「音楽の森」若さゆえの生気

写真はイメージ

 今回は、才能豊かな2人の若手バイオリン奏者のCDをご紹介したい。

 まずは三浦文彰による「モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番・第5番『トルコ風』」。三浦は、2009年ハノーファー国際コンクールにおける史上最年少16歳での優勝以来、すでに10年以上第一線で活躍し、特に2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」のオープニング音楽でソリストを務めてからは、広範囲の人気を集めている。彼は指揮にも挑戦し、本作でもオーケストラ・アンサンブル金沢を弾き振りしている。

 このディスクでは、豊潤な美音でさっそうと、かつ伸びやかに歌い上げたソロが魅力を放っている。しかも楽曲のフォルムが崩れない点が素晴らしく、毅然(きぜん)とした面も感じさせるし、細かな動きのスムーズさや明確な音の運びも光っている。

 特に第5番は、ソロの入りから終始引き付けられ、第3楽章のトルコ風の部分のドラマチックな変化も耳を奪う。カデンツァは2曲共に極めて鮮やか。指揮ぶりも確かで、バックも芳醇(ほうじゅん)かつ一体感十分だ。これは、三浦の音楽性の豊かさと、モダン楽器で聴くモーツァルト音楽の喜びが味わえる好ディスクと言っていい。

 お次は服部百音の「リサイタル」。服部は三浦より6歳年下だが、やはり2009年のリピンスキ・ヴィエニャフスキ国際コンクールにおける史上最年少10歳での優勝以来、若くして活躍を続けている。ちなみに父は三浦が弾いた「真田丸」の作曲者・服部隆之。つまり服部克久、服部良一にさかのぼる華麗な音楽一族の出である。

 こちらは、プロコフィエフのソナタ第1番に、エルンストの「『夏の名残のバラ』による演奏会用変奏曲」、シマノフスキの「ノクターンとタランテラ」、ショーソンの「詩曲」、ラベルの「ツィガーヌ」を加えた多彩な内容で、名ピアニスト・江口玲が絶妙な共演を果たしている。

 彼女の演奏は、鮮烈な技巧とフレッシュな力感や激情、そして旺盛な表現意欲が光っている。プロコフィエフのソナタはシリアスな緊張感に満ちた激しい表現、エルンストの作品はすさまじい超絶技巧に驚嘆させられ、シマノフスキの作品のパッション、ショーソンの作品のデリケートな語り口、ラベルの作品の妙技と雄弁さにも魅せられる。

 あえて言えば柔と剛…対照的なテイストの2枚だが、若さゆえの生気が魅力的な音楽に結びついている点では共通している。時にはこうした意欲満々の演奏に触れるのも悪くない。

(音楽評論家 柴田 克彦)

 

(KyodoWeekly7月26日号から転載)

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