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ネット下水道の掃除

 インターネットの世界では討論、対談、インタビューと既存のメディアにはない内容の動画番組が花盛りだ。これが結構、面白い。お金を払うほどのこともないから見るのは無料のものだ。最初は何とも感じなかった。

 だが最近、気になりだしたことがある。評論家と称する人たちの話の内容が本当なのかどうか、という疑問だ。昔なら間違ったことを言われても、すぐには分からなかったが、今は違う。ネットで検索すると彼らが話している元の一次資料に簡単にたどり着き、真偽のほどが判明する。中国関連から二つ例を挙げよう。

 米国のシンクタンクが日本での中国の影響についてリポートを出した。自民党の幹事長と首相補佐官が親中派だという個所があって話題になった。それは全文50ページの報告書のごくわずかな部分で、筆者は同意しないが、リポートの結論は「中国の影響はほとんどない。対日工作は失敗した」というものだ。

 ある評論家は対中融和派の部分が問題で「日本国民は真面目に読め」と説教する。報告をまとめた研究者はびっくり仰天だろう。ネットで報告書を読んでみると、彼がきちんと全文を読んでないし理解もできていないことが分かる。なぜなら英語の副題の意味が理解できなかったからだ。結論部分だけでも読んでいれば分かる。

 もう一つの例。ある番組で北海道の農産物が中国に大量に買われているということが問題になった。その対策として司会役の評論家が「安全保障を理由にして、農産物を輸出管理品目に入れるといい」と自信ありげに提案した。

 この評論家もしばしばいい加減なことを話すので、念のために検索して調べた。所管する経済産業省のパンフレットに「食品は対象外」と、わざわざイラスト入りで書いてある。当たり前だ。農産物で大量破壊兵器や通常兵器が造れるわけはなかろう。それも知らないで得意げにしゃべっていたのだ。

 ネット番組では間違っていること、いい加減なことを平気で話している評論家は、この2人に限らない。ネットだから多少のことは許されていると考えているのだろう。

 インターネットが普及し始めた25年ほど前、「ネットは下水道のようなもの。宝石のようないい情報もあるが、汚物も流れている」と指摘した経済学者がいた。四半世紀もたって今だにそれでは困る。

 汚れた情報を取り除くには、間違っていること、明らかにおかしいことは、ネット利用者がその都度声を上げるしかない。多くの番組には公開のコメント欄がある。匿名で自由に書き込める。これを使って下水道の掃除をこまめにするしかない。

(嵐)

 

(KyodoWeekly9月7日号から転載)

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