「漫画の森」「そんなのどうでもいいよ」

「メンタル強め美女白川さん」獅子 著(発行:株式会社KADOKAWA)定価:1155円

 「お菓子はずし」といういじめがあるらしい。社内でお土産などのお菓子を配るとき、故意に特定の人に配らないでスルーするという地味な嫌がらせだ。被害者も加害者も女性が多い。一見すると配り忘れにも見えるので騒ぐこともできず、結構ストレスがたまるという。クッキー1枚でも、疎外されたことは忘れられないだろう。

 私自身も以前の職場で嫌がらせにあったことがある。女性の先輩に業務を妨害され(おそらく故意)、別の先輩にはあいさつを無視された(あれは完全に故意)。なぜ突然にそんなことをされたのかわからず、当時は混乱し、かなり傷ついたことを覚えている。

 タイムマシンで当時の自分に会いに行けるなら、この漫画「メンタル強め美女白川さん」(獅子/KADOKAWA)をプレゼントしたい。厄介な人間関係に悩むときでも、読めば励まされ、元気が出てくる一冊だ。

 タイトルの通り、この漫画の主人公である白川さんは可憐な美人の25歳だ。彼女は可愛くてモテるため、社内の女性からのひがみや嫌がらせが絶えない。愛嬌(あいきょう)のある振る舞いは「媚(こ)びている」「ぶりっ子」とうわさされ、真面目な仕事ぶりも認めてもらえない。給湯室には彼女の悪口を言う社員が集まっており、女性の上司も味方してくれない。

 憂鬱(ゆううつ)になりそうな状況でも、白川さんはそれらを気にすることなくご機嫌だ。復讐(ふくしゅう)もせず、弁明もせず、悪口も聞き流して忘れる。彼女にとって、他人からの評価は全く重要じゃない。白川さんは、「私は私、可愛く強く!」をモットーとし、悪口を気にしない「メンタル強め美女」なのだ。他人の悪意に振り回されず、自分らしさを追求する姿は爽快で、読んでいると晴れ晴れとした気持ちになる。

 白川さんと一緒に働く女性たちの心理描写も絶妙だ。彼女たちは白川さんのように美人ではなく、外見や性格にコンプレックスを抱える普通の女性だ。彼女たちは社内での嫌がらせや人間関係に傷つき、モヤモヤしているものの、白川さんのように「私は私!」と強く出ることができない。そんな彼女たちも、白川さんと関わる中で励まされ、少しずつ明るい自分を取り戻していく。白川さんのように強くなりたいけどなれない、そんなリアルな女性心理がうまく描かれており、共感するところが多い。

 嫌がらせというのは、大抵が理不尽に行われる。嫌われないように気を付けていても、されるときはされるものだ。人間関係に落ち込んだ時にはこの漫画をまた取り出そう。自分よりも圧倒的に嫌がらせを受けている白川さんが、「そんなのどうでもいいよ」と応えてくれる。手元にあるだけで強く優しくなれそうな一冊だ。

(エッセイスト 彩乃)

 

(KyodoWeekly2月8日号から転載)

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