくさん出てきますが、大人より子どもの方が大人です。そこも魅力だと思います。
(取材・文/田中雄二)

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