hd_cat_03政治・経済・国際の解説・分析記事

「2017年政治展望」  首相、秋以降の解散探る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2017年の政局は、次期衆院選の時期が焦点になる。安倍晋三首相は早期解散を見送る考えを示しており、夏の東京都議選をはさんだ秋以降、与党に有利なタイミングを探るとみられる。「経済最優先」のアピールと積極的な首脳外交の展開で内閣の高支持率を維持し、与党3分の2勢力の継続を狙う。民進党は野党共闘の構築に向けて候補者調整を進める方針だが、アベノミクスへの対立軸づくりに腐心しているのが実情だ。

ドナルド・トランプ次期米大統領(左)と会談する安倍晋三首相=2016年11月17日、米ニューヨークのトランプタワー(内閣広報室提供)

ドナルド・トランプ次期米大統領(左)と会談する安倍晋三首相=2016年11月17日、米ニューヨークのトランプタワー(内閣広報室提供)

 

「経済をしっかりと成長させていくことが私たちの使命だ。最大の経済対策は来年度予算の早期成立だろう。今はそのことに全力を傾けていきたい」。首相は年頭会見で、解散・総選挙によって政治空白をつくるよりも予算の年度内成立を優先させる姿勢を明確にした。
政権内には1月解散を求める声もあったが、経済再生での実績づくりを先行させるべきだとの判断が勝った。ロシアとの北方領土交渉でプーチン大統領来日時にも大きな進展を得られなかったことに加え、天皇陛下の退位に関する法整備が急がれる事情も、当面の解散権封印につながったとみられる。
年頭会見では、12年前に当時の小泉純一郎首相が手掛けた郵政解散、24年前の宮沢喜一首相による政治改革解散、48年前の佐藤栄作首相による沖縄解散を挙げながら「酉年はしばしば政治の大きな転換点になってきた」と述べ、年内選挙の可能性もにじませた。
公明党は国政選挙並みに力を入れる都議選前後の衆院選については避けたい立場だ。衆院小選挙区定数の0増6減と「1票の格差」を是正するための区割り改定に関しては、関連法成立と周知期間が夏までかかる。首相が1票格差の「違憲状態解消」を大義に掲げた秋解散を視野に入れていると見る向きは多い。この場合には、事前の内閣改造、自民党役員人事で、集票力のある議員を要職に据えた選挙向けの新たな布陣とすることもあり得る。

 

 

アベノミクスに手詰まり感

ただ、秋になっても政権に追い風が吹き続けているとは限らない。首相は中小企業の倒産件数減少や有効求人倍率の改善、3年連続のベア実現を成果として強調するが、個人消費は依然として足踏み状態にある。「金融一本足打法」ともやゆされるアベノミクスの手詰まり感は相変わらずだ。
3本目の矢である成長戦略の中核と位置付けてきた環太平洋連携協定(TPP)の早期発効は、トランプ米大統領が就任直後に打ち出した脱退宣言で絶望的になった。為替、株価は先行き不透明な「トランプ相場」次第といった感も強い。自由貿易体制に憎悪のまなざしを向ける米新政権の政策が国際経済の波乱要因となり、円高・株安が進行するとの見立てもある。
自民党は約120人に上る衆院当選1、2回生の選挙基盤が脆弱なことにも不安を募らせる。党関係者からは「下手なタイミングで勝負に出ると、与党過半数をクリアできても議席を大きく後退させる結果につながりかねない」との声も漏れる。解散が来年9月の自民党総裁選前まで先送りとなる可能性もゼロではない。
 

 

