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小さなサイン見逃さないで、子どもの話をよく聞いて。 相談しやすかったおとなは担任の先生

「精神疾患の親をもつ子ども」の学校での相談状況など調査結果まとまる。大阪大院蔭山准教授らの研究チーム

 

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106160/202101199943/_prw_OT1fl_iwaR4Mkz.png

 

精神疾患の親をもつ子どもたちは、家庭内でのおとなの喧嘩、極度の不安、心身の不調と、子ども自身への支援が必要であるにもかかわらず、小学生の91.7%が相談経験なしと回答。それでも相談しやすかったおとなは担任の先生であることから、小さなサインを見逃さず早期発見が必要 —

 

●背景

このような体験をもつ子どもの実態を把握した調査がほとんど存在しない現段階において、これからの学校での支援のあり方を検討するにあたり、基礎資料として活用できる貴重なデータ

 

わが国の精神障がい者数は、厚労省平成29年患者調査によると419万人を超え増加傾向にあり、その親に育てられる子どもが心身ともに健康的に成長するためには、親だけでなく子どもへの支援も必要とされるなか、精神疾患のある親をもつ人を対象に、小・中・高校時代の体験および学校での相談状況を調査した結果がこのほどまとまりました。

今回、調査を行ったのは、大阪大学大学院医学系研究科の蔭山正子准教授、埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科の横山恵子教授、精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)メンバーによる研究グループ。調査は、「こどもぴあ」(精神疾患のある親に育てられた子どもの立場の人と支援者で運営しているピアサポートグループ、2018年1月設立)の会に参加したことのある240人を対象に、小・中・高校時代の体験、学校での相談状況、子どものころに認識した教師の反応、学校以外での援助などをウェブ上のアンケート形式で質問し、20歳代から50歳以上まで120人から回答を得ました。

 

●研究責任者 蔭山正子准教授 まとめ

調査を行った蔭山准教授は、「精神疾患のある親を持つ子どもは、支援が必要な状況にありながら、支援につながりにくい。そもそも、精神疾患に知識がなく、子ども自身が家庭の問題を理解できない。また、おとなを信頼し相談するという経験に乏しく、相談できないケースが多い。それでも相談した人の中では、担任の先生が多く、話を聞いてもらいたいと思っている。子ども自身が回答した『周囲が問題に気づけるサイン』として、親が授業参観や保護者会に来ない、いじめ、忘れ物が多い、遅刻欠席が多い、学業の停滞などがあり、教師は子どものことを気にかけ、これらの小さなサインを見逃さず早期発見し、子どもの話をよく聞いてほしい」と話しています。

 

●調査結果データ(概要)

 

・ヤングケアラーとしての役割は、小・中・高校時代で親の情緒的ケアが最も多く57.8~61.5%が経験し、手伝い以上の家事は29.7~32.1%が経験していた。

・小学生の頃は62.4%がおとな同士の喧嘩を、51.4%が親からの攻撃を経験していた。周囲が問題に気づけると思うサインには、親が授業参観や保護者面談に来ない、いじめ、忘れ物が多い、遅刻欠席が多い、学業の停滞があった。しかし、サインは出していなかったとした人は小・中・高校時代で43.2~55.0%であった。

・回答者が認識した教師の反応では、精神疾患に関する偏見や差別的な言動、プライバシーへの配慮不足などで嫌な思いをしていた。家庭の事情や悩みを気にかけ、話を聞いて欲しかったという意見が多かった。

・学校への相談歴のなかった人は小学生の頃91.7%、中学生の頃84.5%、高校生の頃で78.6%だった。

・相談しなかった理由としては、問題に気づかない、発信することに抵抗がある、相談する準備性がない、相談環境が不十分というものがあった。

・相談しやすかった人は、すべての時期で担任の先生が最も多かった。

・30歳代以下の人は、40歳代以上の人に比べて小学生や高校生の頃に学校への相談歴がある人が有意に多かった。

 

●学校・地域・福祉 支援者に求められるもの(考察)

おとなだけで支援方針を決めるのではなく、子どもと一緒に考えていくことが重要

 

・子ども自身に自分の負担に気づいてもらうことや、支援を受けてもいいのだと分かってもらう働きかけが必要。話を聞いてもらうことを求める意見が多かったことから、おとなだけで支援方針を決めてしまうのではなく、子どもと一緒に考えていくことが重要。

・精神疾患に対する偏見やプライバシーへの配慮のなさを経験した子どももいることから、安心して相談することができるように、学校では子どもへの教育とあわせて、教師への研修も必要。

・教師は、精神疾患の基礎知識だけでなく、精神疾患のある親に育てられる子どもの生活や困りごと、対応方法について学ぶ必要がある。

・回答者は、親の病状悪化に伴い、親の情緒的ケアをしたり、暴言・暴力に遭遇するなどの体験をしていた。そのため、親の病状への支援が必要であると考えられ、訪問看護などの継続的な在宅ケアサービスの導入が有効。

・ヤングケアラーとして、料理・掃除などの家事を子どもが担っている場合は、障害者向けの家事援助サービスを導入することで子どものケアラー役割を軽減することが可能である。

・親の疾患や障害のサービスを導入する際には、学校が保健医療福祉の専門機関と連携する必要がある。地域では、支援が必要な子どもの早期発見から早期支援へと展開できるように、母子保健・児童福祉の関係機関と精神保健医療福祉の関係機関の連携体制を強化することが求められる。

 

●調査資料

 

「精神疾患の親をもつ子どもの体験と学校での相談状況:成人後の実態調査」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/advpub/0/advpub_20-036/_article/-char/ja/?fbclid=IwAR2ku9nUBdPN6B1JnB51FKhsjYQml1jOT1hkTDBhjHcscUf3o3PiqLAuW-Y

 

 

●参考図書

 

『静かなる変革者たち』 〜精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り〜

(著者・横山恵子、蔭山正子、こどもぴあ、出版:ペンコム)

 

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202101199943-O2-84i085PG

https://pencom.co.jp/product/20191007

 

※今回の研究グループメンバー 横山恵子教授、蔭山正子准教授、こどもぴあによる本。

「こどもぴあとは」「精神疾患の親をもつ子どもが抱える問題と必要な支援」「親、教師、支援者など周囲のおとなたちとの関係」などが、こども自身の体験談と座談会で赤裸々に語られるとともに、2人の研究者が分かりやすい考察を加えています。

 

※今回の調査においても、「子ども自身に自分の負担に気づいてもらうことや、支援を受けてもいいのだと分かってもらう働きかけが必要」とされていますが、本書もその一として出版されたもの。

こどもぴあ代表の坂本拓さんは、「本書は、私を含めた4人の仲間と、私たちを支えてくれている先生お二人と一緒に書きました。体験を文字にすることの難しさや、執筆しながら体験を振り返るつらさもあり、決して気軽に書くことができたわけではありませんが、私たちが仲間と一緒に養ってきた力を発揮する貴重な機会でした。私たちの体験談が、誰かの背中をそっと押してあげられますようにと願っています」と話しています。

 

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106160/202101199943/_prw_OT2fl_4Rl9v4OT.png

 

出版社ペンコム
静かなる変革者たち
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