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政治遺産つくれるか―選択と集中のわなも

 自民党総裁選挙で安倍晋三首相が3選を果たし、第4次改造内閣が発足した。3年限定政権が求心力を維持するには人事が肝心だが、各社の世論調査の評価はおしなべて低調だ。新内閣に新鮮味が欠けているせいだろう。

 新人12人も起用した「滞貨一掃内閣」。3選の流れを作った二階派を厚遇した「論功行賞内閣」。総裁選を争った石破派からも登用した「党内融和内閣」。財務相、外相、官房長官ら主要閣僚を留任させた「現状維持内閣」。紅一点の「女性不活躍内閣」。いずれもピタッとはまらず、顔ぶれをざっと眺めただけでは焦点が定まらない内閣という印象だ。

 首相自身は実務型を結集した「全員野球内閣」と名付けた。その心はスター不在を全員で補う─。これはうがち過ぎとして、目玉は人よりも政策、その実現に向けて全員で取り組もうというのが首相の真意だろう。

 内閣改造直後の記者会見で首相は憲法改正の実現、北朝鮮問題の前進、全世代型社会保障改革の3点を強調した。確かに人事の細部をみると、安倍政権の政治遺産づくりを目指した意図が透けて見える。

 憲法改正では、来年の通常国会での改正発議を目指し、党憲法改正推進本部長に首相の信任が厚い下村博文元文科相を、また改正論議の出口を仕切る総務会長に加藤勝信前厚労相を起用した。首相が目指す改憲4項目については、石破茂元幹事長が9条の改正内容に異論を唱えるなど党内議論は決着していない。このため、首相側近で党内の関門を固める改憲シフトを敷いた。

 北朝鮮対応では実力者の菅義偉官房長官を拉致問題担当に充てた。菅長官が自ら陣頭指揮をとり、官邸直轄で日朝首脳会談の実現、拉致問題解決への突破口を開く本気度を示した。

 全世代型社会保障改革では、新たに担当相を置き、前内閣で社会保障・税一体改革担当相を務めた茂木敏充氏に兼務させ、厚労相には気心の知れた根本匠氏を充てた。社会保障問題は、巨額の財政赤字問題と裏表の関係にある上に、利害関係者が多く調整は容易ではない。首相はその難しさを承知しており、力量を買う茂木氏に切り込み役を、手堅い根本氏には厚労省を抑え込む役回りを担わせる布陣だ。

 

三大課題に懸念

 

 このように三大課題の担当にはいずれも首相が信頼する面々を起用し、自ら主導するという首相の強い意志が読み取れる。ただ、この課題の実現のために首相の政治資源を選択的に集中投下した結果、ひずみも生じた。

 例えば宮腰光寛・1億総活躍担当相は8分野を担当する過重負担になっている。また主要閣僚、三大課題以外のポストは派閥意向を優先せざるを得ず、滞貨一掃の色彩が濃い。失言、失政の不安は消えない。

 三大課題についても懸念が残る。難航必至の社会保障問題はもとより、拉致問題では外務省を事実上外したため、北朝鮮対応がちぐはぐになりかねない。改憲シフトをお友達で固めたため、公明党との連携、野党との接点が切れてしまった。首相の意向を錦の御旗に側近がごり押しすれば摩擦が激化するだろう。

 政治遺産づくりを優先した人事配置は、逆に選択と集中のわなに陥る恐れをはらんでいる。

(赤顔子)

 

(KyodoWeekly10月29日号より転載)


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