米政権対応が喫緊課題

首相にとって喫緊の課題は米新政権への対応となる。先の施政方針演説で「日米同盟こそ外交・安保政策の基軸で、これは不変の原則だ。できる限り早期に訪米し、トランプ氏と同盟の絆をさらに強化する」と意気込んだのも、同盟変質への懸念の裏返しと言えなくもない。
トランプ氏は就任演説で「何十年もの間、米軍の嘆かわしい劣化を招いた一方で、他国の軍に資金援助してきた。自国の国境防衛はおろそかにしながら、他国の国境を守ってきた」とする政策を米国第一主義の観点から大幅に転換する方針を表明した。首相は2月にも実施される見通しの首脳会談で、沖縄県・尖閣諸島について日本の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと確認したい意向だが、トランプ氏から米軍駐留経費を含めた一層の負担増を突き付けられるとの見方は消えていない。
就任演説では、同盟国との関係を巡り「文明国を一つに束ねてイスラム過激派によるテロに対抗し、地球上から完全に根絶する」とも訴えており、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦での自衛隊の貢献を要求されれば、日本は難題を抱え込むことになる。
通商政策について、トランプ氏は日本との2国間交渉に持ち込む戦略とされる。首相はTPP発効を目指して翻意を促していく姿勢だが、安易な形で2国間交渉の土俵にも乗れば、自動車、農産物などで際限のない妥協を迫られるのは必至だ。
近隣外交でも暗雲が垂れ込める。日中韓首脳会談を昨年中に日本で開き、韓国の朴槿恵大統領と中国の李克強首相の初来日を実現しようとのシナリオは空振りに終わった。朴政権の機能不全と釜山の日本総領事館前での慰安婦少女像設置は駐韓大使の一時帰国に発展した。韓国大統領選の結果次第では、慰安婦合意が事実上、白紙化される事態も否めない。北朝鮮の核・ミサイル開発に共同対処する日米韓の連携体制には亀裂が生じたままだ。
国交正常化45周年の節目を迎える中国との関係改善が進むかも見通せない。首相は北方領土での「共同経済活動」構想の具体化に向けたロシアとの交渉を加速させたい意向だが、領土の主権に関する双方の隔たりは大きい。米ロ関係の修復に伴って、プーチン氏の日本への関心が低
減していくことも考えられる。

 

 

退位、3月に国会見解

政権にとって陛下退位の法整備は通常国会での最重要テーマとなる。憲法1条は天皇の地位について「主権の存する日本国民の総意に基づく」と規定しており、政府高官は「与野党が角突き合わせることなく全会一致に近い形で成立させることが望ましい」と指摘する。首相も「政争の具にしてはいけない」と強調する。
衆参両院の正副議長は2月中旬以降に各党から個別に意見聴取し、3月上中旬をめどに国会としての見解を取りまとめる方針だ。有識者会議はこれを反映させる形で最終提言を策定。4月末ごろの法案提出後、早ければ5月から6月にかけての成立が想定されている。
ただ、政府が陛下一代限りの特別法での対応を検討しているのに対して、民進党は恒久的な皇室典範改正を求めている。野田佳彦幹事長は「超高齢社会における象徴天皇制の在り方についての問題提起を受け止めていくならば、典範改正という結論に結び付く」としており、意見調整がスムーズに進むかは不透明だ。
政府は通常国会に「共謀罪」の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案や、残業規制に重点を置く「働き方改革」の関連法案も提出する方針。野党は文部科学省元幹部の天下りあっせん問題について政府の責任を厳しく追及する構えで、衆院選をにらんだ激しい論戦が繰り広げられそうだ。
今年は憲法施行70年の節目に当たる。首相は施政方針演説で改憲について「憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と呼び掛けた。自民党は改憲項目の絞り込みに向けて、民進党を含めた議論を加速させたい考えだ。これに対して民進党は自民党改憲草案の撤回を求めており、安倍政権下での改憲にはなお慎重姿勢を堅持する。
首相は自民党総裁任期規定の見直しに伴い2021年9月まで連続3期9年間の続投も視野に入れており、当面は国民の間での改憲機運の高まり具合を見極めていく考えとみられる。
 

 

 

揺れる民共連携

民進党の政党支持率は10%前後で推移しており、自民党に大きく水をあけられたままだ。政策の旗印を打ち立てられるかが党勢回復の鍵になるのは間違いない。蓮舫代表は結党後初となる3月の党大会に向けて「今の政権とは違う経済、エネルギー、女性政策や少子化対策を決めて、国民に伝えていきたい」と力説した。
野党間の候補者調整も難題だ。共産党大会には安住淳代表代行が出席し「できる限りの協力を行うための話し合いを、積極的かつ具体的に進めたい」とあいさつしたが、民共連携に反発する連合との溝は埋められているとは言い難い。
(共同通信政治部長 小渕 敏郎)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップフォト

最新写真ニュース

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

第97回天皇杯 トピックス

1回戦の結果(4月22、23日開催)

アルテリーヴォ和歌山 2-3 FCマルヤス岡崎   いわきFC 8-2 ノルブリッツ北海道   ギラヴァンツ北九州 10-0 アルヴェリオ高松   韮崎アストロス 1-5 ブリオベッカ浦安   AC長野パルセイロ 1-0 … 続きを読む

ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
このページのトップへ