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国立研究開発法人情報通信研究機構 広報部

世界記録更新、標準外径3コア光ファイバで毎秒172テラビット、2,040 km達成

既存設備でケーブル化可能、高密度マルチモード伝送の早期実用化に期待

2020年3月11日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

ポイント
■ マルチモード光ファイバの性質を持つ結合型3コア光ファイバで大容量長距離伝送の世界記録
■ 一般的なマルチモード光ファイバと比べて信号処理の負荷が小さく、伝送システムの省電力化に貢献
■ 既存設備でケーブル化が可能な標準外径で、大容量基幹系通信システムの早期実用化に期待

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)ネットワークシステム研究所のラーデマッハ ゲオルグ フレデリック研究員らのグループは、NOKIA Bell Labs(ベル研(米国)、President: Marcus Weldon)のRoland Ryf研究員のグループと共同で、標準外径(0.125 mm)結合型3コア光ファイバを用いた、毎秒172テラビットで2,040 kmの大容量・長距離伝送実験に成功しました。
 この結果は、伝送能力の一般的な指標である伝送容量と距離の積に換算すると、毎秒351ペタビット×kmとなり、標準外径の新型光ファイバのこれまでの世界記録の約2倍になります。
 本実験に用いた結合型マルチコア光ファイバは、伝送後の受信側に信号処理が必要ですが、同様に信号処理が必要な一般的なマルチモード光ファイバと比べて受信側の信号処理の負荷が小さく、伝送システム全体の省電力化に貢献します。また、標準外径光ファイバは、既存設備でケーブル化が可能で、高密度マルチモード伝送の早期実用化が期待できます。
 なお、本実験結果の論文は、第43回光ファイバ通信国際会議(OFC2020)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択されました。

背景
 増大し続ける通信トラヒックに対応するため、従来の光ファイバの限界を超える新型光ファイバと、それを用いた大規模光伝送の研究が世界中で盛んに行われています。究極の大容量を追求する研究では、光ファイバのコアを増やし、各コアに異なるモードの光信号を伝送するマルチコア・マルチモード光ファイバが研究されています。一方、早期実用化を目指した研究では、製造方法や扱いやすさなど考慮した標準外径(0.125 mm)程度のマルチコア又はマルチモード光ファイバの研究が行われています。

今回の成果
 今回は、ベル研の実施した、結合型マルチコア光ファイバにおける抑圧されたモード分散特性を利用した長距離伝送実証実験結果を基に、NICTが大容量・長距離伝送システムを構築し、359波長を16QAM変調し、合計毎秒172テラビット光信号の2,040 km伝送に成功しました(図1参照)。これは、伝送能力の一般的な指標である伝送容量と距離の積に換算すると、毎秒351ペタビット × kmとなり、これまでの世界記録(NICT)の約2倍になります。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003107867-O1-1rjc87oU

図1 今回の成果及びこれまでに報告された標準外径光ファイバ伝送容量と距離 

 結合型マルチコア光ファイバは、マルチモード光ファイバと同様に受信側では信号処理(MIMO処理)によって干渉を除去する必要があるものの、各コアの伝搬損失のばらつきが小さい(モード分散が抑圧されている)特性があり、長距離伝送に適しています。また、この特性により信号処理の負荷を小さくすることができるため、マルチモード光ファイバと比べ伝送システム全体の省電力化が可能です。
 しかし、これまでは限られた信号帯域(波長範囲換算で5 nm以下)でしか伝送が行われておらず、長距離伝送特性と大容量伝送の両立が可能かどうかは不明でした。
 今回、標準外径の光ファイバを用いて、日本の基幹系通信容量(毎秒10テラビット)の17倍である毎秒172テラビットの2,040 km伝送に成功しました。標準外径の光ファイバは、実際に敷設を行うケーブル化の際に、既存の設備を流用することが可能で、大容量基幹系通信システムの早期実用化が期待できます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003107867-O2-TCFO1tFH

図2 これまでNICTが開発した標準外径・準標準外径の新型光ファイバ 

今後の展望
 今後、ますます増加していく、5Gを利用したサービスや海底ケーブルを経由した国際間通信などのトラヒックをスムーズに収容可能な未来の光通信インフラ基盤技術の研究開発に取り組んでいきます。
 なお、本実験の結果の論文は、米国サンディエゴで開催された光ファイバ通信関係最大の国際会議の一つである第43回光ファイバ通信国際会議(OFC2020、3月8日(日)~3月12日(木))で非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択され、現地時間3月12日(木)に発表します。

採択論文
国際会議: 第43回光ファイバ通信国際会議(OFC2020) 最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)
論文名: 172 Tb/s C+L Band Transmission over 2040 km Strongly Coupled 3-Core Fiber
著者名: Georg Rademacher, Ruben S. Luís, Benjamin J. Puttnam, Roland Ryf, Sjoerd v. d. Heide, Tobias A. Eriksson, Nicolas K. Fontaine, Haoshuo Chen, Ren´e-Jean Essiambre ,Yoshinari Awaji, and Hideaki Furukawa

過去のNICTの報道発表
・2018年4月5日付け 「世界記録、標準外径3モード光ファイバで毎秒159テラビット、1045km達成」
https://www.nict.go.jp/press/2018/04/05-1.html

図2 これまでNICTが開発した標準外径・準標準外径の新型光ファイバ
図1 今回の成果及びこれまでに報告された標準外径光ファイバ伝送容量と距離
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