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小池都政の何が問題なのか 陽性者、増加傾向の首都

 7月5日の東京都知事選挙で小池百合子氏が2期目の当選を果たしました。しばらくしてから、東京都が連日発表している新規陽性者数は増加傾向にあります。もっとも、クラスター追跡としても必要な「積極的疫学調査」に基づくPCR検査が続く中で、検査数は日に日に増えており単純に新規陽性者数という指標だけでは現状を客観的に認識できません。

 

 特に、東京には他県にはない23区「特別区」の存在があります。都の発表は保健所を管轄する「23の各区」から連日報告されてきた数字を精査した上で、新規に判明した数を報告しているだけなのです。

 例えば、陽性者がかなり増加している保健所とそうでない保健所では、積み上げ件数が異なるため、東京都への「締め時間」までに処理できず、翌日の発表に積まれるケースもあります。 だからこそ「〇月〇日に〇〇件検査をして、うち陽性者は〇〇名でした」という発表にしないと、ただ世間の恐怖心をあおるだけになってしまうのではないか、と都庁側に改善を申し入れています。 

 同時に最近の小池都知事は「知事」というよりも感染者数を日々発表する「広報官」の色合いが強く、事の本質を捉えづらくなっている側面があります。

 というのは、連日各所で行われている検査はランダムに行っているものではなく、検査の必要があるという方が対象になっているケースが基本です。

 すると、検査体制が充実するにつれて1日の処理能力が上がるわけですから検査数は増え、感染者は増えるのは当たり前です。しかも、この感染者は陽性反応が出た方全てが含まれており、発症者も無症状者も混ざっています。

 それを踏まえると、本来必要な情報は、感染者のうち発症した割合や、重症化した割合、そして、患者さんを受け入れる病院のベッド空き数など受け入れ態勢のリアルタイム状況が必要です。

 併せて、東京といっても広いわけですから、これらの数字をエリアごとに見つめていくべきだと考えており、先ほど言及した都庁への申し入れにも含んでいます。

 

県境をまたぐ移動

 

 東京都を取り巻く大きな課題の一つに都県境をまたぐ移動があります。

 今年は緊急事態宣言のころから、小池都知事は都県をまたぐ不要不急の外出を控えるよう呼び掛けをしています。今回の「Go To トラベル」キャンペーンなどは顕著となりましたが、各都県で対策が異なっています。

 しかし、現実的に、首都東京には近隣県から通勤、通学、通院、買い物など人の出入りがあり、「不要不急」に当たらない都県境移動が多々あります。

 ある面では、小池都知事の発信力は、東京視点の強いリーダーシップに見えても、近隣県からすると都県境整備が未着手のままでは、さらなる負担になったという声もあるのは事実です。

 このコロナ禍において、ゼロリスクを求めれば、全ての経済活動をストップさせて、ひたすら「STAY HOME」を続けなくてはいけませんが、これには営業補償がセットになります。

 現実的に完全な経済補償ができない中で、現場の経営者はリスクと背中合わせで動かすしか道がありません。

 その中で、緊急事態宣言明けから特に批判の対象となっているのが「夜の街」と呼ばれた都内繁華街の各店舗です。当初は、キャバクラやホストクラブと名指しで批判されていましたが、今では会食による感染疑い例も増えており、1人新規陽性者が見つかると、その方と共に会食されていた方は、濃厚接触者として順に検査を受けていただくという流れになっています。

 実際に、東京都は「感染拡大防止徹底宣言ステッカー」の普及を進めております。

 これは、「レストラン、料理店等編」「居酒屋編」「キャバレー、スナック等接待行為を伴う飲食店編」などの業態別で分かれていますが、各ガイドラインにのっとった営業を宣言することで東京都が定めるステッカーを掲示できるルールになっています。

 それ故、小池知事は「ステッカーのある店舗」での飲食を推奨していますが、そもそも運用上に課題が多くあります。

 

「存在を知らなかった」

 

 筆者は最近も、ホストクラブをはじめ歌舞伎町の店舗を調査しましたが、ステッカーが掲示されているのに感染拡大防止策ができていないところもあれば、逆に掲示されていないのに感染拡大防止策が徹底されているところもあるのです。

 後者の店舗に「なぜ、ステッカーが無いのか?」を聞くと、「存在すら知らなかった」という答えが返ってきたのです。

 私はショックを受けると同時に、この現実を感染症を所管する都庁担当者や警視庁担当者と議論しました。

 特に、東京の繁華街は、新宿・歌舞伎町であれ、池袋であれ、渋谷、新橋であれ雑居ビルの中にさまざまな店舗が集中しており、その数は、無数にあるわけです。

 業界団体の幹部クラスならば行政との連携が密かもしれませんが、ほとんどの方がそういうわけにはいきません。すると、小池都知事のメッセージも現場まで届いていない実態があるのです。

 小池都知事が発表する新規陽性者数ばかりに注目が集まった結果、本当に必要な情報が行き渡っていなかったのです。

 先にも触れたように、東京の繁華街には近隣県居住者が仕事帰りに一杯やってから帰るケースも多くあります。ですので、都内から近隣県へコロナウイルスが人を介して広がってしまう危険性も多々あります。

 菅義偉官房長官は「東京問題」と発言し条件反射的に小池知事は「国への批判」を口にしましたが、官房長官の真意は「東京は収束が見えず課題が大きい」ということであり「国vs都」のような構図を作り出すのが狙いではありません。

 首都東京の問題は人流やモノの流れで、必ず全国へ波及します。筆者も含めて、本稿をお読みいただいているみなさまにもご協力をいただき、コロナ対策と経済活動を両立させた万全の政策を推進させていきたい、と考えております。

 最後に念のため、触れておきますが、PCR検査とコロナ治療は目的が異なります。

 今、世間ではとにかくPCR検査を受けられるような環境整備が必要だという識者もおります。これは、陰性証明のパスポート的な役割を求める取り組みであるならば、私は基本的に反対します。それは、現行の法律、運用ルールに基づけば、無症状でも陽性となれば隔離の対象になります。

 検査をすれば、必ず陽性が出ると考えれば、この人たちの受け入れ先が不十分です。だからこそ、行動歴や状況などを確認して「必要と思われる方」のみ検査をしていき、かつ緊張感を持ちながら事に当たれるようウィズコロナの時代へ行政対応も柔軟にしていくべきだと考えることに触れておきます。

※東京都の小池知事は7月31日、都内全域の酒類を提供する店舗、カラオケ店を対象に8月31日まで、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請した。要請に応じた中小事業者に協力金20万円を支給する。(編集部)

[筆者略歴]

川松 真一朗(かわまつ・しんいちろう)

東京都議会議員2期目(墨田区選出)、1980年東京生まれ。テレビ朝日アナウンサーなどを経て2013年初当選。都議会自民党総務会長代行、コロナ対策チーム、TOKYO自民党青年部長

 

(KyodoWeekly8月10/17日号から転載)

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