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越前和紙普及の「冨田溪仙」美術本 福井県立美術館で展覧会も開催

福井新聞社 「冨田溪仙 越前の紙漉きを描く」(福井県立美術館編)

 

 福井新聞社(福井市)はこのほど、大正から昭和初期に活躍した日本画家、冨田溪仙(とみた・けいせん、1879~1936年)の歩みと代表作を網羅した美術本「冨田溪仙 越前の紙漉(す)きを描く」(福井県立美術館編、A5判157ページ、1650円)を発刊した。ウェブサイト「ふうぷろ書店」などで購入できる。

 越前和紙の紙すきに風雅を見いだし、日本画紙としての越前和紙普及にも貢献した溪仙の人生と作品を解説した一冊。紙すきを描いた作品群は、下絵から室町文化の風情を感じさせる屏風絵まで幅広くそろえた。福井県立美術館の原田礼帆(あやほ)学芸員が溪仙の芸術観の変遷も解説している。

 溪仙は福岡生まれ。18歳で京都四条派に入門、文展初入選作が横山大観に注目され、再興日本美術院にスカウトされた。日本画は絹に描くのが常識だった当時、いち早く越前和紙に着目。日本画紙開発に挑んでいた越前和紙職人の初代岩野平三郎(1878~1960年)と親交を深め、日本画壇の巨匠らに越前和紙の使用を勧めた。俳人の河東碧梧桐(かわひがし・へきごとう)や詩人の駐日フランス大使ポール・クローデルとも親交した。文学者との交流によって培われた詩的感性は、代表作「紙漉き」に投影されているという。

 福井県立美術館(福井市)は6月11日まで、企画展「冨田溪仙 越前の紙漉きを描く」を開催。今回の美術本はこの展覧会の図録も兼ねている。

 

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