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国立大学法人電気通信大学

効率的かつ汎用的な中分子医薬-Fc結合体の作製技術を開発:幅広い中分子医薬の有効性向上に期待

2019/5/28

国立大学法人 電気通信大学 情報理工学研究科基盤理工学専攻

国立大学法人電気通信大学大学院情報理工学研究科の瀧真清准教授らは、味の素株式会社との共同研究において、幅広い中分子医薬に応用可能な、中分子医薬-Fc結合体の作製技術を開発しました。

国立大学法人電気通信大学大学院情報理工学研究科の瀧真清准教授らは、味の素株式会社との共同研究において、幅広い中分子医薬に応用可能な、中分子医薬-Fc結合体の作製技術を開発しました。

発表本誌リンク:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.9b00235

瀧 研究室
http://tkl.pc.uec.ac.jp/

国立大学法人 電気通信大学情報理工学研究科基盤理工学専攻
http://www.es.uec.ac.jp/

ペプチドやオリゴ核酸などの中分子医薬は、最近の創薬化学において有望な分子モダリティとして注目を集めている一方で、生体内から速やかに消失する点が課題とされてきました。この問題を解決する方法の一つとして、これらの医薬分子を「ヒト型抗体のFc領域」(注1)と呼ばれる分子量約6万の糖タンパク質と結合させてから体内に導入する手法が知られておりますが、近年盛んに創薬研究が行なわれている人工的な中分子医薬の場合には、これらを効率良く結合させることは困難でした。

そこで瀧真清准教授らの研究グループは、独自に開発したタンパク質N末端伸長反応(NEXT-A反応)(注2)を応用し、幅広い中分子医薬とFcタンパク質とをほぼ100%の変換効率で結合できる作製技術を開発しました。さらにこの方法で作製したペプチド-Fc結合体は、マウス生体内における滞留時間が元のペプチドに比べて大幅に延長できることを確認するとともに、このペプチド-Fc結合体は元のペプチドの薬理活性を殆ど損なうことなく保持できていることが分かりました。本研究は、中分子医薬に対して生体内での持続性を付与する新たな手段となり、今後は様々な中分子医薬への応用によって新たな治療機会の提供へつながることが期待されます。
この研究成果は、2019年4月30日(米国東部時間)にアメリカ化学会誌「Bioconjugate Chemistry」のオンライン版に掲載されました。

タイトル: Facile and Efficient Chemoenzymatic Semisynthesis of Fc-Fusion Compounds for Half-Life Extension of Pharmaceutical Components
著者: Shigeo Hirasawa, Yoshiro Kitahara, Yoriko Okamatsu, Tomohiro Fujii, Akira Nakayama, Satoko Ueno, Chiori Ijichi, Fumie Futaki, Kunio Nakata, and Masumi Taki
掲載誌:  Bioconjugate Chemistry(オンライン版)
公開日:  2019年4月30日(米国東部時間)
本誌リンク:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.9b00235

1.研究の背景と概要
1) 背景
ペプチドやオリゴ核酸などの中分子医薬は、低分子医薬に見られる高い薬理活性と、抗体医薬に代表される高い標的特異性を併せ持つと言われ、最近の創薬化学では有望な分子モダリティとして多くの研究が進められています。しかしながら生体内にはこれらの分子を分解・排出する機能が備わっており、そのために体内から速やかに消失してしまうことが、これらを医薬品として用いる上での課題とされてきました。
これまで様々な研究グループがこの課題に取り組んでおり、(1)分解されやすい箇所に人工的な骨格を組み込む、(2)分子サイズを大きくする、(3)抗体のFc領域と結合させる、もしくはこれらの方法論の組み合わせによって、体内での滞留時間を延ばし、薬理活性を発揮させることに成功してきた。中でも抗体のFc領域と結合させる方法は、体内滞留時間を著しく延長できる方法として知られていた。しかしながらこれまで一般的に行なわれていたFc結合体の作製方法では、天然型のアミノ酸のみで構成された物質のみをFc結合体として作製することが可能であり、最近の創薬研究で多く見つかってきている人工的な構造を有する医薬候補物質のFc結合体を作製することは困難でした。

