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京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻 原田研究室

「マルチキャリア変調信号を用いた広帯域アンテナ近傍界高速測定システム」 の開発に成功

2018/06/07

京都大学
アンリツ株式会社

「マルチキャリア変調信号を用いた広帯域アンテナ近傍界高速測定システム」
の開発に成功
―従来と比較して100倍程度高速に広帯域アンテナの指向性の周波数特性を測定―

京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授、水谷圭一助教らの研究グループと、アンリツ株式会社技術本部先進技術開発センターの野田華子センター長らの研究グループは、2020年以降に導入が検討されている第5世代移動通信システム(5G)で利用可能なマルチキャリア変調信号を用いた広帯域アンテナ近傍界測定システムを共同開発しました。このシステムにより、指向性の周波数特性を従来と比較し100倍程度高速に取得することが可能となり、今後ますます加速する第5世代移動通信システムの研究・開発への貢献が期待されます。

2020年以降導入が見込まれている第5世代移動通信システム(5G)では、現在の移動通通信システム(4G)に比べ、より広帯域な周波数成分を持つ信号を用いることが想定されています。 また、Massive MIMOアンテナ等、多数のアンテナ素子から構成されるアンテナを用いた通信技術の導入も想定されており、これまで以上に、正確にアンテナの指向性を把握することが重要となってきています。

一方、MassiveMIMOアンテナは多数のアンテナ素子から構成されるため、実装面積やコストの観点からアンテナコネクタを持たない設計が主流になってきており、従来から用いられてきたベクトルネットワークアナライザ(VNA, Vector Network Analyzer)による近傍界測定(NFM:Near Field Measurement)システムによる指向性測定も難しくなりつつあります。 スペクトラムアナライザ(SPA, Spectrum Analyzer)により無変調信号を受信し、近傍界測定により指向性を算出する手法も提案されていますが、周波数毎の指向性を取得するためには、周波数を変えながら繰り返し測定する必要があり、広帯域アンテナの周波数特性を取得するためには時間がかかり非効率なため、より効率的な測定手法が求められていました。

今回、アンテナから送信されるマルチキャリア変調信号を近傍界領域でスペクトラムアナライザ(SPA)により受信し、受信信号内の基準信号(RS, Reference Signal)情報を用いることで、一度の測定で変調帯域内の周波数毎の指向性を取得可能なシステムを開発しました。マルチキャリア変調信号として帯域幅5 MHzのLTE信号を用いて測定する場合、周波数を変えながら繰り返し測定をする必要がないため、従来と比較し100倍程度の高速な測定を実現することが可能となります。本システムは、信号内の基準信号(RS)から算出するチャネル変動量を用いて、指向性算出に必要となる振幅・位相情報を抽出するため、基地局と一体化したアンテナシステムにおいても指向性の算出が可能となります。

本測定システムを用いた検証実験では、マルチキャリア変調信号として、現在の携帯電話で用いられているLTE方式の下りリンクで採用されているCP-OFDM(Cyclic Prefix-basedOFDM)信号を用いました。そして、CP-OFDM信号内に含まれる基準信号(RS)を用い算出した指向性と、従来より測定手法として確立されている近傍界測定(従来測定システム)により算出した指向性との比較検証を実施しました。その結果、両者の誤差は0.5dB程度の範囲内で一致が見られることを確認し、本測定システムにより正しく指向性が取得できることを確認しました。さらに、異なるサブキャリアに割り当てられた基準信号(RS)を用いて、複数の周波数における指向性を同時に算出できることを確認しました。

本システムは基準信号(RS)をもつ様々なマルチキャリア変調方式に適用が可能なため、第5世代移動通信システムで想定される、超広帯域信号を用いるシステムにおける指向性測定への利用も期待できます。

今回開発した「マルチキャリア変調信号を用いた広帯域アンテナ近傍界測定システム」について、2018年6月8日に芝浦工業大学で開催される「電子情報通信学会短距離無線通信(SRW)研究会」にて研究発表を行います。

詳しくは
http://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2018_01.html
をご覧ください。

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