2)研究の概要
電気通信大学大学院の瀧真清准教授らと味の素株式会社の共同研究グループは、幅広い中分子医薬に共通して適用可能な、Fc結合体の作製方法の確立を目指して研究しておりました。瀧真清准教授らが先行研究において開発したタンパク質のN末端選択的修飾反応(NEXT-A反応)を用い、ここに用いる原料のFcタンパク質パーツに対してFc結合体作製に適した設計を施すことにより、簡便に、かつほぼ100%の変換効率で中分子医薬とFcタンパク質パーツを結合させることに成功しました(図1)。

図1. Fc結合体作製法スキーム

さらに研究グループは、この方法で作製されたペプチドーFc結合体をマウスに投与し、生体内での滞留時間を調べました。元のペプチドは血中半減期が1時間弱であったのに対し、この方法で作製されたペプチドーFc結合体は88時間と、大幅に延長することを確認しました(図2)。さらにこの方法で作製されたペプチドーFc結合体は、元のペプチドとほぼ同じ強度の薬理活性を生体内にて発揮することが分かりました。

      
図2. ペプチドーFc結合体のマウス血中濃度推移

図3. 糖尿病疾患モデルマウスでの薬理活性評価

2.研究の成果と意義・今後の展開
 本研究では、中分子医薬の生体内滞留時間を大幅に延長することができるFc結合体という分子を、中分子医薬の化学構造上の制約を無くして、効率的に作製できる技術の開発に成功しました。また一般的にタンパク質などに連結した薬理活性物質は元の活性よりも劣ることが多いですが、この方法で作製されたペプチドーFc結合体は元のペプチドの薬理活性強度をほぼそのまま維持していました。これらの結果は、本技術が幅広い中分子医薬に対して、生体内滞留時間の問題を解決する手段を提供できる可能性を示唆しています。
 
3.論文情報
タイトル: Facile and Efficient Chemoenzymatic Semisynthesis of Fc-Fusion Compounds for Half-Life Extension of Pharmaceutical Components
著者: Shigeo Hirasawa, Yoshiro Kitahara, Yoriko Okamatsu, Tomohiro Fujii, Akira Nakayama, Satoko Ueno, Chiori Ijichi, Fumie Futaki, Kunio Nakata, and Masumi Taki
掲載誌:  Bioconjugate Chemistry(オンライン版)
公開日:  2019年4月30日(米国東部時間)
本誌リンク:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.9b00235

4.用語解説
(注1)Fc領域:抗体は生体内で産生される物質の一つであり、それぞれの抗体が対応する標的に対して特異的に付着することにより、外来性物質からの生体の防御などの機能を担っている。この抗体の分子は、特異的な付着に関与する領域(Fab領域)と、抗体が共通で有する機能を担う領域(Fc領域)で構成されている。本研究では、このFc領域とほぼ同じタンパク質(Fcタンパク質)を作製し、ここに中分子医薬を結合させることによって、抗体分子の有する非常に長い血中半減期という特性を中分子医薬に付与した。
(注2)NEXT-A反応:酵素を用いることによって、ある種のタンパク質に対し、そのN末端のみ選択的にアミノ酸類縁体を連結する反応。一般的にタンパク質のような反応性に富む分子では、別の分子を結合させると、タンパク質上での結合部位や結合数が異なった生成物の混ざりとなる。この場合、タンパク質上の結合部位や結合数によっては、元のタンパク質の性質が損なわれることが多い。本研究で用いたNEXT-A反応は、ある種のタンパク質に対して、そのN末端のみでしか反応が起こらないため、元のタンパク質の性質が損なわれる危険性が極めて低い。

5.本発表資料に関する情お問い合わせ先
国立大学法人 電気通信大学
情報理工学研究科基盤理工学専攻
准教授 瀧 真清 (たき ますみ)
TEL:042-443-5980
E-mail:taki[at]pc.uec.ac.jp

瀧真清 研究室ウエブサイト
http://tkl.pc.uec.ac.jp/

情報理工学研究科基盤理工学専攻ウエブサイト
http://www.es.uec.ac.jp/

図1. Fc結合体作製法スキーム
図2. ペプチドーFc結合体のマウス血中濃度推移
図3. 糖尿病疾患モデルマウスでの薬理活性評価
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